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日本アカデミー賞ほか国内映画賞を総ナメにした『悪人』のタッグに、世界を魅了し続ける天才・坂本龍一と豪華俳優陣が集結した映画『怒り』。9月17日(土)の映画公開に先立って、『小説「怒り」と映画「怒り」』が発売されました。小説で残された謎に8つの証言で迫るオリジナル小説のほか、妻夫木聡さんとの特別対談、吉田修一全作品解説などが収録されています。
映画ガイドにとどまらないこの『小説「怒り」と映画「怒り」』が作られたきっかけとは? 今回は担当編集者の方に寄せていただいた作品ガイドをご紹介いたします。
2014年1月に単行本の『怒り』が刊行となり、読者からの声や著者への取材で一番多かったのが、「犯人・山神一也の『怒り』とは?」という問いでした。
吉田修一さんの答えは、「執筆しながら色々と探ってみたけれど、結局、わからなかった」。読み手の想像に委ねられたのです。
本の刊行後、ほどなく映画化が決まり、『悪人』の李相日監督がメガホンを取り、主演の渡辺謙さんはじめ、超豪華キャストが揃うことに。こんな大きな“お祭り”に参加する機会はそうそう巡ってこないため、「『怒り』をさらに盛り上げよう!」というのがこの本の出発点でした。
映画関連本といえば、ビジュアルムックが王道ですが、今年1月、『怒り』文庫化の際に集まってくださった書店員の皆さんから寄せられたのは、「『怒り』のスピンオフが読みたい!」との熱烈オファー。そこで、「『怒り』エピソード0」のご執筆をお願いし、その作品を核とした「『怒り』をもっと楽しむための本」という基本方針が固まりました。
では、『怒り』ファンが読みたいスピンオフは……と考えたとき、冒頭の「山神の『怒り』とは?」という問いが浮かんだ、と吉田さん。答えそのものではないけれど、少しでも山神という人物に迫れれば、とオリジナル小説「八つの証言」が生まれました。両親をはじめ、ある時期の山神と関わった人々が彼について語ります。
『悪人』『怒り』に出演の妻夫木聡さんとの特別対談も必読。吉田作品への思いを熱く熱く、語ってくださいました。
「吉田修一全作品解説」では、刊行された30冊を全て取り上げています。全冊読破された方には「こんな読み方があるのか」と、未読の方には次の1冊を選ぶ参考にしていただけたら嬉しいです。
他に、李相日監督インタビュー、エッセイ「映画撮影現場を訪ねて」を収録。文庫サイズですが中身の詰まった、読み応えある1冊です。
(文・中央公論新社 文芸局 山田有紀/「新刊展望」2016年9月号「エディターの注目本ガイド」より転載)
吉田修一さんの小説を原作とした映画「怒り」は、9月17日(土)より公開。主演の渡辺謙さんをはじめ、森山未來さん、松山ケンイチさん、綾野剛さん、広瀬すずさん、宮﨑あおいさん、妻夫木聡さんといった、まさに日本を代表する豪華俳優陣が集結しています。
ある夏の暑い日に八王子で夫婦殺人事件が怒った。
窓は締め切られ、蒸し風呂状態の現場には、「怒」の血文字が残されていた。
犯人は顔を整形し、全国に逃亡を続ける。その行方はいまだ知れず。
事件から一年後。千葉と東京と沖縄に、素性の知れない3人の男が現れた。(映画「怒り」公式サイトより)
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