'); }else{ document.write(''); } //-->
1900年、中国で起こった外国人排斥運動「義和団事件」。この事件を舞台にした松岡圭祐さんの初の歴史小説『黄砂の籠城』は、北京の公使館区域に籠城し、足並みの揃わない列強11か国を主導して、4000人の人質を守った実在の日本人の勇気と叡智を描いています。
本作のプロローグに記されているのは、「排外主義、貧困、テロ、宗教など、この事件の背景にある諸問題は驚くほど現代社会と共通する。当時を深く考えることで、むしろ将来的な解決策を見いだす参考となりうる」という、ある現代日本人の言葉。
歴史に埋もれてしまった史実をベースに、日本人の資質と「現在の社会情勢と日本のありかた」について考えさせる本作は、重いテーマを含んだ上下巻の大長編ながら、稀代のストーリーテラーによる徹夜覚悟のおもしろさとなっています。
今回はそんな『黄砂の籠城』について、担当編集者の講談社文庫出版部・高橋典彦さんに作品ガイドを寄せていただきました。
松岡圭祐氏は『千里眼』『万能鑑定士Q』『探偵の探偵』『水鏡推理』と、立て続けにエンタテイメント・ミステリーのシリーズをヒットさせている、現代日本を代表する作家です。
『黄砂の籠城』は松岡氏によるはじめての歴史小説で、初めて企画について松岡氏からお伺いした時、担当編集としては正直かなり驚きました。しかし同時に、松岡さんが描く歴史小説を読んでみたいという強烈な衝動も湧き起こりました。
そして、作品は紛れもなく傑作でした。1900年、中国で勃発した外国人排斥運動・義和団事件で、北京の公使館区域は義和団戦士たちに包囲され、列強の外交官や家族たちは苦境に陥ります。その危機に冷静に対応したのが、新任駐在武官・柴五郎が率いる日本人たちでした。
重たく感じるテーマなのに読み始めたら止まらない、とにかく面白い、そして最高の感動、爽快感を得られる読後感。刊行からひと月ほどたち、各種ランキングで第1位を獲得している、最注目の歴史エンタテイメント小説です。
そして、6月刊行は早くも歴史小説第二弾『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』、これも驚きの傑作です!
*
文・講談社 講談社文庫出版部 高橋典彦