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  • 【Vol.7:高橋久美子】編集者が注目!2022はこの作家を読んでほしい!

    2021年12月29日
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    ほんのひきだし編集部
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    2020年から続く新型コロナウイルスの流行で、人々の生活や価値観が大きく変化した2021年。一方で、本を開くだけで無限に想像力と世界が広がる「文芸書」が、身近なエンターテインメントとして再認識される年でもありました。

    ほんのひきだしでは「編集者が注目!2022はこの作家を読んでほしい!」と題して、各出版社の文芸編集者の皆さんから【いま注目の作家】をご紹介いただきます。

     

    筑摩書房編集者 窪拓哉さんの注目作家は「高橋久美子」

    高橋久美子(たかはし・くみこ)
    作家・詩人・作詞家。1982年愛媛県生まれ。音楽活動を経て、詩、小説、エッセイ、絵本の執筆、翻訳、様々なアーティストへの歌詞提供など文筆業を続ける。また、農や食について考える「新春みかんの会」を主催する。著書に小説集『ぐるり』(筑摩書房)、エッセイ集『旅を栖とす』(KADOKAWA)、『いっぴき』(ちくま文庫)、詩画集『今夜 凶暴だから わたし』(ちいさいミシマ社)、絵本『あしたが きらいな うさぎ』(マイクロマガジン社)など。最新刊は『その農地、私が買います 高橋さん家の次女の乱』(ミシマ社)。

     

    〈普通の生活〉を〈特別なもの〉にできる人

    「〈普通の日常〉がこんなにおもしろい! なんて楽しいエッセイを書く人だろう。まるで物語みたいだ! 登場人物たちの声と体温を感じる!」

    そう思ったのは、2018年、高橋久美子さんとの初めてのお仕事となったちくま文庫『いっぴき』で、この文庫のために書き下ろしの文章をいただいたときのこと――。それまでの彼女の作家・作詞家としてのお仕事やバンドでの活動を知ってはいましたが、文章もとても魅力的であることを改めて知りました。

    ――この人が書く文章をこの先もずっと読んでいきたい。そしてもっとたくさんの人にも読んでもらいたい。

    そんな想いをご本人に伝えてスタートしたのが、今回ご紹介させていただく高橋久美子さんの初の小説集『ぐるり』のもととなった「Webちくま」での連載です。当初はエッセイを掲載していましたが、「小説も書いてみたい」というご本人からの申し出に大いに賛成し、ある時からは毎月、短篇小説を掲載するようになりました。

    小説の舞台は、私たちのものと変わらない普通の日常。高橋さんの分身と思しき同世代の女性から、小学生の男の子や女子高生、品の良さそうな老婦人まで、どこかで会ったことがあるのではないかと思えるくらいに親しみやすい人々。しかし、彼らが話し始め、動き始めた途端、彼女にしか描けない物語が〈ぐるりぐるり〉と回り出します。

    収録された19篇は、それぞれ独立した物語ですが、本全体は、ゆるやかに繋がった世界の中に存在します。連載当初は、この設定は想定をしていなかったのですが、高橋さんが紡ぐ日常に馴染む言葉たちとそこから生まれる人物たちのおかげで、(勝手に)作品の中で出会いや別れ、すれ違いが繰り返され、物語同士が自然と繋がっていきました。そして、この「繋がり」は本作の最大の魅力になっています。

    きっと、この人物たちは、どこかで生活を続けているはずなので、これからも『ぐるり』の世界は続いていくのだと思います。そのうち私たちの日常の方が〈ぐるり〉の世界に巻き込まれてしまうなんてことがあるかもしれません。

    (筑摩書房 第一編集室 窪拓哉)

    ぐるり
    著者:高橋久美子(作詞家)
    発売日:2021年04月
    発行所:筑摩書房
    価格:1,540円(税込)
    ISBNコード:9784480805027

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