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Twitterのフォロワー数15万人以上、ブロガーとして女性を中心に支持を得て、雑誌・Web連載などで幅広く活躍しているはあちゅうさん。
9月26日(火)、そんなはあちゅうさんが念願の「純文学デビュー」を果たした小説集『通りすがりのあなた』が発売されました。
切ない人間模様を描く、7つの物語が収められた本作。はあちゅうさんはその宣伝のため、Facebookで「小説の売り方を考えるオンラインサロン」を開き、メンバーとともにアイデアを練ってきたそうです。
そんな新しい「純文学作家」の誕生と、ネット時代ならではの試みについて、編集を担当した講談社・文芸第一出版部の須田美音さんに文章を寄せていただきました。
大学3年の1年間、モラトリアムに逃げこむように香港大学に留学したサホは、マイケルというABC(アメリカン・ボーン・チャイニーズ)と出会う。冴えない自分と、人気者の彼。付き合っているようで、本当のところはわからない。やがてマイケルは、奇妙な「秘密」を漏らすようになって――(「世界が終わる前に」)。
言葉や距離を超えて築かれる、友達とも恋人とも名づけられない“あなた”との関係。7通りの切ない人間模様を描く、はあちゅう初の小説集。
大学生の時からブロガーとして活躍し、ツイッターのフォロワーが15万人を超えるはあちゅうさんが、今年の1月に文芸誌「群像」で短編小説を発表し、「30歳までに純文学デビュー」という夢を実現。本書はその3作に加え、新たに4作を書き下ろした著者初めての小説集です。
7作とも、家族でも恋人でも友達でもないけれど、人生のある瞬間だけ深いつながりを持った“あなた”のことが描かれています。実体験や実在の人物から着想を得たそうで、本の特設サイトでは、はあちゅうさんご自身による写真と共に、小説が誕生した裏話エピソードを公開しています。
ブロガーが小手先で書いた小説でしょ、と思った方は、騙されたと思って読んでみて下さい。魅力的な小説たちに驚くはずです。この作品集を読んだ多くの方が、「ずっと忘れていた昔の知り合いや、一度会ったきりの人のことを思い出しました」とおっしゃるのが、とても印象的でした。私たちの記憶の奥底を刺激する力を持った小説なのだと思います。
発売前から著者主宰のフェイスブックのサロンで読者150人に見本を読んでもらい、販売戦略を一緒に練ってきました。はあちゅうさんの発案で、作品の数にちなんで7人のクリエイターとのコラボが実現。テディベア、タピオカドリンク、音楽、写真など、別の分野の芸術と出会うことで、小説の世界が立体化する面白い試みです。
発売に先がけて小説集の中から1本だけ電子書籍で無料公開した「六本木のネバーランド」は、kindle無料部門で1位を獲得しました。はあちゅうさんは毎朝8時に、SHOWROOMで「朝活」と名付けた動画配信を続けていて、発売日には視聴者数1,000人を達成しました。
発売後はサロンメンバーを集めてSHOWROOMで動画配信しながらのトークイベントや、AV女優で作家の紗倉まなさんとの対談イベントを開催し、大いに盛り上がりました。
「ネット時代の作家の道を作りたい」とおっしゃる著者ならではの、まさに新しい作家の姿を提案する施策やイベントが目白押し。おかげさまで発売1週間で重版が決まりました。小説は骨太な内容ですが、宣伝方法はSNSパワーを駆使するというハイブリッドな本作にぜひご注目下さい。
『通りすがりのあなた』特設ページはこちら
・あなたとの“名前のつけられない人間関係”――はあちゅう初の小説集
・はあちゅう学生時代〜世界一周時の「彼氏、友人、街」――初小説のモデル[前編]・[中編]・[後編]
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文・講談社 文芸第一出版部 須田美音