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最強の相棒小説が帰ってきた!
仕事とは何かを問いかけるそれぞれの戦い、そしてアクション。
声だけでつながる今度の武本&潮崎は、ひと味違うぞ。
あの武本&潮崎コンビが帰ってきた!
無骨で口下手、誠実だけど不器用、見た目は強面というよりはっきり怖い武本と、お茶の宗家に生まれた筋金入りのおぼっちゃまにしてミステリマニア、喋り出したら止まらない潮崎。『それでも、警官は微笑わらう』『そして、警官は奔はしる』で完璧なバディぶりを見せてくれた二人の刑事が、ようやく帰ってきた。
が、今回はちょっと毛色が違う。
まず、二人がラスト間際まで顔を合わせないのだ。物語は武本の見合い(!)場面から始まる。ところがそのホテルで異臭騒ぎが起き、彼は職業意識から事件に対応しようとする。ところが異臭騒ぎどころではない大きな事件がこのホテルで起こり、事態は人質立てこもり事件へと発展、武本はひとり、犯人グループを相手に戦うことになるのだ。
一方、警視に昇進した(!)潮崎は、ホテル内に武本がいることを知り、ある方法で彼に連絡をとる。つまり本書ではこの最高のコンビが会話だけで──しかも犯人に聞かれているかもということを考慮して、核心をぼかしながらの会話だけで事件にあたるという構成なのだ。
もうひとつ大きな違いがある。これまで様々なエピソードがみっちり詰め込まれていたこのシリーズにあって、本書は「ホテル立てこもり事件」というひとつの事件に絞られた数時間の物語なのである。展開はスピーディで、読者に息つく暇を与えない。謎の犯罪組織や双子の少年殺し屋まで登場するに至っては、まるでハリウッドのアクション映画を見ているかのようだ。
これまでのシリーズ作品に慣れた目で読むと、もしかしたら戸惑うかもしれない。けれどすぐに、違う魅力に気付くだろう。武本も潮崎も、それぞれの持ち場で戦っている。けれどひとたび(たとえ声だけでも)ふたりがタッグを組めば、そこには余人にはわからない繫がりがはっきりと浮かび上がる。互いに抱く全幅の信頼が胸を熱くする。バディとはいつも一緒にいるからいいというものではない。ひとりの戦いであっても、背後にその存在がある、それこそが真のバディだ。
テーマの強さも健在。「仕事とは何か」だ。武本も潮崎もホテルマンもそして見合い相手も犯人でさえも、さまざまな障害に遭いながら自分の仕事を全うしようとする。構成は変わっても変わらぬ熱さがここにある。