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「家族」という言葉であなたが思い浮かべるのは、どんな姿でしょう。「サザエさん」の磯野家のように3世代で食卓を囲む姿? それとも、「ドラえもん」の野比家のような、父母子(そしてドラえもん)の親子関係でしょうか。
シングルペアレント、同性同士のパートナー、血縁関係のない親子など、「家族」のありようは多岐にわたります。また、タレントのryuchellさん・pecoさんが夫婦関係を解消し、「人生のパートナーとして暮らしていく」と公表したことは、これからの時代の「家族のかたち」について考えさせられるニュースでした。
多様な家族のあり方が顕在化している今読みたい、「家族」にまつわる本をご紹介します。ここでピックアップした6冊には、さまざまな家族構成や、家族間での人間関係が描かれています。これらの本を手に取って、改めて「家族ってなんだろう?」と考えてみるのはいかがでしょうか。
私には五人の父と母がいる。その全員を大好きだ。
高校二年生の森宮優子。生まれた時は水戸優子だった。その後、田中優子となり、泉ヶ原優子を経て、現在は森宮を名乗っている。名付けた人物は近くにいないから、どういう思いでつけられた名前かはわからない。継父継母がころころ変わるが、血の繋がっていない人ばかり。「バトン」のようにして様々な両親の元を渡り歩いた優子だが、親との関係に悩むこともグレることもなく、どこでも幸せだった。(文藝春秋公式サイト『そして、バトンは渡された』より)
「複雑な家庭環境で育った」と表現するとなぜか不幸に聞こえるものですが、この物語は違う視点を与えてくれます。血の繋がりは無くとも愛情で繋がる家族のかたちに、心が温まる一冊です。
「恋愛や性的な話を振られてもよくわからない。でも愛想笑いをしていれば大丈夫……」
咲子は、そんなもやもやとした気持ちを家族や友人、同僚に理解されないまま、恋愛や結婚を促され続け、居心地の悪さを感じていた。そんなある日、「アセクシュアル・アロマンティック」というセクシュアリティを自認する男性・高橋と出会い、驚くと同時にどこか救われた気持ちになる。
誰にも恋愛感情を抱かず、性的にも惹かれないふたりが、自分たちなりの生き方を模索すべく始めた共同生活は、家族、同僚、元彼、ご近所と周囲に波紋をひろげていく。その生活の先にある、それぞれの「幸せ」のあり方とは!?(NHK出版公式サイト『恋せぬふたり』より)
2022年1~3月にNHKで放送され、話題を集めたドラマ「恋せぬふたり」の小説版です! 互いに恋愛感情を抱かない、男女ふたりの共同生活。「普通」や「当たり前」に縛られない、家族のかたちを描いています。
舞台はAI(人工知能)の開発が進み、家事や仕事にアンドロイドが従事する近未来。法廷弁護士として働く妻・エイミーとは対照的に、仕事も家事もせず家で過ごす34歳のベン。夫婦はもはや崩壊寸前。ある朝、ベンは自宅の庭で壊れかけのロボットを見つける。「四角い胴体に四角い頭」という、あまりにもレトロな風体のそれは、自分を「タング」と名乗った。アンドロイドにはない「何か」をタングに感じたベンは、彼を直してやるため、作り主を探そうとアメリカに向かう。そこから、冴えない中年男と時代遅れのロボットの冴えない地球を半周する旅が始まった――。
(小学館公式サイト『ロボット・イン・ザ・ガーデン』より)
壊れかけのロボットを修理するための旅のなかで、主人公ベンは自分の傷ついた心や崩壊しかけた夫婦関係と向き合うことに。底抜けにキュートなロボット・タングとの対話が楽しい旅の物語でもあり、「家族の再生」を描いた物語でもあります。
本作は、2020年に劇団四季がオリジナルミュージカル化、今夏には「TANG タング」のタイトルで、日本を舞台に二宮和也さん主演で映画化されたことでも話題となりました。
中学三年生の悠人は、高校受験を控えている。優秀な兄・直人や、家族を置いて家を出ていった父親、悠人でなく直人に大きな期待をかける母親、といった家族のなかで、自分の存在意義を見出せない悠人は、日課にしていたランニングの途中、公園のブランコに座る少女・朱音と出会う。どこか影のある表情の朱音に、次第に惹かれていく悠人。朱音が、病気の母親の介護や幼い妹の世話、家事をひとりで背負う“ヤングケアラー”であることを知った悠人は、彼女の力になりたいと考えるようになるが……
(くもん出版公式サイト『with you』より)
2022年1月の厚生労働省の調査では、小学6年生のおよそ15人に1人が「家族の世話をしている」と答えたことが分かっており、ヤングケアラーは身近な存在といえます。外からはなかなか見えにくい、家族の事情。この小説を読むことが、彼らのことを知る第一歩になるかもしれません。
「家族」がメインテーマではありませんが、家族を含めた人間関係の描かれ方に心が揺さぶられる小説を2冊ご紹介します。
「母が死んで、『死にたい』と思っていた僕の何かは死んだ』。14歳で母を亡くした浩輔は、同性愛者である本当の自分の姿を押し殺しながら過ごした思春期を経て、しがらみのない東京で開放感に満ちた日々を送っていた。30代半ばにさしかかったある日、癌に冒された母と寄り添って暮らすパーソナルトレーナー、龍太と出会う。彼らとの満たされた日々に、失われた実母への想いを重ねる浩輔。しかし、そこには残酷な運命が待っていた・・・。
(小学館公式サイト『エゴイスト』より)
2023年春に、鈴木亮平主演・宮沢氷魚共演で映画公開予定の作品です。同性愛者である主人公の、パートナーとその母を救いたいという想いは、「愛」なのか。それとも彼の「エゴ」なのか。ぜひ読んで考えてみてください。
風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。(講談社公式サイト『汝、星のごとく』より)
瀬戸内の島で出会った17歳の男女の、15年間にわたるすれ違いと切ない想いを描き、10万部を超えるヒットとなっている『汝、星のごとく』。“親ガチャ”という言葉で表されることもあるように、人が生きていく上で、家族のしがらみや問題は人生に大きな影響を与えることもあります。「人と人はわかりあえない」と語る凪良ゆうさんが描く、一筋縄ではいかない恋愛、親子、夫婦のかたち。ほんのひきだしでは、著者の凪良ゆうさんのインタビュー記事を掲載していますので、あわせてお読みください。
・「人はわかり合えない」を出発点に真正面から恋愛を描く『汝、星のごとく』凪良ゆうインタビュー