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  • 容姿・家柄抜群、スポーツも勉強もトップクラスなのに、なぜ初恋が叶わない!?『勝ち目がないのは俺だけか!』

    2023年01月08日
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    花森リド:講談社コミックプラス
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    勝ち目がないのは俺だけか! 01
    著者:小村あゆみ
    発売日:2022年11月
    発行所:講談社
    価格:715円(税込)
    ISBNコード:9784065297759

     

    カンペキなオレ様の初恋が叶わない

    ケチのつけようがないくらいピカピカでパーフェクトな人生を送っているはずの人が、なんだか妙なドツボにはまっているのを見ると、満面の笑みで「がんばれ!」と思う。

    『勝ち目がないのは俺だけか!』の“瑞樹”の人生は完璧すぎた。容姿・家柄どっちもピカピカで、スポーツも勉強もトップクラス。当然モテる。

    この余裕の表情! いいなあ、強烈なドツボにはまってほしい。

    人生勝ちっぱなしで負け知らずのオレ様の唯一の失敗はというと。

    子どもの頃の初恋、これだけは失敗していた。まあしょうがないよね、パーフェクトなオレ様にだって上手(うま)くいかないことがあるよね……と思ったら!

    結婚して海外に渡っていた初恋の人“千秋”と再会するのだ。しかも千秋は離婚済み! 生活の拠点を日本に戻すのだという。えー、やっぱり完璧すぎる人生を歩む人は初恋の失敗すら回収するわけ?

    リベンジに向けて着々と歩みを進める瑞樹は、千秋が始めたシェアハウスに入居する。再会したと思ったらもう同居か。人生完璧。

    さあ、もはや当時のオレとは違うぞ! と意気込む瑞樹の前に邪魔などないハズ……だったのに、千秋のシェアハウスにもう一人の入居者が現れる。

    瑞樹の幼なじみ・“苺”。かわいい。

    苦労して入った名門校を辞めてまで千秋のシェアハウスにやってきた理由は?

    「黙って見てらんないもん」だそう。モテてモテてしょうがないオレ様のモテパワーがこんなところでも火を吹いちゃうわけか。

    本当にラノベのタイトルのような状況。せっかく千秋と二人きりになれると思ったのに、思わぬ邪魔が入っちゃった。まいったね。ところが、だ。

    あれ? ハーレムってこういうカサカサな感じなんだっけ。

     

    そっち?

    初恋を取り戻すぞと鼻息荒くシェアハウスでの新生活を始めた瑞樹は、初日の夜にある事実を知ることに。

    苺は千秋のことが好き。つまり苺の恋の相手は瑞樹ではなく千秋なのだ。そして千秋の恋愛対象が女性であることもここで明かされる。完璧な人生を歩いてきた瑞樹の「オレじゃなくて?」ってセリフがとてもいい。

    そう、苺が高校を辞めてまで千秋のシェアハウスに引っ越してきたのは、千秋のことが忘れられなかったから。そして冒頭で紹介した苺の「黙って見てらんないもん」というかわいいセリフの真意もここでわかる。瑞樹が千秋を奪うのでは、と気が気じゃなかったらしい。

    キラキラがとまらない女子2名。瑞樹がどんどんモブキャラのようになっていくなあ。

    以上の事実をふまえると、それまでの瑞樹によるイケメンモテモテ仕草が全部おもしろくなる。

    苺の恋の相手を自分だと思い込んでいたころの瑞樹の心の声が大好きだ。「勝ち目はないのに」や「皮肉なもんだな」とは、瑞樹自身のためのセリフだった。

    しかもダサいのは心の声だけじゃない。クソイケメンこと瑞樹は学校でも思いっきり言っちゃってるのだ。何も知らないままにビッグマウスを炸裂させていた。

    まさか自分が恋愛対象から外されているとも知らずにこの余裕。あーあ。クソイケメンの完璧な人生だったはずなのになあ。完璧な人生が崩れるときは、あれよあれよと崩れていくらしい。

    よりによって苺は瑞樹のクラスメイトとなる。自分であれだけ言いふらしていたのだから無理もない話だが、苺が教室に入る前から「お前のことが好きな転校生」としてみんなに知れ渡っている。苺はお前のこと全然好きじゃないのに。詰んでるなあ。

    ついでに千秋との関係も複雑なものに変わっていく。

    くそほども意識されていないと、ラッキースケベってこんなにむなしいものなのか。

    ちがうよオレが好きなのは千秋なんだよ! というか「瑞樹も苺のこと好きだったんだね」ってことは……!

    こうして人生負け知らずだった瑞樹の勝率は限りなくゼロに近づいていくのだが、彼だってやられっぱなしじゃない。

    勘違いとビッグマウスでピンチに陥る様子はかっこわるくて笑っちゃったけれど、この瑞樹はかっこわるくない。むしろかっこいい。勝ち目のありなしで恋をするわけじゃないもんね。健闘を祈る。

    (レビュアー:花森リド)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2022年12月25日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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