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  • ワケあり女三人が始めた商売は”男と女の密会所”…!? たくましく生きる姿に元気をもらえる時代小説!|泉ゆたか『れんげ出合茶屋』

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    2022年10月20日
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    細谷正充:「小説推理」BOOK REVIEW
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    元お嬢様のお志摩。働き者のお咲。純情で尻軽なお香。

    女3人で始めた出合茶屋は、どうなるのか。

    泉ゆたかの新作は、厳しさと優しさが詰まっている。


    泉ゆたかは、常に快調である。『お師匠さま、整いました!』で第11回小説現代長編新人賞を受賞すると、以後、『髪結百花』『お江戸けもの医 毛玉堂』『江戸のおんな大工』と、時代小説を順調なペースで刊行。『おっぱい先生』という現代小説も執筆している。

    一方で、「お江戸縁切り帖」「眠り医者ぐっすり庵」という文庫書き下ろし時代小説シリーズを抱えており、こちらも評判になっている。そんな作者の最新刊が上梓された。上野不忍池の畔で、出合茶屋を始めようとする女3人を活写した佳品だ。

    口入屋で一番の腕利き女中のお咲は、新たな仕事を得た。上野不忍池の畔で新たな商売を始めるという女主人の「ちょっとやそっとのことでは動じない、うんと気の強い女を寄越しておくれ」という依頼主の言葉に、口入屋が応えてのことだ。いざ上野に行ってみれば、そこにいたのは呉服屋「紅葉屋」のお嬢様だったお志摩である。かつて母親が「紅葉屋」に奉公していたお咲は、お志摩の遊び相手をしていた。しかし「紅葉屋」が潰れてからの消息は、分からないでいた。ここで出合茶屋を始めるというお志摩に、何があったのだろうか。

    戸惑うお咲だが、お志摩の知り合いで、純情だが尻軽なお香と、成り行きで居候になった絵師の左之助も加えて、開店の準備に追われるのであった。

    デビュー作の受賞スピーチで作者は、「働く人を描きたい」といっていた。本書もそれを形にしたものといっていいだろう。「蓮華屋」と名付けた出合茶屋に集まった女3人。開店時期を考え、最初は蓮飯屋をやるなど、波乱含みだ。しかしそれを活用し、ユニークな出合茶屋にする。それぞれの長所を生かして店を繁盛させていく、3人の行動が楽しい。特に、現代の諸相からフィードバックしたような、お志摩の数々のアイデアが愉快であった。

    さらにストーリーが進むと、3人の抱える過去が見えてくる。誰もが悲しい過去を持って、それが今の生き方に繫がっている。女性ならではの苦悩を掘り下げる、作者の筆致は厳しいが、彼女たちを見つめる眼差しは温かい。さまざまな騒動を経て、前向きになっていく3人の心が、気持ちよく表現されているのだ。

    また、左之助の抱える事情や、彼とお咲の関係、出合茶屋を利用する女たちのあっけらかんとした姿なども要チェック。読みどころの多い作品なのである。

    れんげ出合茶屋
    著者:泉ゆたか
    発売日:2022年09月
    発行所:双葉社
    価格:1,760円(税込)
    ISBNコード:9784575245547

    「小説推理」(双葉社)2022年11月号「BOOK REVIEW 双葉社 注目の新刊」より転載




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