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デビューから2作連続で直木賞候補となり、本日、初の純文学作品『カブールの園』で第156回芥川賞へのノミネートが発表された宮内悠介さん。いま最も注目と期待を集める作家の最新作『月と太陽の盤』のテーマは、デビュー短編「盤上の夜」と同じ「囲碁」。「1作1作バラバラのことを書きたくなってしまうので、幾ばくかでも共通点を持たせています」。自身も有段の腕前で、スマホの囲碁アプリで一局打つことから一日が始まる。その後は近くの喫茶店で集中したり、布団に寝転がってノートパソコンに向かったり。その日の状況によって執筆している。
『月と太陽の盤』は、放浪の碁盤師・吉井利仙と彼を師と慕う若き囲碁棋士・愼が、囲碁をめぐる事件の謎を解決していく連作ミステリ。SFでデビューした宮内さんにとって、ミステリは「新たな挑戦」であり、収録作はデビュー当時から書き溜めてきたもの。宮内さんのこれまでの「履歴にもなっている」本作は、新本格からコンゲーム風、文芸調のものまでバリエーション豊富。ミステリとしての面白さはもちろん、碁盤師という職業の興味深さや愼の成長など読みどころも満載だ。
「書き方やデバイスはその日の気分。パソコンやタブレット、調子が悪いときはスマホのメモ帳が良かったりします。手書きも“書いて消して”にならないので否応なしに前には進みますね」。宮内さんの左手にあるのは初代のポメラ。「デビュー前、プログラマーをやっていた頃に買ったもの。起動が早く文章作成専用なので、すき間時間にものを書くときに重宝しました。その初心を忘れたくなくて、いまも持っています」。その下にあるキーボードで作曲することがいい気分転換になっている。
短編デビュー時にサークルの先輩がプレゼントしてくれた万年筆は、「将来、翻訳されるときの契約書にサインするために」と選んでくれたアメリカ製のシェーファー。雑誌掲載時のゲラとともに。作中の見取り図もすべて宮内さん作成。
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宮内悠介 Yusuke Miyauchi
1979年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。2010年、短編「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞山田正紀賞を受賞。デビュー作品集『盤上の夜』で第147回直木賞候補、第33回日本SF大賞受賞。『ヨハネスブルグの天使たち』で第149回直木賞候補、第34回日本SF大賞特別賞受賞。2013年、第6回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞を受賞。
(「新刊展望」2017年1月号「創作の現場」より転載)