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「ドンチャンが また いじめにあっている。ヤラガセたち4人組は、ドンチャンの画用紙の上に、手伝ってやるなんていいながら、えのぐを ぬりたくっている」
「ぼくとセイヤとヨッチンは、絵を描くのに一生懸命……なのだ、というふりを、一生懸命にしているだけ」
心の中でどれだけ「やめろ!」と思っていても、いじめを止めさせる勇気が持てない主人公。どんどんエスカレートしていくいじめっ子たちの行動は、大人も鳥肌が立つほどリアルです。
そして、知らんぷりをしたがるのは、子どもだけではありません。特に自分の子がいじめをしていたと知った親たちが、保護者会で「そそのかされていただけ」「こそこそ転校して」といじめられっ子をバッシングするシーンは、あくまで人のせいにしたくなる気持ちや「うちの子が巻き込まれなくてよかった」と思う気持ちがあることを気づかせます。
200ページ以上ある長編作品。読み聞かせの目安は、30分くらいです。さて、物語の最後に主人公が選んだ行動とは?
子どもにとっての“世界”は「家」と「学校」だけで構成されることがほとんど。そのため、学校でうまくいかなくなった時に「逃げ場がなくなってしまった」と思い詰めてしまう子どもは多いといいます。
そんな中で著者・西原理恵子さんが描こうとしているのは、「逃げていい」「(中学校を卒業する)16歳まで生き延びろ」ということ。
「死にたくなるほど追い詰められるくらいなら、学校なんて行かなくていい」。このことは、親である私たちも心に持っておくべき大切なことだと思います。
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子どもはあっという間に大きくなってしまう、とよく言われます。きっとそれは、体も心も同じこと。
筆者も子どもをもつ親ですが、一度読んで終わりではなく、少し経ったらまた読み直して、加害者にも、被害者にも、傍観者にもならない“やさしくて強い心”を親子で育てていけたらなと思っています。