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  • 「視えたんだよ ソイツが人殺しだってことが」ヒット作『金田一少年の事件簿』『BLOODY MONDAY』を生んだ天樹征丸最新作『ギフテッド』

    2022年05月21日
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    花森リド:講談社コミックプラス
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    ギフテッド 1
    著者:天樹征丸 雨宮理真
    発売日:2022年04月
    発行所:講談社
    価格:715円(税込)
    ISBNコード:9784065275528

     

    「なかよし」からの挑戦

    「なかよし」で連載されている作品を、すっかり大人になっちゃった私が手に取るときは、必ず頭の中に「架空の妹」を作ってから、ゆっくり時間をかけて読む。令和の今を生きる私の小さな妹がこのまんがを読んだら、どんなことを思って、どんな気分で次号を待つんだろう。いや、こんな妹フィルターなんて余計なお世話な気がするのだけど、「なかよし」で育った自分を忘れることができなくて、どうしてもやってしまう(そして楽しい)。

    で、そんな期待を込めて読んだ『ギフテッド』は、「ああ、なかよしは今日も攻めてるわ! 最高だよ!」とうれしくなるような作品だった。とても野心的なエンターテインメント。なぜなら、取り扱うテーマがこれだからだ。

    『ギフテッド』では殺人事件がたくさん起こる。しかも、どんな年齢のどんな人が読んでも「これはミステリー作品」と疑いなく言えるような本気のミステリー。

    それもそのはず、原作は『金田一少年の事件簿』の天樹征丸。そして漫画は100名以上の応募者の中からオーディションを経て最終的に選ばれた雨宮理真。手加減なしに大胆で(これは、今も昔も、なかよしの美点のひとつだと私は思います)、きちんと少女まんがらしいフレーバーも漂うミステリーだ。

    きれいだなあ。ミステリーの謎とキリっと美しい絵の組み合わせって相性がいい。

    少年が受け継いでしまった忌まわしい「宿命」って何? あー、気になる!

     

    ギフテッド=特別な才能

    ある女性の転落死から『ギフテッド』は始まる。現場に颯爽とかけつけた刑事は……、

    背景でキラッとお星様が飛んでるような美少年。彼は“天草那月(あまくさなつき)”。20歳にして警視庁の星と呼ばれる天草は、17歳でマサチューセッツ工科大学の大学院を首席で終了した超天才で、ついでに在学中に起業してバイアウトしたから金融資産が30億円ある。そしてそんな自分が大好き! 膨らみに膨らんだ設定が愛しい。

    で、天草が目撃者から聞き込み捜査を行っているところに現れたのが、

    高校生の“四鬼夕也(しきゆうや)”。四鬼は「これは殺人だ」「殺したのはこの男だ」と言い、現場にいる目撃者を指さす。

    え! 展開はや! なんだキミは。たしかにこの男はめちゃくちゃ犯人っぽいし、真犯人に違いないと私も思うよ、でも、さあここからどう話を進めるの?

    天草は天才的な頭脳を駆使して理詰めで犯人を追い詰めていく。そう、『ギフテッド』は、天草の推理力と、四鬼がすごい勢いで繰り出す「犯人はお前だ!」が合体したバディ系ミステリー。

    でもどうして夕也は犯人がわかるのか。

    これが四鬼に与えられたギフト(才能)だ。夕也はこの綺麗な目で今まで何を視てきたんだろう。

     

    完璧なアリバイを崩してよ

    四鬼がその目で視れば犯人は一発でわかるけれど、それだけじゃ事件は解決しない。だから、すべてのエピソードで天草の捜査と推理が必要になる。

    ターゲットを見つけるのは四鬼の役目で、そのアリバイを崩すのは刑事である天草の仕事。

    天草の真剣なまなざしも、天草の少し困った表情もとてもいい。はたして2人はいいコンビになるの……?

    前途多難そうだ。それにしても、このページにいる主人公たちも、犯人候補も、みんな麗しく怪しい。さあ人殺しは誰なのか。天草が挑むトリックを、私も架空の妹と一緒になって解こうとしたけれど、ギリギリのところでわかりそうでわからなくて、半分正解で半分外れだった。犯人のワケあり感といい、トリックの難易度といい、絶妙だ。

    (レビュアー:花森リド)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2022年5月14日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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