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植草:第2問。葉っぱが緑色に見えるのはなぜでしょうか?
①緑色の光を吸収するから
②緑色の光を捨てるから
③緑色の光を体内で生成するから
西畠:太陽の光というのは7色の光に分けられるといわれていて、それが合わさって白色光という透明な光になります。その光が何かにあたって反射して、人の目に映ります。たとえば青色の植木鉢だったら、7色のうち青色だけを反射して、それが目に映るから青色に見える。つまり青以外の6色は吸収しているんです。それが視覚の原理なのですが、じゃあ植物の葉っぱはというと、緑以外の色を吸収して、緑だけはいらなかった。つまり答えは②です。それはなぜか、については『はつみみ植物園』に書いてあります。
植草:第3問。なぜ花見は桜と決まっているのでしょうか。
①神様が降り立つ木だから
②死者を弔う木だから
③中国から入ってきた文化を取り入れたから
西畠:僕は桜が非常に好きで、しゃべり始めたら明日の朝までかかるのですが、桜というのは元々「サ」と「クラ」という文字が合わさった名前です。「サ」は神様のこと。「クラ」は鎮座する場所の意味があって、つまり神様が下りてくる場所という名前がつけられている。なので答えは①です。
桜がブームになったのは実は平安時代以降で、それまでは梅が主流でした。でも桜が日本で普及しはじめたら、誰もが別格だと思った。これこそが神様のやどり木だということで、桜という名前が付けられたといわれています。
また、梅や桃は枝に直接花がついているので、横を向いたり上を向いたりしています。すべてバラ科の植物ですが、ボケやカリン、アーモンドの花もみんなそうです。でも桜は、サクランボのヘタを思い出していただきたいのですが、枝からぴょんとへた(花柄)が出ていて、その先に花がついている。なぜかというと、桜は花が大きいので、いっぱい咲いたときに、へたがないと花同士が当たりあって傷ついてしまう。だから、お互い当たらないように首を伸ばしているんです。そうすると重力で花が下を向くので、人が宴をしながら座って見上げると、桜は上からこちらを見ていてくれる。なので美しく見えるんです。そのため花見では、より一層桜が愛でられるようになったともいわれています。
植草:第4問です。サボテンといえば、みなさんトゲのイメージがあると思いますが、サボテンにトゲがある、その隠された理由とは何でしょうか?
①紫外線を吸収するため
②体温を下げるため
③水分を効率よく吸収するため
西畠:サボテンのトゲはそもそも何だと思いますか。普通の植物でいうと、葉っぱが進化したものなんです。ではなぜサボテンは葉っぱの替わりにトゲにしたのか。ひとつは動物にかじられないように自分を守る防衛機能として。もうひとつは葉っぱの働きに関係があります。
葉っぱの大まかな働きは光合成、蒸散、呼吸の3つです。養分を作り出したり、水分を出したり、呼吸をしたりと、葉っぱはものすごい勢いで運動しています。つまり葉っぱがついているのは植物が運動している状態なので、それを保つためには水分や栄養が必要です。日本の山だと落ち葉がいっぱいあってそれを微生物が分解して、木にとって栄養素が豊富な土壌になる。でも砂漠では全然雨が降らないし、木もほとんどない。そういう荒れた土地に育ったサボテンは、運動量を減らさないといけない。全然吸収できないのに大きな葉っぱをつけていたら、生きていけないわけです。形としてトゲが一番効率がいい。しかも葉っぱと違って数が半端ではない。
そのトゲが何をしているかというと、ああ見えて実は日陰を作っているんです。身の回りをトゲで覆うことで、熱い太陽から自分で影を作って体温を下げている。だから答えは②なんですね。なんだか理科の先生の気分になってきました(笑)。
植草:では最後の問題。クリスマスツリーの季節が間もなくやってきますが、クリスマスツリーには背景にある文化が潜んでいました。それは何でしょうか。
①木には妖精が宿る
②木には祖先が宿る
③木には幸運が宿る
西畠:これ、実は解釈によっては2つ答えがあるんです。間違っているのが1つあるということで当てていただきましょうか。
植草:僕もいまそう思いました。では、これは違うという番号を選んでください。
西畠:みなさんご存じの通り、そもそもクリスマスは、イエス・キリストの誕生日です。クリスマスツリーがどういう経緯で日本に入ってきたかについては諸説ありますが、基本的には西洋からやってきて、背景には樹木信仰、自然崇拝があります。毎年イエス・キリストの誕生日に冬になっても葉を落とさない、青々としている常緑樹を飾って、食べ物を置いたり飾りつけをすれば、妖精が幸せを運んできてくれるという理由で始まったというのが有力な説です。というわけで、違うのは②です。
植草:①と③が背景にあるということですね。
『はつみみ植物園』にはクイズで出題したほかにもたくさんの豆知識が入っています。清順さんのプライベート情報も入れてありますので、ご興味のある方はご覧ください。一作目の『そらみみ植物園』も珍しい植物についてたくさん書いてありますので、ぜひ手に取っていただければと思います。
本日はありがとうございました。
(「新刊展望」2016年12月号より転載)