'); }else{ document.write(''); } //-->
今年の2月末、松谷みよ子先生が御歳89歳でお亡くなりになられた。
絶版本の復刊の仕事をしていた時分、縁あって僕は先生の作品を担当させていただくことになり、出版契約を結ぶためにご自宅を訪問し、『いないいないばあ』(1967年、童心社)についての創作エピソードや、『ちいさいモモちゃん』(1964年、講談社)シリーズにおける両親の離婚について等々、短時間ながらいろいろとお話を伺った。そして僕は、当時オンエアしていた『仮面ライダー電王』(2007年、テレビ朝日系列)で気になっていたことについて、先生に直接尋ねたのだった。
「先生、今やってる仮面ライダーって昔話の主人公をモチーフにしているんですよ。たとえば、モモタロスってのは桃太郎で、キンタロスってのは金太郎がイメージなんです。 でね、先生、その中にリュウタロスってのがいるんですが、先生、そのキャラクターのイメージって、なんと、先生の『龍の子太郎』(1979年、講談社)なんですよ!先生、そのことをご存知でしたか?」
松谷先生はまったくご存知なく、ただ、驚かれて、そしてうれしそうだった。ほんとにニッコリされて、僕もうれしかった。
後日、僕はリュウタロスの画像を印刷したものを、先生へ郵送した。
我ながらなんという話をしたんだろうかと思うところもあるけれど、先生が醸し出すフランクな空気の中、そんな質問をしたことは、僕にとってとても大切な思い出だ。
合掌。