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  • “冴えないアラサーOLの物語”と思いきや…ワケありすぎる物語『ワケあって社長令嬢に拾われました』

    2022年05月14日
    楽しむ
    花森リド:講談社コミックプラス
    Pocket

    ワケあって社長令嬢に拾われました 1
    発売日:2022年04月
    発行所:講談社
    価格:715円(税込)
    ISBNコード:9784065274248

     

    ワケありすぎる!

    この世で連載されているたくさんのマンガたちは、たぶんいろんな感情でもって続きを待ち望まれている。「この恋はどうなっちゃうの?」とか、「このチームは試合に勝てるの?」とか、「明日もこの犬が幸せだといいな」とか。

    『ワケあって社長令嬢に拾われました』の続きを、私がどんな気持ちで待っているかというと、「たのむから先を教えて!」だ。ガツンと先が知りたい。題名通りワケありすぎて1話読むたびに「ナニー!?」と声が出る。Netflixのドラマみたいだ。コミックDAYSで連載されているこの作品、私と同じように「え、この先どうなるわけ?」と気になって有料先読みを選んだ読者も多いはず。絶妙に続きが気になるのだ。

    最初は、冴えないアラサーOLの物語だと思っていた。

    人生にどん詰まった“永島遙”が、人生冴えなさすぎてもう死んじゃおうかなと歩道橋から飛び降りようと身を乗り出していたら、制服姿の女の子が現れる。

    そしたらなんか「メン・イン・ブラック」みたいなコテコテの黒服のボディガードが付き従うお嬢様で、もちろんお嬢様は永島さんを助けてくれて、

    ご親切にも一晩泊めてくれる。お嬢様は瀟洒(しょうしゃ)なマンションに一人暮らし。さてはワケありか。

    絶対いると思った! 娘とわだかまりのありそうなパパ! 登場数秒でお嬢様をビンタ! 職業はやっぱり社長! なんなら永島さんの勤め先の社長だ。いいねー、コテコテだ!

    もちろんパパのビンタで懲(こ)りるようなお嬢様ではないし、当たり前のように永島さんを自宅に住まわせることに……。

    ということで、「はいはい、私にはわかるよー、次の展開がわかるよー」って思いっきり油断していたんです。でも大間違いだった。お嬢様と同居することになった永島さんがベランダに出た直後に「アッ」となる。

    えっ、永島さん何者? さっきまでの半泣きの顔とは別人。冴えない人生とか言っちゃってごめんなさい、実はものすごいスパイなの? ときどき流れる意味深なモノローグも気になる。全部が偽物に見えてしまうけれど、本物もありそうだし、このマンガはなんなんだ?

    ハイ、ここまでが1話です。最初からこのアップダウンの連続、ワケありすぎる。

     

    人生を挽回させるための「ある条件」

    永島さんはキレキレのスパイなの……? と思ったら、この予想も裏切られる。

    真面目だけが取り柄で、仕事も上手くいかないし、逃げるように婚活をしてみたら男から豪快にだまされるような人物。つまり冒頭で歩道橋から飛び降りようとした永島さんの心情には嘘があまりなくて、切羽詰まった状態であったことは事実。

    こうやって嘘と事実がいい感じにミックスされているのが本作の面白いところだ。お約束通りに話が転がるかと思いきや予想外のことが起こる。

    で、切羽詰まった永島さんはついに仕事で致命的なミスを犯し、いよいよクビか……となったところで、転機が訪れる。

    創業家一族の“ある人物”からの密命、そのターゲットが“お嬢様”だったのだ。

    永島さんは、お嬢様こと“万葉(かずは)”と同居しながら万葉の秘密を探ろうとする。とはいえ、なんせ切羽詰まった永島さん。特殊なトレーニングを受けたプロでもなんでもない。

    何度もヒヤッとする。この余裕のなさ!

    そして、ターゲットの万葉がこれまた底の知れない女の子で、読んでるこちらも困ってしまう。

    何一つ不自由ない暮らしだけど、どこか満たされない孤独な令嬢? ……こうやってコテコテの設定を想像して油断してもいいのかな私? すでに本作のアップダウンにやられまくっているので、何か強烈などんでん返しが待っている気がして落ち着かない。

    ほらやっぱりー! というか10年前って何? もう、疑惑といやな予感とかすかな期待が無数にばらまかれていく。巧妙だ。誰か続きを教えてほしい!

    (レビュアー:花森リド)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2022年5月1日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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