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「福家警部補」などの人気シリーズで知られるミステリー作家・大倉崇裕さんは、気づいた時には「怪獣が三度の飯より好きだった」という筋金入りのマニアでもある。
好きな怪獣映画はDVDのハードディスクに録画し、観たい時にパッと見られる状態に。映像ソフトやプラモデル、フィギュアなどの怪獣グッズは、近くにある実家の一室に集めてある。「中学・高校の頃は、映画はレンタルビデオを借りて観るしかなかったので、手に入るならとつい買ってしまいますね」
最新作『スーツアクター探偵の事件簿』は、スーツアクターの凸凹コンビが撮影所で起こる事件を解決していく連作短編集。大きく重い怪獣の着ぐるみを身に纏い、高いレベルの芝居を求められる彼らは、いわば縁の下の力持ち。そのプライドや挫折、葛藤を通して、「スーツアクターという仕事の実体と魅力が描ければいいなと」。怪獣映画を観つくしてきた大倉さんの、特撮へのオマージュと愛が込められた本作。謎解きのおもしろさはもちろん、読めばきっと怪獣映画が観たくなる。
机は大倉さんのお父様が亡くなるまで愛用していたもので、使いこまれた味わいがある。「いつ買ったのかはわからないけれど、50年くらいは経つんじゃないかな。ひきだしの中はオヤジが使っていたままなので、15年くらい前の切手なんかも入っています」。現在1歳8か月の長男が生まれてからは、「子ども中心の生活」。仕事の合間に掃除や保育園のお迎えなどをこなしながらも、「プラモデルは毎日必ず作ります」。ミニチュアワークは大倉さんが最も心惹かれる、特撮の醍醐味でもある。
時計は、新人賞を受賞した際、通っていた小説講座の仲間がお祝いにくれたもの。手前は大好きなクリント・イーストウッドが市長を務めたカーメルを訪れた際に見つけた「ウルトラマンみたい」なペン。仕事机とあわせた3つが大倉さんの「三種の神器」。
大倉崇裕 Takahiro Okura
1968年京都府生まれ。学習院大学法学部卒業。1997年「三人目の幽霊」で第4回創元推理短編賞佳作、1998年「ツール&ストール」で第20回小説推理新人賞を受賞。著作に『七度狐』『白戸修の事件簿』『オチケン!』『ペンギンを愛した容疑者』『GEEKSTER』、TVドラマ化された「福家警部補」シリーズなど多数。
(「新刊展望」2016年8月号「創作の現場」より転載)