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11月10日(水)、「Yahoo!ニュース|本屋大賞 2021年ノンフィクション本大賞」の大賞が、上間陽子さんの『海をあげる』に決定しました。
日本最大級のインターネットニュース配信サービス「Yahoo!ニュース」と、書店員が「面白かった」「お客様に勧めたい」と思った本へ投票して決定する「本屋大賞」が連携し、2018年に設立された「Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞」。
ノミネート作の選出、大賞決定ともに、書店員の投票によって行なわれているのが特徴です。
大賞を受賞した『海をあげる』の著者は、沖縄県出身で、未成年の少女たちの支援・調査に携わる上間陽子さん。現在は琉球大学の教授として講義をするかたわら、10代で妊娠・出産した少女たちを支えるシェルター「おにわ」の現場責任者をつとめています。
『海をあげる』は、沖縄の少女たちへ聞き取り調査を行い、現実に起こっている性被害、虐待や、沖縄が抱える米軍基地問題などが書き綴られています。柔らかな筆致でありながらも、強いメッセージが込められた内容が書店員の支持を集めました。
上間さんは授賞式で、「この本を選んでくださったのは書店員のみなさん。これは沖縄の今に対する書店員さんたちの応援なんだなと思っています。この賞は私が受けたのではなく、沖縄に対する賞であり、沖縄に暮らしている私の調査の子たち、その子たちに向けてのはなむけの賞だと思っています」と喜びを語りました。
さらに、「『海をあげる』は、私たちの国のアキレス腱について書きました。そういう本が今日、明るい場所にやってきました。尽力された方ひとりひとりに感謝と、同志としてのつながりを感じています。残されたのはただ一つの希望です。それはわたしたちはまだ正義や公平、こどもたちに託したい未来というものを手放さないことだと思います」と話しました。
作品内容
「海が赤くにごった日から、私は言葉を失った」。痛みを抱えて生きるとは、こういうことなのか。言葉に表せない苦しみを聞きとるには、こんなにも力がいるのか。おびやかされる、沖縄での美しく優しい生活。ベストセラー『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』から3年、身体に残った言葉を聞きとるようにして書かれたノンフィクション。
<プロフィール>
1972年、沖縄県生まれ。琉球大学教育学研究科教授。普天間基地の近くに住む。1990年代から2014年にかけて東京で、以降は沖縄で未成年の少女たちの支援・調査に携わる。2016年夏、うるま市の元海兵隊員・軍属による殺人事件をきっかけに沖縄の性暴力について書くことを決め、翌年『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』(太田出版)を刊行。ほかに「若者たちの離家と家族形成」(『危機のなかの若者たち 教育とキャリアに関する5年間の追跡調査』に収録、東京大学出版会)、「貧困問題と女性」(『女性の生きづらさ その痛みを語る』に収録、日本評論社)、「排除II――ひとりで生きる」(『地元を生きる 沖縄的共同性の社会学』に収録、ナカニシヤ出版)など。現在は沖縄で、若年出産をした女性の調査を続けている。
※作品名五十音順
・『あの夏の正解』(早見和真/新潮社)
・『海をあげる』(上間陽子/筑摩書房)
・『キツネ目 グリコ森永事件全真相』(岩瀬達哉/講談社)
・『ゼロエフ』(古川日出男/講談社)
・『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』(河野啓/集英社)
・『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』(河合香織/岩波書店)
・佐々涼子『エンド・オブ・ライフ』が「Yahoo!ニュース|本屋大賞 2020年ノンフィクション本大賞」受賞