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  • 「怪異は焼くしかねえ!!!」ストロングスタイルの女性係長のお仕事は化け物退治!『BLOOD FIRE 警視庁特別怪異対応班』

    2022年05月05日
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    中野亜希:講談社コミックプラス
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    BLOOD FIRE 警視庁特別怪異対応班 1
    著者:sigama
    発売日:2022年03月
    発行所:講談社
    価格:715円(税込)
    ISBNコード:9784065268506

    お仕事は化け物退治

    「公安警察(こうあんけいさつ)とは、日本の警察において警察庁警備局を頂点とした公共の安全と秩序の維持を目的とする部門の総称である」と、Wikipediaは言う。
    その「公共の安全と秩序の維持」に、化け物退治も含まれるとしたら……。命も魂も、いくつあっても足りない過酷な捜査になりそうだ。

    『BLOOD FIRE 警視庁特別怪異対応班』の主人公、警視庁公安部第四課第二公安資料第三係長・籠目境子と、その部下・輪堂晴彦のお仕事は“化け物退治”。
    彼らは、魑魅魍魎(ちみもうりょう)と恐れられるモノたちが引き起こす、通常の警察では扱いきれず、決して外に出すことのできない「怪異件」を扱う専門家チームです。

    今日の現場は温泉旅館。深夜、男女の絶叫とともにこの世のモノとは思えない巨大な鳥が飛び立つ姿が目撃され、女将と一緒にいた仲居さんが姿を消します。同様の怪異は近くの旅館でも起きていて、女子大生2人が現場に大量の血痕を残して失踪中。
    よくある警察の捜査のようなノリで現れた2人に、若女将も「これって警察の仕事なの?」と言いたげです。

    境子さんがこんな格好なのは、捜査の前にとりあえず温泉に入ったから。猛々(たけだけ)しい感じがありつつ、温泉大好きな一面もある境子さんがかわいい。部下である晴彦は何かと振り回されているようです。

    ゆるい感じを漂わせていても、彼らは怪異の専門家。事件現場の状況整理を始めます。現場に残された血の量や体の一部(!)からして、被害者は無事では済まなそうなのに、犯行にかかる時間はごく短い。そして、漆黒の羽についても、似たような羽をもつ鳥はいない。どこから見ても、この失踪事件は人間の仕業とは考えられない。聞こえた男女の絶叫は被害者の声なのだろうか……?

    晴彦には境子さんが考案した「監札」という異能があり、お札のようなものをカメラや通信端末のように使えます。その監札を温泉街のあちこちに仕掛けたものの、今のところは何の気配もありません。そんな中、境子さんは何かを思いついた様子。2人はこの辺で一番高い木である「飛び寺の一本杉」を目指します。

    事件の全貌を把握したらしい境子さんに対し、いまだ状況が呑み込めない晴彦。そんな彼に境子さんは言います。「今回の被害者に男はいない」
    百舌鳥は声真似(こえまね)が得意な鳥。若女将が聞いた男女の絶叫は「疑(モドキ)」の声真似だったのです。木の上を照らすとそこには……。

    私の血(いのち)はよく燃える

    「百舌鳥疑(モズモドキ)」を地獄に送り返すべく、境子さんと晴彦のバトルが始まります。
    この「百舌鳥疑」をはじめとする怪異の造形がまた、グロテスクでかなり怖い。ドラマ化するなら地上波はちょっとムリ、Netflixだったらギリいける?かな?といったグロ怖さです。そしてそんな怪異に立ち向かう2人が繰り出す技が、とにかく景気がよくて容赦なく、カッコいいのがこの作品の魅力!

    晴彦の駆使する異能「監札」も、メカメカしいお札でカッコいいけれど、境子さんが百舌鳥疑を迎え撃つのは、なんとガスガン!

    このガスガン、正しくは“舎利(しゃり)弾発射ガスガン”。ちなみに「舎利」とは「仏・聖者の遺骨」のこと。それをBB弾に加工して怪異を撃つなんて「バチ当たりでは? 大丈夫そ?」という感じですが、怪異にはやっぱり効く。とはいえ、それだけでは百舌鳥疑を仕留めるには物足りません。境子さんは晴彦の「目」を使い、百舌鳥疑の前に自分を立たせるよう命じます。

    急カーブで突っ込んでくる百舌鳥疑に丸腰で向かうなんて自殺行為では?
    大丈夫!

    境子さんの異能とは、「自らの血を燃やし撃ち出す」ことだから……!

    百舌鳥疑にあえて自分を攻撃させ、血を浴びせたのはこのためでした。

    そしてこちらが「破魔銃(はまのつつ)」。“兆”がたくさんなる“木”であり、災厄を封じる果樹とされる「桃の木」が使われるなど、怪異班の装備には仏教にルーツを持つものが多いのが面白い。破魔銃には物理的なトリガーがなく、境子さんの血液と意思がトリガーとなります。

    「このままテメェを逃がしたら、死んだ奴らに顔向けできねえんだよ!!」熱い気持ちのままに、自らの血で怪異を燃やし尽くす。「BLOOD FIRE」のタイトルがビシッと回収されるこの鮮やかさ、最高です!

    化け物どもを燃やし尽くせ!

    その血を燃やす異能をもってしても、怪異と戦うのはかなりハード。そのたびに血を流し、文字通り身を削る戦いです。しかし、彼らにはこの仕事を投げ出すにはいかない理由があるんです。

    2人の目的は「自分たちを呪った怪異を殺し、元の体に戻ること」。
    晴彦の異能は生まれつきではなく、ある殺人現場で怪異に憑かれてしまい身についたもの。力を扱えないものにとって異能を持つことは地獄だし、使いこなせるようになった今も、元の体に戻れるものなら戻りたいんです。

    「今回の怪異も、僕たちの探すものではなかった」「どうして僕たちなんでしょう?」と嘆く晴彦を「生きている限り、元に戻れる」と諭(さと)す境子さん。部下が事件のたびに泣き言を言うなんてイライラするタイプかな?と思いきや、懐が大きい……! 事件の被害者に向ける目も優しく、境子さんは一見ガサツなようでいて、心身ともにタフなイイ女なんですよ。

    そんな境子さんの「怪異は焼くしかねえ!!!」というストロングスタイルがとにかく最高。ガンガン怪異を調伏してほしい!! 待ってます!

    (レビュアー:中野亜希)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2022年4月23日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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