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大学時代に4年間付き合った彼女がいました。でも、社会人になって、2か月で別れました。なぜなら、「りぼん」編集部に配属されたからです。
配属されて初めて読んだ「りぼん」は、恋愛のドキドキに満ちていました。『天使なんかじゃない』(矢沢あい先生)、『ママレード・ボーイ』(吉住渉先生)、『姫ちゃんのリボン』(水沢めぐみ先生)など、今も名を残す名作に触れてしまったのです。
まったりと惰性で続くような恋愛をしていてはもったいない!と、関係に終止符を打ったのでした。
「りぼん」は、小学生の女の子が対象の少女漫画雑誌です。初めて読んで、小学生の女の子はこんなことに興味を持っているのか!と驚きました。もちろん、過激な描写や展開などは無く、初恋を描いた物語が中心です。それでも、小学生時代の私は、恋愛はおろか、初恋すら遠い存在でした。
でも、私が知らなかっただけで、同級生の女の子たちは「りぼん」を愛読していたんですね。
15年前。母校の神戸市立住吉小学校のタイムカプセルを開けました。すると、「りぼん」の付録のレターセットを使った未来の自分への手紙が次々と出てきました。当時は全く分からなかったのですが、封筒のイラストは池野恋先生のものでした。
私が、『Dr.スランプ』のニコチャン大王で大笑いし、『キン肉マン』に夢中だった頃。同級生たちは、『ときめきトゥナイト』の蘭世に憧れ、真壁くんに恋をしていたんです。
女の子たちは、私をはじめとした「クラスの男子」はガキとしか思えなかったでしょう(一部、例外の男子もいたことは認めます)。
恋に目覚めた女の子たちにとって、最初の憧れは、「りぼん」の恋愛漫画という人も少なくないと思います。
小学生の女の子たちが男子よりも大人なのは、今でも変わりません。
『妖怪ウォッチ』に夢中な男子たちを尻目に、小学生の女の子たちは友達との関係に悩んだり、恋愛に憧れたりしています。
残念なことに、漫画雑誌を読む市場は縮小しています。でも、恋愛の需要は減らないはず。
1人でも多くの女の子たちに、「りぼん」を手に取ってもらいたい。そのためのチャンスが今年です。
8月に創刊60周年を迎えます。注目されるチャンスです。豪華な付録を連続して付けていきます。小学生の女の子が憧れるものを続けて提供します。
春からの付録は、ショルダーバッグ&ポーチ、長財布、カフェモチーフの文具セット、リュック、ネイルセットと、小学生女の子たちの憧れの人気アイテムが毎号付いています(※)。
この作戦で、手に取っていただきます。そうすれば、65周年、70周年と「りぼん」の歴史は続いていくでしょう。
なぜなら、今の「りぼん」も恋愛漫画の内容は充実しているのです。私の同級生の女の子たちが憧れた作品に負けません。そして、私が学生時代の彼女と別れる決意をした時と同様に、恋愛のドキドキに溢れています。読んでさえもらえれば自信のある内容です。
男子たちよりも大人な小学生の女の子たちを夢中にさせる「りぼん」でこれからもあり続けます。
この歴史を重ねていかなきゃいけない理由が1つ。
私には、もうすぐ1歳になる子どもがいます。娘にも、「りぼん」を読んで欲しい。恋愛に憧れるような女の子に育つのが楽しみです。そのためにも、新米の父ちゃんは日夜、頑張っています。
(※)画像は8月号付録のシャイニーネイルアートセット
集英社「りぼん」編集長 冨重実也 ―TOMISHIGE Jitsuya
1971年生まれ。熊本県出身。1993年、集英社に入社し、「りぼん」編集部に配属され10年勤務。5年間の「マーガレット」編集部を経て、再び「りぼん」。2012年10月より現職。
「りぼん」
創刊60周年を迎える少女漫画誌(1955年創刊)。毎月3日発売。恋愛漫画だけでなく、「ちびまる子ちゃん」のように幅広い作風の作品を生む。最近は、母娘で一緒に読まれる傾向も。
集英社「りぼん」公式ホームページ
http://ribon.shueisha.co.jp/
りぼん創刊60周年記念サイト「250万乙女のバイブル 思い出の扉」
http://ribon60th.com/
(「日販通信」2015年4月号「編集長雑記」より転載)