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  • 政府公認の「正義の殺し屋」は宇宙人。最強なのに人間くさくて愛らしい『ろこぽん』

    2022年03月27日
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    中野亜希:講談社コミックプラス
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    ろこぽん 1
    著者:雪永ちっち なだいにし
    発売日:2022年02月
    発行所:講談社
    価格:726円(税込)
    ISBNコード:9784065267905

     

    「正義の殺し屋」、降臨

    映画や漫画に出てくる宇宙人って、多くの場合グロくて強い。見た目は怖いし、異常に俊敏。加えてよくわからない毒を吐いたり、めちゃめちゃ優れた聴覚で人間を追い詰めたり。敵意むき出しでコミュニケーションも取れないし、宇宙人=一触即発の人類の敵ってイメージだ。

    この漫画『ろこぽん』の主人公は、言葉が話せてケンカが強く、その強さを人間を守る方向に発揮してくれる。そんな宇宙人、今までいそうでいなかった。

    彼の名前は「ろこぽん」。ある日突然地球にやってきた。すらっとした体でスーツを着こなし、日本語を理解するが、首から上はゆるキャラだ。完全に謎の生物だけど、知能は高そうだし、コミュニケーションもバッチリ取れる。

    政府はろこぽんを防衛省の管理下に置き、市民権を与え、街のパトロールなどのボランティア活動を命じる。皆に愛され、人気者になれそうだが、そうでもない。だってろこぽんは基本的に仕事に対するやる気がないし、ボランティアなんて「行けたら行く(行かない)」とスルーしてばかりなのだ。

    ろこぽんが地球に来たのは昨日今日の話ではなく、8年も前。何をしていたかというと、タピオカ飲んで、ゲーセン行って、グアムに行って、要するに政府の金でブラブラしてたんです。宇宙人であるという個性にかまけ、何もアピールしてこなかった……。反省しているところに防衛省のおじさんからの着信が。

    ろこぽんに命じられたのは空港の掃除。やる気のないろこぽんがすんなり了解した、この場合の掃除とは……。

    毒ガステロを企てていたテロリストたちを殺すこと。宇宙人らしい瞬殺ぶりだ。
    ろこぽんの本当の仕事は「宇宙人は殺人罪に問われない」という法の抜け穴を利用した政府雇われの殺し屋なのだ。

    「正義の殺し屋」。政府は親しみを込めて、ろこぽんをそう呼ぶのだった。

     

    俺は俺のために、お前を助けただけだ

    このとおり、有能だがやる気はなく、スキあらばサボろうとする。そんなろこぽんに、政府がつけたパートナー兼監視役「姫乃メイ」。

    5年前、メイが殺されそうになっていたところを、通りがかったろこぽんが偶然助けた。それはろこぽんが殺し屋になることを決定づけてしまった1件だった。

    以前はろこぽんの大ファンで、ピュアな新人警官だったメイ。こんなこと言ってたのに

    今はこう。5年の間にいろいろあったようで、サクサクと仕事をこなすメイに、昔の頼りない面影はない。

    ろこぽんは自分にできない「殺人」だけやってくれればいい……。そんな不遜な態度のメイを5年前と同じように庇い、負傷するろこぽん。動揺するメイにろこぽんは言う。「死なせねーよ」

    晴れてバディになったろこぽんとメイ。それは、謀殺課内の連携が強化され、今までより難しい任務も受けられるようになったということ。2人(?)にとっては、ますます苛烈な任務の始まりだった。

     

    無敵 VS 無敵

    フレンドリーで優しいのにめっちゃ強い宇宙人が、いざという時には無双しまくるだけの漫画ではないのが『ろこぽん』の面白いところ。ヒーローとしての熱意ややる気はほぼ感じないし、強い相手と戦えば怪我もする(しかも治るのにもまあまあ時間がかかる)。無敵っぽいけど、わりと人間臭いのだ。

    そして、裏の世界にろこぽんの存在が知られるのに比例して、差し向けられる刺客もどんどん手ごわいものになる。この刺客たち、宇宙人でもないのにろこぽんよりもよっぽどキモい。そして怖い。

    今後くりひろげられるであろう、「無敵(っぽい宇宙人)」VS「無敵(の刺客たち)」の攻防が楽しみだ。
    まだ始まったばかりの、ろこぽんの殺し屋稼業奮闘記。行く末まで、目が離せそうにない!

    (レビュアー:中野亜希)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2022年3月12日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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