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  • 〈インタビュー〉幸田真音さん『天佑なり』 世界恐慌から日本経済を救った高橋是清の生涯に我々が学ぶべきこと

    2015年07月25日
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    日販 商品情報センター「新刊展望」編集部
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    我々は何をすべきか

    ―是清の生涯に私たちが学ぶべきことは多いですね。

    幸田 是清が最後に何をしたのか、何ができなかったのか。この小説から少しでもヒントみたいなものを読み取っていただければうれしいです。明治・大正・昭和と日本が近代化の道を歩み、海外の情報やシステムをどんどん取り入れて国力をつけてきた時代にこういう出来事があった、こういう人がいたと知ることは意味があると思うし、何をすべきか、何をしてはいけないのかを私たちは歴史の中から学ぶことができます。戦争を繰り返してはならない――第二次世界大戦に向かって日本が転がり落ちていく過程に実際何があったのか、是清の人生を辿ることで経済面から理解できると思うんです。それは最終章でしっかり伝えたかったことです。

    ―タイトルにある「天佑」とは「天のご加護」の意味。日露戦争の戦費調達のためロンドンでの国債売り出しに成功したときに是清自身が発した言葉なんですね。

    幸田 自伝の中で見つけました。当時の日本は欧米列強にとっては極東の小国。どんな国かも認識されていなかったような状態です。そんな中で2億もの国債発行をしなければならない。日露戦争に突入したものの外貨準備高は底を尽き、早急の外債募集の命を受けて、是清はまずアメリカへと発ちます。そこで「同情とポケットは別だ」と言われて、「でもやるしかない」とロンドンに渡り、いくつかの出会いも経て、苦労して苦労して、努力によって成功を勝ち取るわけです。普通ならそこで「自分が頑張ったから成功した」と言いたいじゃないですか。でも是清は「天佑なり」、運が良かったのだと。それをさらっと言えてしまう。まさにこの人の象徴的な言葉だと思いました。

    今の日本でも、それぞれの立場で大変な思いをしている人はたくさんいらっしゃるはずです。「もうだめだ」「八方ふさがりだ」「○○のせいだ」「社会が悪いからだ」と言うのは簡単。でも、「何とかなる」「自分の力で乗り越える」と一所懸命困難に立ち向かっていく人には、天佑は必ずもたらされるものだと思うんです。「頑張れば天は恵みを与えてくれる」と信じることの強さ。それは是清の人生そのものです。

    何よりも、私が高橋是清と出会えたこと自体が天佑だと今思っています。日本中、世界中に天佑が来ますように。そんな思いも込めて、このタイトルを付けました。

    高橋是清は、一貫した志、揺るぎない信念の、本当に魅力的な人です。かつての日本にこんな人物がいたことを、同じ日本人として誇らしく思います。

    天佑なり 上
    著者:幸田真音
    発売日:2015年07月
    発行所:KADOKAWA
    価格:704円(税込)
    ISBNコード:9784041031711

    天佑なり 下
    著者:幸田真音
    発売日:2015年07月
    発行所:KADOKAWA
    価格:704円(税込)
    ISBNコード:9784041031728


    幸田真音さん03幸田真音
    1951年滋賀県生まれ。米国系銀行の債券ディーラーなどを経て、95年『小説 ヘッジファンド』で作家デビュー。2000年に発表した『日本国債』は日本の財政問題に警鐘を鳴らした作品としてベストセラーになり、多くの海外メディアからも注目を浴びた。テレビやラジオでも活躍。政府税制調査会、財務省・財政制度等審議会、国土交通省・交通政策審議会、NHK経営委員会の各委員など公職も歴任。『代行返上』『あきんど 絹屋半兵衛』『Hello,CEO.』『周極星』『バイアウト』『財務省の階段』『ランウェイ』『スケープゴート』『ナナフシ』他著書多数。


    (「新刊展望」2013年7月号より)
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