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500ページを超える大作『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞した今村翔吾さん。
『塞王の楯』は、戦国の世から戦をなくそうと、「絶対に破られない石垣」を築くために道を究めようとする石工・匡介(きょうすけ)が主人公の物語です。匡介と目指すところは同じなれど、それを「どんな城も落とす砲」によって実現しようとする鉄砲職人・彦九郎(げんくろう)としのぎを削り、「最強の楯」と「至高の矛」がぶつかり合う様を手に汗握る筆致で活写。「戦国の世」を職人の世界から臨場感たっぷりに描いています。
今村さんは、『童の神』『じんかん』に続く、3回目のノミネートで受賞となりました。
受賞の報を受けて、「号泣してしまった」という今村さん。「いつか小説家になりたい」と思いながらも、筆を執ったのは30歳のとき。「それまでダンス講師として接してきた子どもたちにも夢は叶うということを証明し、子どもたちの思いを裏切らずに済みました」とその喜びを語っています。
憧れの賞だった直木賞を、自身の原点でもある池波正太郎氏と同じ37歳で受賞。「直木賞は文学界最大のお祭り。少しでも興味を持ってもらうきっかけになれば」と、受賞会見の会場には人力車で駆け付けました。またコロナ禍ですぐには難しくても、「この状況をみんなで乗り越えて、楽しいことができるようになれば」と、いずれ47都道府県の書店を自前で行脚する、書店を応援する企画も考えているそうです。
間もなく生放送です!#Nスタ pic.twitter.com/VR0fJXekDx
— 今村翔吾事務所【公式】 (@shogoimamura100) January 19, 2022
そんな今村さんは、大阪府箕面市にある廃業の危機に面した老舗書店「きのしたブックセンター」を、経営者として引き継いだことでも注目を集めています。これは、「本に理解があり、愛している方に経営を引き継いでもらいたい」という前社長の思いに応えたものです。
「デビュー作にはその作家のすべてが詰まっている」ともいわれますが、今村さんのデビュー作『火喰鳥』に始まる「羽州ぼろ鳶組」シリーズは、現在計12冊が発売されている大人気シリーズ。資金も装備も貧弱、素人を寄せ集めた「ぼろ鳶」と揶揄される新庄藩火消を、江戸随一と謳われた元・侍火消の松永源吾と仲間たちが立て直していく、熱い物語です。
今後の抱負として、よりよい作品を生み出すことはもちろん、生き方についても常に新しい目標を持っていたいと語っている今村さん。作家としてヒット作を生み出しながら、書店を存続してほしいという地域の声に応え、「業界に恩返しを」と仲間とともに書店を引き継ぎ新しい形を模索していくその姿は、主人公・源吾の生き方を想起させられます。
今村さんの経営するきのしたブックセンターは、京都と滋賀を中心に書店を展開するふたば書房のFCとして、2021年11月に新たなスタートを切りました。ほんのひきだしでは、志を同じくするふたば書房の代表取締役・洞本昌哉さんと今村さんの対談を近日公開の予定です。
対談では、「もちろん作家と作品はイコールだとは思っていませんが、作品の根底には、それぞれの作家の思いや魂、生きざま、歴史などが乗ってくるもの。考え方が似てくるところはあるかもしれませんね」と語ってくれています。作家として、また書店の経営者として、本と本屋の可能性を追求していきたいという今村さん。ユーモアを交えながら、その熱い思いをたっぷり語っていただいていますので、こちらもお楽しみに!
″きのしたブックセンター″いよいよ明日、リニューアルオープンです!!🎊
約1ヶ月間、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした(>_<)
明日より定休日は無しで営業しますので、今後ともよろしくお願いいたします。
リニューアルオープンまで残り1日です!!!😭🍁✨ pic.twitter.com/Bn4u3cgqVE
— きのしたブックセンター (@kino_book_mino) October 31, 2021
プロフィール
今村翔吾(いまむら・しょうご)。1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』(祥伝社文庫)でデビューし、同作で第7回歴史時代作家クラブ・文庫書き下ろし新人賞を受賞。2018年、「童神」(刊行時『童の神』に改題)で第10回角川春樹小説賞を受賞、同作は第160回直木賞候補となった。2019年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞、2020年『じんかん』で第11回山田風太郎賞、2021年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第6回吉川英治文庫賞を受賞。2022年、『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。
・悪人?ヒーロー?“戦国の梟雄”松永久秀を熱く描く『じんかん』:わが店のイチオシ本(vol.41 ふたば書房山科駅前店)
・歴史時代小説の新鋭・今村翔吾が格別の思いで書いた『てらこや青義堂 師匠、走る』