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2015年発売の漫画『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』が映画化され、9月16日(土)に公開された渋谷直角さん。映画では、奥田民生に憧れる冴えない33歳の編集者・コーロキを妻夫木聡さんが、出会う男たちの人生を狂わせてしまう魔性の女・あかりを水原希子さんが演じるほか、奥田民生さんのナンバーが全編を彩ることでも注目を集めています。
渋谷さんは漫画家としてはもちろん、コラムニストとしても活躍中。8月30日(水)にはコラム集『コラムの王子さま(42さい)』が、9月8日(金)には漫画『デザイナー 渋井直人の休日』が発売されました。
今回は、そんな渋谷さんを取材。自作の映画化への思いから、立て続けに発売された新刊についてまで伺いました。インタビューの内容を2回にわけてお届けします。
――「奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール」の映画が公開されていますね。お気持ちはいかがですか?
今回は、奇蹟的なことが続いてこの規模の映画になったという感じなので、この話を書いたころとは、だいぶ意識が変わってきました。「映画が公開されてよかったね」で、終わっちゃいけないなと。
――公開に先駆けて、原作の『完全版』が発売されましたよね。
はい。初版は2015年に出たものですが、今年の6月に『完全版』を出しました。映画の脚本用に描いたエピソードや、映画化への道のりを書いた「映画化日記」など、全部で50ページほど加筆しています。
――『完全版』には、大根仁監督が映画化に向けて動かれたり、主演の妻夫木聡さんが「やりたい」と自らおっしゃったというエピソードも書かれていましたよね。先ほどの「『映画が公開されてよかったね』で終わっちゃいけない」というお話について詳しく伺いたいです。
この映画のありようって、映画の本流からするとちょっとずれているんです。題材もニッチかもしれないですし、タイトルも異様に長いですし、単館系ならもう少し「らしい」かもしれないですけど、あらゆる部分で「らしくない」規模での公開になっています。たとえば大根監督には「モテキ」とか「バクマン。」といったヒット作がありますけれど、どちらももともとすごく売れている漫画が原作です。
一方で、『奥田民生になりたい~』はその100分の1くらいしか売れていない。それが巨大な規模で映画になることは、僕と同じように、ニッチな作品を描き続けている作家にとっては、とてもポジティブなことだと思うんです。
――映画化の規模に「ヒット作である」という条件は必ずしも必要ではなくなるということですね。
この映画がそれなりにいい前例になれば、次の誰かの作品の映像化にとってもハードルが下がるかもしれない。となると、僕の周辺さえ良ければいいってことにはならない。
というのも、ライターをやってきたから、どういうところで取材するかでその作品の規模感がわかるんです。今回、自分が取材を受ける側になったときに、会場を見て「あ、これ大作なんだ」と具体的に実感できて。それはもちろん妻夫木聡さんと大根監督のおかげで、東宝やホリプロ、ソニー・ミュージックアーティスツの人たちの「いっちょやってみよう」というノリがあったからなんですけれど。
これが「ダメでした」で終わっちゃうと、やっぱり「大ヒットしてるコンテンツじゃなきゃダメだ」という流れになっちゃうかもしれないし、1回本流からずれたところに広がったものが、またぎゅっと戻されちゃうかもしれない。でも、その広がったところからまた別の流れが生まれていったりすると、カルチャーの世界ももう少し遊べる余裕がでてくるかもしれない。
「こういうのもありなんだね」という多様性につなげるためにも、僕も頑張んなきゃいけないな、という気持ちになりました。
奥田民生を崇拝する33歳、コーロキ。おしゃれライフスタイル雑誌編集部に異動になったコーロキは、慣れない高度な会話に四苦八苦しながらも次第におしゃれピープルに馴染み奥田民生みたいな編集者になると決意する!
そんな時、仕事で出会ったファッションプレスの美女天海あかりにひとめぼれ。その出会いがコーロキにとって地獄の始まりとなるのだった…。
あかりに釣り合う男になろうと仕事に力を入れ、嫌われないようにデートにも必死になるが常に空回り。あかりの自由奔放な言動にいつも振り回され、いつしか身も心もズタボロに…。
コーロキはいつになったら奥田民生みたいな「力まないカッコいい大人」になれるのか!? そしてもがく先にあかりとの未来はあるのか!?
妻夫木聡 水原希子
新井浩文 安藤サクラ 江口のりこ 天海祐希 リリー・フランキー 松尾スズキ
監督・脚本:大根仁
2017年9月16日(土)より全国東宝系にて公開中
http://tamioboy-kuruwasegirl.jp/
次回(2017年10月6日公開)は、新刊『コラムの王子さま(42さい)』についてお話を伺います。
・「丸まった靴下」がかわいい!?独特の着眼点が面白い渋谷直角のコラム集『コラムの王子さま(42さい)』:渋谷直角インタビュー【後編】
※『コラムの王子さま(42さい)』の試し読みはこちらから
・なぜ『奥田民生になりたいボーイ』は映画になったのか?――渋谷直角
『コラムの王子さま(42さい)』特別公開、最終回!
渋谷直角 Chokkaku Shibuya
1975年、東京都練馬区生まれ。1990年代後半にマガジンハウス「relax」誌でライターを務めながら、同誌で漫画も描き始める。著書に漫画『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール 完全版』『デザイナー渋井直人の休日』『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』、エッセイ『直角主義』『コラムの王子さま(42さい)』『ゴリラはいつもオーバーオール』など。「週刊SPA!」「CREA」「GINZA」「LARME」ほか連載多数。
オンライン書店「Honya Club.com」限定! 渋谷直角さんのサイン色紙が抽選で当たります。
「常にハマっているものがある」という渋谷さん。『コラムの王子さま(42さい)』を作っているときは、渋谷さんの中で「空前のタコブーム」が起きていたそう。本書には、「タコ」のコラムとあわせた描き下ろし漫画を収録。こちらもぜひチェックを!
〉サイン色紙の応募についてはこちら
http://www.honyaclub.com/shop/e/etenbo69a/
・「奥田民生になりたい展」池袋パルコミュージアムで開催!レコーディング体験や“奥田民生になれる部屋”も
・水原希子演じる“狂わせガール”天海あかりの効果絶大モテコーデが一冊に!