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伊坂幸太郎さんの1年4か月ぶりとなる最新小説『AX アックス』が、7月28日(金)に発売されました。
『AX アックス』は、累計220万部の〈殺し屋シリーズ〉最新作。2004年に刊行された第132回直木賞候補作『グラスホッパー』、2010年刊行の『マリアビートル』に連なる、シリーズ初の連作集です。表題作「AX」のほか、「BEE」「Crayon」に、書き下ろし「EXIT」「FINE」を加えた計5篇が収められています。
毎回、個性豊かな殺し屋たちが登場する本シリーズですが、今作の主人公「兜」も表と裏の顔にギャップのある、ユーモラスなキャラクターだそう。そんな「兜」の日常を描く本作の魅力について、編集を担当したKADOKAWA文芸・ノンフィクション局の岡田博幸さんに作品ガイドを寄せていただきました。
最強の殺し屋「兜」は、家では妻の機嫌をうかがってばかりの恐妻家だった!
物騒な殺し屋たちが活躍する『グラスホッパー』『マリアビートル』に連なる〈殺し屋シリーズ〉の最新作が、本作『AX アックス』。3作累計で220万部を突破する大人気シリーズです。
主人公「兜」は、業界内では一目どころか二目も置かれている凄腕の殺し屋ですが、妻には頭が上がりません。とある2人組の同業者からは、「それがこんな恐妻家だと知ったら、がっかりするやつもいるだろうな」と言われるほど。
一方、兜の家族である妻と息子は、兜がそんな恐ろしい裏家業をしているとは夢にも思いません。むしろ、やや情けないお父さんと思われているくらいです。兜は家族のためにも、裏家業を引退しようと試みますが……。
表の顔と裏の顔に大きなギャップを抱えた兜の日常は、スリリングかつユーモラスに進み、とても楽しく読み進められます。しかし、そのままで終わらないのが伊坂幸太郎。書き下ろし2編の原稿をいただいて読み終えたとき、こんな気持ちになるなんて! と驚かされました。
読者の皆さんの楽しみを奪ってしまわないよう、詳しくは書きませんが、『グラスホッパー』『マリアビートル』とは異なる、かつてない殺し屋小説が誕生しました。
本作は、冒頭に登場する、ある一つの恐妻家エピソードから生まれました。そのたった一つのエピソードをきっかけに、こんな物語を作り上げてしまうとは。伊坂幸太郎、恐るべしです。
〈殺し屋シリーズ〉と呼んでいるこの3作は、同じ世界観であるものの、それぞれ主人公の異なる独立した作品です。ぜひ本作から手にとって、この物騒で、でもどこか優しさを感じる世界を満喫してください!
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文・KADOKAWA 文芸・ノンフィクション局 岡田博幸