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  • 【Vol.4:岩井圭也】編集者が注目!2022はこの作家を読んでほしい!

    2021年12月26日
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    ほんのひきだし編集部
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    2020年から続く新型コロナウイルスの流行で、人々の生活や価値観が大きく変化した2021年。一方で、本を開くだけで無限に想像力と世界が広がる「文芸書」が、身近なエンターテインメントとして再認識される年でもありました。

    ほんのひきだしでは「編集者が注目!2022はこの作家を読んでほしい!」と題して、各出版社の文芸編集者の皆さんから【いま注目の作家】をご紹介いただきます。

     

    中央公論新社編集者 藤吉亮平さんの注目作家は「岩井圭也」

    岩井圭也(いわい・けいや)
    1987年生まれ。大阪府出身。北海道大学大学院農学院修了。2018年、「永遠についての証明」で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。著書に『夏の陰』『文身』『プリズン・ドクター』『水よ踊れ』『この夜が明ければ』などがある。

     

    水銀、この美しい毒に囚われた二人の青年の物語

    「俺を手に取れ。取って読め」

    ある日、書店でそう呼びかけてきた本がありました。岩井圭也さんの第2作『夏の陰』です。

    銀色のカバーに剣道着の男。異様な迫力。すでに目当ての本を買っていた私は一度去りかけ、気になって戻り、また去りかけて戻り、そして手に取り再びレジへ。――それからは岩井作品漬けでした。デビュー作、デビュー前の電子書籍作品、文芸誌に載っていた短篇、と貪るように読みあさる毎日。ハ、ハマった……。

    その後に発表された作品も含め、そこには弱くて、イビツで、愚かな人々が登場します。物語を読むうち、自分も彼らと一緒だと気付かされ、しかし本を閉じる頃には、心が少し強くなっている。岩井さんはそういう物語を書く小説家なのです。

    2022年1月19日(水)に、新作『竜血の山』を刊行します。過去作品を向こうに回して一歩も引かない、強い力を持った作品です。ぐいぐい読ませます。

    舞台は北海道東部の山奥、昭和13年に鉱山技師・那須野寿一が発見した、自然水銀の湧く巨大鉱山です。主役は、山に隠れ住む一族の青年アシヤ。彼は寿一が拓いた鉱山で水銀鉱夫となります。

    対となる人物は寿一の息子で、同じく技師の道を歩む源一。水銀に囚われた二人の青年は、太平洋戦争、朝鮮戦争特需、水俣病の公害問題といった昭和の激動に翻弄されていきます。

    彼らが抱えるのは「悔しさ」です。怒りとも悲しみとも違う、思うところに手が届かず、心の奥から滲み、噴き出す、そんな感情。時代に、社会に翻弄されながら、それでも歯を食いしばって生きていく二人。そうして懸命に生きた先には一体どんな景色が現れるのか、本作でそれを見届けてください。

    (中央公論新社 文芸編集部 藤吉亮平)

    竜血の山
    著者:岩井圭也
    発売日:2022年01月
    発行所:中央公論新社
    価格:1,980円(税込)
    ISBNコード:9784120054921

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