'); }else{ document.write(''); } //-->
天の岩戸、ヤマタノオロチ、いなばの白ウサギ……。これらはみんな、日本最古の物語であり神話である、古事記に出てくるものです。「名前やエピソードは知っている気がするけれど、それぞれのつながりや関わりは知らない」という方も多いのではないでしょうか。
11月下旬に偕成社から発売される新刊『絵物語・古事記』の特徴は、まず、すべてがつながった物語として書かれていることです。古事記はそもそも、稗田阿礼という人が暗記して語ったものを書きとめたものなので、全部つながった一つの物語なのです。
最初に挙げた例ですと、「天の岩戸」に閉じこもってしまったアマテラスの弟のスサノオが退治したのが「ヤマタノオロチ」ですし、スサノオの娘と結婚したオオクニヌシが助けたのが「いなばの白ウサギ」、という風に、みんな何かしら関わりがあります。
この本はエピソードごとに小見出しはついていますが、元の「古事記」の上巻に忠実に、エピソードを省くことなく一つの物語として書かれています。文を書いている富安陽子さんは、様々な年齢に向けた作品を発表されている作家さんなので、文章がとても読みやすいです。
また、全ページにイラストが入っているのも特徴です。絵を描かれた山村浩二さんは、国際的なアニメーション作家としても活躍されていて、古事記神話のアニメーション化もすでに手掛けられています。文章と絵を一体で物語を楽しむことができる、現代の絵巻物のような本なのです。
監修を担当されたのは、古事記研究の第一人者である三浦佑之さん。三浦佑之さんは、本書について「長編小説のように展開する古事記神話の全体をわかりやすく楽しめる本です。そこには、一つ一つの神話を切り出して味わうのとはまったく違う、新たな発見がいくつもあるはずです。全ページについた挿し絵がイメージを大いにふくらませてくれます」というコメントを寄せています。
たくさんの神様の個性的なエピソードがたくさんの日本神話。教養としても物語としても一度ちゃんと読んでみたい、という方におすすめです。年始の初詣前に神社の神様の予習、いかがですか?