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  • 神永学さんの仕事場訪問【後編】:小説で「空想する楽しさ」を味わってほしい

    2017年03月09日
    楽しむ
    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当 猪越
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    道場通いも恋愛相談も、「すべてが取材」

    ――土方、近藤、沖田が揃った本作は、立ち合いのシーンも読みどころの一つですね。

    連載を始めるときに担当さんに言われたのが、「神永さんが書く時代物じゃなきゃいけない。時代物を神永さんが書きにいっちゃだめだ」と。確かにその通りだと思い、「自分らしさってなんだろう」と考えました。ですが、取っ掛かりがなくて迷いに迷って、空気感をつかむために剣術を習いに行ったんです。

    最初は無外流、その後天然理心流に入門して木刀を振ったり、模造刀で抜刀したり。そうした中で空気感や感覚をつかむことができて、書き方が変わったと思います。それが僕のリアルの表現の仕方かもしれないです。史実を厳密に表現する、描写するのとは違う、生身の部分のリアルさですね。

    ほかにも収穫はあって、道場に行くとさまざまな人がいるので、「こんな人が剣術をやっているのか」「こういう考え方なんだな」とキャラ造形の見本になったりして、見ているだけでもおもしろいです。

    ――すべてを作品に生かされている感じですね。

    すべてが取材だと思っているので。よく友達から恋愛の相談をされますが、「聞くけど(ネタとして)使うからね」と断りを入れてから聞いています。そのまま使うことはないですが、「なるほど、こんなふうに思うのか」という考え方の部分では、いろいろなところで生かしています。

    ――本作の最後では、難敵になるであろう新キャラクター・蘆屋道雪が登場し、これまで謎だった浮雲の素性の一端に触れます。今後どのように物語が進んでいくのか、もうシリーズ全体の構想は決まっていらっしゃるのですか?

    土方、近藤、沖田が出ている以上、いつかは幕末に触れなくてはなりません。ただ触れればもう、戻れないので、その大きな時代の流れを一気に書くしかない。まだもうちょっと普段の浮雲を楽しみたいので、今後の展開を意識しつつ、一作一作楽しめる構造にしながら、怪しげなものを匂わせていきたいなと考えています。

     

    ハードスケジュールを乗り切るコツは、「頭を使うよりも、体を動かす」

    ――2月25日には「心霊探偵八雲」の久しぶりの短編集『ANOTHER FILES 亡霊の願い』が発売されました。

    心霊探偵八雲ANOTHER FILES亡霊の願い
    著者:神永学
    発売日:2017年02月
    発行所:KADOKAWA
    価格:660円(税込)
    ISBNコード:9784041042366

    その赤い左眼で霊を見て、会話ができる不思議な力を持つ大学生・斉藤八雲。大学の学園祭が間近な季節、晴香は彼に心霊事件の依頼を持ち込む。劇場に現れる霊、背後につきまとう亡霊、呪いのビデオ。その真相とは!?

    〈KADOKAWAオフィシャルサイト『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 亡霊の願い』より〉

    「心霊探偵八雲」の第1巻が短編3作なのですが、このシリーズで短編を前提に書いたのは13年ぶりくらいです。なかなかおもしろかったですね。作品を作る上でいろいろ勉強になりましたし、1編の長さが「浮雲」と同じくらいの分量なんです。これくらいのリズムが今の自分には合っているんだなと実感しました。

    2月下旬発売の本なのに、2月初めに編集者がゲラを取りにきて、「どきどきしちゃう~。でも出しますよ」と言いながら去っていきました(笑)。『心霊探偵八雲10 魂の道標』も、1月末に書き終えて3月31日には発売とかつかつのスケジュールなのですが、ワクワクしています。

    ――かなりのハードスケジュールですが、みなさん、その状況を楽しんでいらっしゃいそうです(笑)。

    関わっている人がみんな楽しんでやっているからこそ、作品自体も盛り上がっていきますし、その情熱みたいなものも伝わっていくのではないでしょうか。

    そういうしびれる感じって、結構好きなんです。デビューした年も、何もわからない新人ながら1年で4冊出しているんです。大変な作業でしたけれど、いま考えるといい勉強になりました。

    ――そういった面でも走りながら体得されてきた感じですね。

    そうですね。体感したほうがわかりやすいんですよね。「頭を使うよりも、体を動かす」って八雲シリーズの後藤みたいですけれど(笑)。

    新人の頃に、最初についた担当さんに言われたのは、「いまお前の本を買ってくれている人たちは、青田買いをしてくれているにすぎない。お前にできることはその人たちに応えるために、全力で作品に臨んで、成長し続けること。成長をやめた瞬間に、読者は一人もいなくなるぞ」と脅しをかけられました。その言葉が僕の中に染みついています。今後もとにかく毎回全力を出して書いていきますので、ご期待ください。

    (2017.2.21)

    神永 学 Manabu Kaminaga
    1974年、山梨県生まれ。日本映画学校卒。2003年『赤い隻眼』を自費出版。同作を大幅改稿した『心霊探偵八雲 赤い瞳は知っている』で2004年プロデビュー。代表作「心霊探偵八雲」をはじめ、「天命探偵」「怪盗探偵山猫」「確率捜査官 御子柴岳人」「浮雲心霊奇譚」「殺生伝」「革命のリベリオン」などシリーズ作品を多数展開。他に『イノセントブルー 記憶の旅人』『コンダクター』がある。

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