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  • 「私達『テフレ』になろっか?」手を触れるだけの関係が背徳的な作品|『テフレ。』

    2022年02月12日
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    花森リド:講談社コミックプラス
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    テフレ。 01
    著者:寝子空兄
    発売日:2022年01月
    発行所:講談社
    価格:748円(税込)
    ISBNコード:9784065263761

     

    「手だけ」の関係

    「このくらい大丈夫」と思って手を出すと、実は少しも大丈夫ではなく、あとあと大変なことに……でもやめられない。だいたいの「いけないこと」には、そういう麻薬的な力がある。

    『テフレ。』っていう題名が放つかわいい背徳感にひかれて読んでみたら、想像していたよりうんと秘密の味がして大変だった。

    「そんなことしたらダメでしょ」とアタマを抱えてしまう。でもやめられないだろうな。それにしても、なんで私はこの関係をダメって思っちゃうんだろうかと考えて、答えが見つからなくて、じっと手を見る。

    本当の本当に「手だけの関係」なのに、その関係がたまらなくダメ。うん、やっぱりダメ! アウト!

     

    テフレは健全?

    “鹿倉熱詩(かぐらあつし)”は、隣の席の“細谷絆那(ほそやはんな)”の手が気になっている。

    まるまる1ページがハンドクリームを手に馴染(なじ)ませる細谷さんの手に集中している。細谷さんの美人な顔とか胸の大きさはそっちのけ。熱詩がどんなふうに細谷さんを見ているかがよくわかる。

    熱詩には、付き合い始めて間もない“カノジョ”がいる。

    “友里菜月(ゆりなつき)”。この菜月の存在がすごくいい。こうやって熱詩の視界をたびたび遮(さえぎ)るちょっと邪魔な感じがかわいい。カノジョになりたくてなりたくて空回りする不器用な子で、潔癖で幼くて、でも細谷さんとは違った魅力がある。

    細谷さんと熱詩が「テフレ」になってしまうきっかけを作ったのは、よりによってこの菜月なのだ。

    お互いの肉体のうち「手」だけをこうやって触れ合わせる関係がSNS上で流行っているそうで、菜月は熱詩とこんなことがしたいのだそう。健全でありたいが、カノジョっぽいことがしたい。

    対する細谷さんはこんな感じ。

    熱詩が自分の手に見とれていたことを自覚している。どこか底が知れない。しかも「手を見るってウワキ?」「手を触るのってウワキ?」と曖昧な領域に踏み込んで菜月を焦らせる。

    テフレは健全と強く主張する菜月のこの言葉と態度、嫌な予感がするよ……。

     

    あの写真みたいに掴みたい

    さて、菜月の「テフレは健全」発言のあとのこと。熱詩は細谷さんの手にやっぱり釘付けになる。

    熱詩はそんなに自覚していなかったけれど、菜月が見せてきたテフレの写真でスイッチが入ってしまう。そう、実はゴリゴリの手フェチなのだ。そして思わず細谷さんの手を掴(つか)んでしまって……アウト!

    アウトじゃないんです違うんですと弁明する熱詩を見て怪しく目を光らせた細谷さんは、熱詩に「健全だというならテフレになりましょうか」と提案する。

    「浮気じゃない」「健全だ」と言葉でラッピングしているのに熱詩の胸はドキドキしているし、細谷さんの頬は赤くなっている。そもそも2人の手の描写がものすごくみだら。

    ということでテフレとなってからの細谷さんは「お互いの手を好きなときに好きなだけ触る」というテフレの権利を行使しまくる。

    普段はすました顔なのもいい。

    一方、熱詩はぐちゃぐちゃになっていく。細谷さんはテフレで、菜月はカノジョ。アタマではそうわかっていても、たとえば菜月にせがまれて手をつないでふと思い出すのは細谷さんの手だったり。

    菜月に手汗を目の前で拭かれて幻滅したり。でも健気でかわいい菜月は憎めないし、ハイ別れましょって気持ちにもならず……ぐちゃぐちゃだ。

    そして熱詩が「こんな関係間違っている」と思うたびに細谷さんはきれいな指をからめてくる。

    細谷さん、大胆すぎるよ……。手だけの関係でここまで不健全になれるものなのか。秘密の関係と3人がこの先どこに転がっていくのか私はめちゃくちゃ心配です。でも気になる!

    (レビュアー:花森リド)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2022年1月30日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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