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  • 元公安の濱嘉之が描く“平成最悪の事件”!『カルマ真仙教事件』刊行開始

    2017年07月04日
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    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当 猪越
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    “情報とは何か”を考えさせられる

    ――濱さんの作品は、警察や政治といった、知られざる世界をのぞけるような、“リアルさ”が魅力のひとつです。とりわけ鷹田が公安で見せる情報収集の様子は、刺激的であると同時に、“情報とは何か”について考えさせられました。

    小説の中でも繰り返し書いていますが、大切なのは、「知るべき人に、知るべき内容を、迅速正確に伝える」こと。なんでもかんでも伝えるのではなく、収集・分析して、自分の意見をもって出す。これが情報です。ですから、知るべき人がいて、はじめて仕事になる。

    内閣情報調査室であれば、知るべき人は内閣官房長官であり、総理です。彼らの耳目となって、情報収集することが内調の仕事ですが、公安部では少し違います。みんながいわば「独任官」であって、警視総監や公安部長、組織のために情報を取っているわけではありません。「これはあの人にだったら伝えなくてはいけないな」という情報はありますが、言ってもわからない上司だったり、捻じ曲げられたりする可能性があれば、逆効果になる場合もあります。

    100のネタをとって、情報として扱うのは10あるかないか。それを毎日繰り返していて、終わりがない。何十年もできる仕事ではないと思います。

    最近は、大学でもリスクマネジメントを専門的に学ぶ学部ができていて、学生と話をする機会もありますが、危機管理や情報の扱い方は、簡単に習得できるものではありません。その時に、彼らに何を求めるかというと、「幅広い常識」「深い良識」と「バランス感覚」です。それを、学生のうちに身に着けてほしい。これが情報収集の基本原則になります。学生のうちに、アルバイトでもいいから社会に出ておくことは大事ですね。

    ――最後に、『カルマ真仙教事件』の執筆は佳境に入っていらっしゃるとのことですが、いまどのようなことを感じていらっしゃいますか。

    反省が多いです。警察官としても、社会人としても。自分の「警察人生」について振り返る、きっかけのひとつになっています。

    テレビのコメンテーターなどもやっていますが、この反省は、今後のコメントのあり方や仕方、社会がどのように受け止めるのかといった点を考える上でも、多少影響が出てくるかなと思っています。

    発言する際には、被害者の立場に立つことも大事です。しかし私には、捜査が今どういう局面なのかが経験則でわかってくる部分もあります。

    警察官を22年半やった後にリスクマネジメントの会社を立ち上げて、その後は外部から、つぶさに警察を見てきました。いまも現職の仲間と飲んでいますし、仕事上、業者との付き合いもあります。その中で、警察の捜査は今「ここまで進んでいるんだ」と感心したり、「まだこんなことをやっているのか」と思ったり。そういったことも含め、いろいろと考えさせられる作品になりました。

    私の小説を多くの読者の方が読んでくださっていることを考えると、これまでの経験を踏まえて私が発信していることに、共感してくださっているのだと心強く感じています。『カルマ真仙教事件』も手に取っていただければ、ともに平成を生きる日本人として、感じていただけることがあるのではないかと思っています。

     

    健康維持には体幹トレーニングと……!?

    ここ数年の出版点数は、平均年4冊と、驚異の執筆スピードを誇る濱さん。小説家以外にも、テレビのコメンテーターや危機管理コンサルティングの仕事もあり、さぞかし忙しい毎日かと思いきや、「昔に比べれば楽ですよ」とあっさり。

    健康維持には「体幹トレーニングと、アルコール消毒(笑)が欠かせません」。いままでの人生で、「酔い潰れたのは1回だけ」という酒豪ぶりだそう。そんなところも、作者が主人公に投影されている部分といえそうです。

    「家で原稿を書くことはまずないです。パソコンは常に持っていて、電源を入れたそばから、すぐ書けます。空港に早めに行ったときのラウンジや、飛行機や新幹線など乗り物の中で書くことが多いですね。書き始める時に、ストーリーはだいたい7割は頭の中で出来ているので、それに沿って書いていきます。今回の『カルマ真仙教事件』は、事実に基づいた部分は時系列を間違えないように、あとは大嘘を書かなければいいわけで、わりと早いスピードで進んでいますね」



    濱 嘉之 Yoshiyuki Hama
    1957年、福岡県生まれ。中央大学法学部法律学科卒業後、警視庁入庁。警備部、公安部、内閣情報調査室、生活安全部などに勤務後、2004年に警視庁警視で辞職。衆議院議員政策担当秘書を経て、2007年『警視庁情報官』で作家デビュー。主な著作に「警視庁情報官」シリーズ、「ヒトイチ 警視庁人事一課監察係」シリーズ、「警視庁公安部・青山望」シリーズ、『院内刑事』などがある。現在は危機管理コンサルティングに従事するかたわら、テレビや紙誌などでコメンテーターとしても活躍中。

    警視庁情報官
    著者:濱嘉之
    発売日:2010年11月
    発行所:講談社
    価格:700円(税込)
    ISBNコード:9784062768078
    ヒトイチ警視庁人事一課監察係
    著者:濱嘉之
    発売日:2015年05月
    発行所:講談社
    価格:659円(税込)
    ISBNコード:9784062931205
    完全黙秘
    著者:濱嘉之
    発売日:2011年09月
    発行所:文藝春秋
    価格:713円(税込)
    ISBNコード:9784167818012
    電光石火
    著者:濱嘉之
    発売日:2015年01月
    発行所:文藝春秋
    価格:562円(税込)
    ISBNコード:9784167902711

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