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2015年夏クールのライトノベルをご紹介する当コーナー。第2回はタイトルのインパクトが際立つ『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』をご紹介します!
大丈夫!タイトルを見て即リターンしなくても、ちゃんと全年齢向けの作品です!せっかくなので紹介だけでも見ていってください!
》Part1『六花の勇者』はこちら
16年前の「公序良俗健全育成法」成立により、国民から粗暴な言葉が喪われた時代。国内有数の風紀優良校に入学した主人公・奥間狸吉(おくま・たぬきち)は、入学早々、反社会的組織「SOX」の創設者・華城綾女(かじょう・あやめ)から勧誘を受ける。弱みを握られ「SOX」のメンバーとなった狸吉は、憧れの存在である八面玲瓏な生徒会長・アンナの裏をかく下ネタテロに協力することになるのだが……!そこはプリズン?それとも、ハーレム?
設定からぶっ飛ばしまくっているノンストップYトークがこの作品の売りです。ハイテンションな掛け合いには「結局下ネタかよ!」と思いながらもやっぱり笑ってしまいます。
また、コメディ一辺倒で終わる話でもありません。権力による規制に立ち向かうレジスタンスたちの物語でもあります。
タイトルのインパクトに惑わされそうになりますが、この作品もいわゆるディストピア小説です。ディストピア小説とは、ユートピア(理想郷)と正反対の、反ユートピアな世界観が描かれたもの。主にSFなどで空想的な未来として描かれます。また政治的・社会的な課題が背景となっていることも多いです。
ディストピア小説の名作『一九八四年』。歴史の改ざんを仕事とする主人公が、反政府地下活動に惹かれていく……というストーリー。
馴染みがあるところでいえば、主題ではないものの『図書館戦争』も設定はディストピアです。公序良俗を乱す表現を取り締まる「メディア良化法」が成立し、いきすぎた検閲が行われる世界を描いています。
『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』で展開されるのも“規制のいきすぎた世界”です。世の中のものが「悪影響を与えるため子どもが触れるべきでない」と“誰かによって”定義され、規制されることは、果たして正しいのでしょうか。そうすることで本当に子どもたちは健全に育つのでしょうか。規制されたものに全く触れられなかったがために、健全か不健全かを子どもたち自らが判断できなくなってしまった社会の先にあるものとは……?表現の自由と適切な規制とは何なのか、考えさせられる作品です。
近未来のライトノベルによる風刺といえばこちらもおすすめ。日本文学で評価される“文学”作品が、ひらがなだけで書かれた妹モノの萌え系小説になってしまったら……?
「下ネタという概念が存在しない退屈な世界」のアニメーション制作はJ.C.STAFF。監督は鈴木洋平さん、シリーズ構成は横谷昌宏さんです。
アニメで注目すべきポイントは「いったいどこまで振り切った表現ができるか」の一点に尽きるでしょう。第1話上映後から「あまりにひどい」「視聴中ひどいしか言葉がなかった」と話題沸騰(?)となっています。もはや敵はBPO(放送倫理・番組向上機構)のみとの呼び声も高い本作を、アニメでも原作でも、ぜひ楽しんでみてください。
さあ、表紙に怖気づかずに本をレジまで持っていきましょう!(※とはいえ、ネットでの注文もおすすめです)
ちなみに作者はまじめでピュアな健全青春ラブストーリーだって書けますので、最後にご紹介いたします。