'); }else{ document.write(''); } //-->
「12星座シリーズ」やエッセイで知られる人気ライター・石井ゆかりさん。新刊『子どもの自分に会う魔法 大人になってから読む児童文学』は、大人が読む児童文学の魅力に迫った読書案内です。担当編集者の方に作品ガイドを寄せていただきました。
「12星座シリーズ」など心に響く占いやエッセイが人気のライター・石井ゆかりさんが、大人になってから読む児童文学の魅力に迫ります。
取り上げる作品は『あおくんときいろちゃん』『手ぶくろを買いに』『赤毛のアン』『クマのプーさん』など国内外の名作30作品。「私たちの心の『一番最初』」という章に収められた『こいぬのくんくん』。こいぬのくんくんは迷子の女の子を探しに出かけます。くんくんは皆に女の子を見かけなかったか訊いて回りますが皆「自分の仕事で忙しかったから知らない」と答えます。その時、くんくんは自分の鼻が自分に何かを教えてくれていることに気づくのです。
石井さんは「これらは、ありのままの現実です。誰に頼ることもできないと解ったとき、卒然として自分のなかにある力に気づく。大人になる途中で、私たちのだれもが経験する、大事な通過点です。」と述べます。
大人になっても誰にも頼れない、そんな危機はやってきます。
「絵本が幼かった私たちの『根』でありうるなら、大人になって苦悩したとき、またその根っこに立ち返り、不足した水と養分を吸いあげて、ふたたび飛び立つための力を得ることもできるのかもしれません。」と石井さんは結びます。
そう児童文学は子供たちの様々な生きる力をはぐくむと共に、大人にもピンチを乗り越え人生を明るく生き抜くシンプルなヒントを与えてくれるものなのでしょう。
また石井さんが「私が偏愛した本はすべて、なにかしら『自分と似たものを持った主人公が出てくる』本でした。」と書かれる通り、今、児童文学を読むと幼い頃の自分の姿や想いがありありと甦ってきてびっくりします。皆さんもこの本をガイドに児童文学を改めて読んで幼き日の自分に再会してみませんか?
*
文・白泉社 書籍編集部 神永友里恵
(「新刊展望」2016年8月号「エディターの注目本ガイド」より転載)