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5月26日(金)、青山七恵さんの小説『ハッチとマーロウ』が発売されました。
子どものころ、児童書の『おちゃめなふたご』を読んで、「本が大好きになった」と語る青山さん。『ハッチとマーロウ』はそんな大切な一冊への思いを込めた、「双子の女の子」の大人への“冒険”と成長の物語。
デビューから12年、青山さんが温めてきたという本作について、今回は、青山さんお気に入りのお散歩スポットを訪ねながら、お話を伺います。
「ママは大人を卒業します!」と突然の宣言。11歳の誕生日に突然大人になることを余儀なくされたハッチとマーロウ。お料理ってどうやって作るの? お洋服、何を着ればいいの? 双子に個性って必要? 私たちのパパって、誰なの……? 少しずつ目覚めるふたりの自我と葛藤。おちゃめでかわいい双子の日常が愛おしく過ぎていく。
結末に知るママの思いと双子の小さな約束に心揺さぶられる。
かつて子供だった大人へ、これから大人になる子供達へ贈りたい、感動の物語誕生。全編を飾るイラストは、大人気イラストレーター・田村セツコさん。
待ち合わせ場所に、初夏らしい出で立ちで颯爽と現れた青山七恵さん。
原稿を書くのも本を読むのも、仕事は「インドア派」の青山さんですが、時間が許せば日に1時間ほどのお散歩に出かけるそう。「小説を書くときはパソコンの前でずっと考えているタイプなのですが、外に出て歩いていると、いい考えが浮かぶことが多いです。やはり、緑を見るのがいいのでしょうね」
なかでもよく足を運ぶのが、世田谷区にある「吉実園」さん。江戸時代から13代続く農家であり、現在は造園業のかたわら、養鶏、養豚、野菜作りと幅広く手掛けています。
これまでは、鶏を金網の外から眺めるだけだったという青山さん。今回は、園主の吉岡幸彦さんに園内をご案内いただきました。
6,000坪という広大な敷地を有する吉実園さんでは、現在約1,300羽の鶏を放し飼いにしています。この区画にいるのはその一部ですが、どの場所にいる鶏も、吉岡さんの姿を見つけるとうれしそうに駆け寄ってきます。
植木畑の草むしり費用を削減するため、20年ほど前に飼育を始めたそうですが、“副産物”の卵は1日に600個ほどとれるそう。餌も環境も自然に近い形で育てられた鶏の卵は、味も安全性も一級品。有機肥料で育てた野菜とともに、敷地内の直売所で販売しています。
吉実園さんでは、循環型農業を行っているのが特徴です。「造園業で出た木くずなどを粉にして、豚糞と米ぬかを混ぜて1年寝かせます。それを鶏小屋へ運んで、鶏糞を混ぜて有機肥料を作っています。うちでは、ごみもみんな資源になるんです」。
そんな吉岡さんのお話を、質問を交えながら熱心に聞いている青山さん。作家さんならではの好奇心と取材力が垣間見えました。
念願の「吉実園」の見学を終えた青山さんに感想をうかがうと、「最高でした。私がいつも散歩で見ていたのは、本当に一部分だけだったんだなと驚きました。ゆったりとした時間が流れている、いい場所ですね。これからも100年、200年続けていただけたらと思います」。
〈協力〉株式会社 吉実園
所在地:〒157-0065 東京都世田谷区上祖師谷1丁目4−2
電話:03-3300-1833
――今作は、ハッチとマーロウという小学5年生の双子の女の子の物語です。どのようなところから、この物語を書こうと思われたのですか。
私が本を好きになったのは、小学生の頃に『おちゃめなふたご』という児童書を読んだことがきっかけです。小説家としてデビューしてからも、「2人組の関係」を書くことが多く、そういうところからも「自分のルーツは『おちゃめなふたご』にあるのだな」と感じています。私に本の楽しみを教えてくれた双子の物語を、自分でも書いてみたいなとずっと思っていました。