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  • 人間の言葉を話し始めた愛猫と、飼い主の女性との日々が癒されすぎる『イケボキャット』

    2022年03月20日
    楽しむ
    中野亜希:講談社コミックプラス
    Pocket

    イケボキャット
    著者:出迦オレ
    発売日:2022年02月
    発行所:講談社
    価格:715円(税込)
    ISBNコード:9784065267547

     

    イケボ猫との癒やしの生活


    ペットって、他人が思う以上に飼い主とコミュニケーションが取れる。どんなペットも、飼い主からは子供のように見えたりするけど、猫は格別。「人かな?」と目を疑う瞬間が結構ある。あえて擬人化しなくても、時々人に見えがちなお猫さま。
    『イケボキャット』は、突然イケボ(イケてるボイス)で話し始めた愛猫と、その飼い主・ヤコの日々を描いた漫画だ。

    ヤコは独身社畜。仕事はできるが、無表情・無愛想を極めている。愛想がないのはお客さん対応だけで愛想を使い果たしてしまうからだし、無愛想に飲み会を断って牛丼屋に行くのは、早く安く食事を済ませて帰りたいから。そんなある日、ヤコはうっかり子猫を拾ってしまう。

    独身社畜が猫の面倒を見れる気がせず、里親を探す気でいたけれど、子猫のあまりの可愛さに負けてそのまま飼うことに。トシゾーと名付けられた子猫はスクスクと育ち、時に甘え、時に暴れ……。

    なんとなく人語っぽいものを話すようになっていたのです。半年も経つと、フツーに会話が成り立つように。そして1年が過ぎた頃。

    あの可愛かった子猫は、魔性のイケボ猫に成長したのです。

    ヤコの留守に部屋を荒らせばイケボで甘い「ごめんね」を繰り出す。ああ、猫があざといイケメンに見えてくる……。

    疲れて帰った日は


    モフらせてくれる! しかもイケボで……! 振り回されつつも、灰色だった生活に彩りをくれたトシゾーに夢中なヤコなのでした。

     

    「いやいや」って思うじゃないですか

    「飼い猫が喋る」と聞けば、おおむねこんな反応になるだろう。そんなわけないじゃん、可愛すぎてそう見えちゃうんだね、と。
    しかし、トシゾーがイケボで喋るのは、ヤコの妄想ではない。

    これはヤコが激務の合間に癒やしをチャージするべく、くつろいでいるトシゾーを起こして撮っておいた動画。

    スマホから聞こえるイケボに笑顔を浮かべるヤコに動揺する彼は、ヤコの後輩・琴吹くん。そう、ヤコ以外の人間にもトシゾーの喋る声はイケボとして聞こえているのだ。

    業務外で話したことはないけど、ヤコにあこがれている琴吹くん。そういえば、最近のヤコはスマホを見てニヤついたり、定時帰りが増えたりして、彼氏ができたのかもしれない……。「あのイケボの男はなんなんだ?」と、クヨクヨ……。同期の須藤ちゃんに頼んで、ヤコに彼氏の有無を聞いてもらうことに。

    そこにいたのは彼氏じゃなくて、猫でした! よかったね! でも、あんなにはっきり聞こえたイケボの男は……? そして琴吹くんの気持ちには気づかないヤコなのでした。
    当のトシゾーはこの余裕! やっぱり魔性。

    そんなトシゾーにも、苦手な人がいる。それはヤコの弟・弥一くん。

    だって彼はトシゾーから見れば……敵!

    一方、弥一くんは、トシゾーが喋る猫であることを一応受け入れている。
    この漫画、誰一人としてヤコに「猫が喋るなんて!」とか「どうしちゃったの?」的なことを言わないところが好きだ。弥吉くんも、初対面のトシゾーに「喋る猫って」と思いはするけど、真っ先に心配するのは「姉ちゃん、面倒見がいいからなあ」なのだ。優しい!

    しかも打たれ強い。触られるのを嫌がり、キャットタワーの上に避難している塩対応のトシゾーに見せるのは、好物のカツオ。


    カツオをあげたし、ちょっとくらい触ってもいいかなー、なんて撫(な)でてみれば、トシゾーはやっぱり塩対応。
    「いやいや」と思っていた弥吉くんも、やっぱりトシゾーのむこうにイケメンが見えてきてしまうのだった。

     

    読むだけでデレちゃう「猫あるある」満載

    猫に乞われるままに撫でてあげていたら、いつのまにか朝になっている……。こんな絶妙なあるある具合が楽しい。このマンガ、奇抜な設定と言われればそうなんだけど、ペットと会話したことのある人ならすんなり世界観に入れるはず。トシゾーのキャラデザインがあまりリアルな猫に寄ってないのもむしろいい。仕事はできるけど鈍感なヤコのキャラも相まって、読むだけで絶妙にデレることのできる、癒やしの猫マンガだ。

    (レビュアー:中野亜希)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2022年3月7日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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