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  • 「好きなはず」→「ちがった!」の無限ループ!? 天然女子と自意識過剰イケメンのラリーが美しい『カノジョは絶対、ボクのこと好きなはず』

    2022年06月19日
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    花森リド:講談社コミックプラス
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    カノジョは絶対、ボクのこと好きなはず 1
    著者:白井三二朗
    発売日:2022年05月
    発行所:講談社
    価格:715円(税込)
    ISBNコード:9784065279496

     

    自分で自分を「イケメン」と言えるハート

    自分で自分のことを「イケメン」と表現する人のことが好きだ。ハートに芯がありそうだし、客観性があるのかないのかちょっとわからない点もチャーミングで大変よい。その歪みない自己愛にホッコリする。ずっとそのままでいて!って思う。

    『カノジョは絶対、ボクのこと好きなはず』の主人公・“刈須磨響(カリスマヒビキ)”は自分のイケメンぶりを自覚して生きる高校2年生。歌舞伎町のホストの源氏名みたいな本名を持つ彼は、毎日毎日「僕はイケメンだ」と考えながら登校している。

    「ちょっと変わった趣味などがないわけではない」と言い添えるあたりもとてもいい。自意識がビンビンしている。

    そんな彼の前に強敵が現れる。

    隣の席の半井(なからい)さん。この半井さんの言動のひとつひとつに、イケメンこと刈須磨は振り回され続けるのだ。全話ぜんぶ好き。

     

    妄想がとまらない

    半井さんの破壊力はこんな感じ。たとえば大雨の放課後。

    刈須磨の「ははっ 彼女なんていないよ」という答えは嘘じゃない。刈須磨はイケメンだけど女子と付き合ったことがまだないのだ。そんな事情も手伝ってか刈須磨のイケメンセンサーは敏感に異常を検知する。

    目がクワッ! ここから彼の一人頭脳バトルが始まる。

    半井さんの何気ない一言をこねくり回して刈須磨が出した答えはひとつ。

    僕はイケメンだから隣の席の半井さんに好かれるのもやむなし。刈須磨は自身が立てた仮説を立証するために推理(妄想)をドライブさせ続ける。

    たしかに破綻はないかもね……と思ったら。

    全然待ち伏せされてなかった! 刈須磨は自分の勘違いをとっさに悟るところがとてもかわいい。そう、彼はものすごくいいやつなのだ。刈須磨の善良なるイケメンぶりが毎話さりげなく描かれる。

    ほらね、とっさに取る行動がとても優しい。見返りを期待せずにこういうことをサラッとできちゃう。

     

    「好きなはず」→「ちがった!」の無限ループ

    「僕のこと好きなんじゃない?」からの「ちがった!」をいくら経験しようが、刈須磨は半井さんがポロポロとこぼす些細な気配を決して見落とさない。まるでパンくずをつつく鳩のようだ。だから半井さんとの会話が続く限り、刈須磨の「僕のこと好きなんじゃない?」の推理も続く。

    天然女子と自意識過剰イケメンのラリーが美しい。

    刈須磨は半井さんとの会話では極力動じないふりをしているが……?

    思いっきり顔に出ているようだ。半井さん、あなたにとってこれは普通に会話してるだけかもしれないけれど、刈須磨の頭の中は妄想でパンパンなんだよ。あと刈須磨は第三者から見てもイケメンらしい。よかった!

    毎話、半井さんのすべての行動に対して「絶対、僕のこと好きなはず」という結論ありきで刈須磨は妄想を加速させる。その妄想はときどき未来の僕たちにまで飛躍し、やがて「?」に帰結する。豪快な空回り。ものすごくかわいい様式美だ。飽きない。

    刈須磨のイケメンハートに加えて半井さんという人物の面白さが効いているからだと思う。

    半井さんの意外な一面にドキドキするイケメン。これは焦るだろうな。

    ちなみに半井さんのバイト先はアイスクリーム屋さん。こちらも神回だった。

    「どういうこと? 好きってこと?」というか、刈須磨こそが半井さんにときめいている。アイスクリームを介して触れ合う手。たしかにものすごく接触している。他のお客さんにはどうしている? というかこれって偶然? それともわざと? やっぱ僕だから? どっちなの半井さん!

    ほんと、どっちなんだろうなあ。

    (レビュアー:花森リド)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2022年6月1日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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