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2020年から続く新型コロナウイルスの流行で、人々の生活や価値観が大きく変化した2021年。一方で、本を開くだけで無限に想像力と世界が広がる「文芸書」が、身近なエンターテインメントとして再認識される年でもありました。
ほんのひきだしでは「編集者が注目!2022はこの作家を読んでほしい!」と題して、各出版社の文芸編集者の皆さんから【いま注目の作家】をご紹介いただきます。
浅葉なつ(あさば・なつ)
四国生まれ。関西在住。2010年に第17回電撃小説大賞でメディアワークス文庫賞を受賞、『空をサカナが泳ぐ頃』でデビュー。累計200万部を超える『神様の御用人』シリーズの他、『山がわたしを呼んでいる!』『サクラの音がきこえる』『香彩七色』『カカノムモノ』『どうかこの声が、あなたに届きますように』(第1回「読者による文学賞」受賞)などの著書がある。
日本の神様と人間の関係を描いて大ヒットした『神様の御用人』の著者・浅葉なつさんの新作『神と王』は、「古事記」からインスピレーションを得て生まれたファンタジーです。
いつか『十二国記』『精霊の守り人』のような壮大な物語を書きたい、と考えていた浅葉さんが「これだ」というテーマを見つけたのが4年前。そこからじっくり構想を練られ、待望の「新作プロット」を私が見せていただいたのは2020年の夏でした。
物語は、古い歴史を持つ弓可留(ゆっかる)国が滅亡するところから始まります。攻め込んできた隣国は王族を皆殺しにし、国の宝珠『羅の文書』を奪いますが、もう一つの宝珠『弓の心臓』は密かに歴史学者の青年・慈空(じくう)に託されます。逃げのびた慈空の前に現れた正体不明の2人組や、大国の王太女が2つの宝をめぐり暗躍。絶体絶命に陥った慈空は、それでも『羅の文書』を奪還するため命賭けで敵国を目指し――。
異世界ファンタジーの醍醐味ともいえる緻密な「世界の設定」、生き生きと動く(癖のある)キャラクター、スピーディな楽しい展開。「さすが浅葉なつ!」とワクワクさせられたのはもちろんなのですが、一読者としてもっとも感動(興奮)したのは、「神とはなにか」「何をする存在なのか」という根源的なテーマがシリーズを貫いていること。かつ、(いつか明らかになるはずの)一つの大きな謎が根底にどっしりと存在するのです。
『神様の御用人』で読者を魅了した浅葉さんが「私の得意なものと好きなもの、やりたいことを詰め込んだ」魅惑の世界『神と王』。ここから始まる新・異世界ファンタジーを遅れずに追いかけてください!
人気イラストレーター・岩佐ユウスケさんが描く美しいキャラクター画、充実の特設サイトもぜひお楽しみくださいね。
(文藝春秋 文春文庫部 山口由紀子)