• fluct

  • 注目の日本酒たちが男前になって出現!訪れた人をもてなす日本酒擬人化漫画『あらばしり』

    2021年09月25日
    楽しむ
    黒田順子:講談社コミックプラス
    Pocket

    あらばしり 1
    著者:タクミユウ 橘ケンチ 平沼紀久
    発売日:2021年08月
    発行所:講談社
    価格:1,650円(税込)
    ISBNコード:9784065240335

    こんなお店があったなら……、日本酒好きなら、絶対に通いつめることでしょう。そうでなくても、優しく心に寄り添ってくれるこんなお店なら、また訪れたくなること間違いなし。

    ただし、看板が出ていないので、たどり着ける人は限られています。ここは、「必要としている人にしか見つけられない」店だからです。

    長年、疎遠だった金蔵(きんぞう)爺ちゃんが突然亡くなり、遺言書どおり家と店を譲り受けた吟(ぎん)。
    誰もいない広い家で、翌朝目を覚ますと、目の前に見知らぬ男たちが居て……。

    この上から目線な感じが堪らないのですが、彼らの名前は実在する日本酒の銘柄と同じ、「加茂錦(かもにしき)」「赤武(あかぶ)」「一歩己(いぶき)」。
    吟は、子どもの頃から彼らの姿が見えていて、金蔵亡き後、日本酒である彼らを人間の姿にできるのは吟しかいないのです。

    家も店も売りに出すつもりでいた吟のところに、常連さんの紹介で1人の女性客がやって来ます。新潟から上京して来る父親と、サシで飲む酒を探しているというのですが、そんな人にピッタリなのが……、「あらばしりメモ」があるので、日本酒に詳しくなくても大丈夫!!実は「加茂錦」は私も大好きなお酒で、色々な種類を飲んだことがあります。
    ラベルが荷札なので、目立つための戦略?と思われるかもしれませんが、売れるかどうかもわからない試飲段階の営業で、ラベル代わりに使っていた荷札がそのままラベルになったバックグラウンドも素敵なのです。

    次に赤武自身がお客さんに勧めた「赤武」は、これまたどれを飲んでも美味しい大好きなお酒。
    ここに出てくる赤武は、ちょっとオラオラ系なので、説明は「一歩己」が担当します。この3つの銘柄に共通しているのは、新しいことに挑む若き後継者たちが試行錯誤の末に作り出したお酒だということ。

    この本の企画原案を担当したEXILE/EXILE THE SECONDの橘(たちばな)ケンチさん、平沼紀久(ひらぬまのりひさ)さんが、彼らを応援したいという気持ちの表れだと想像しました。

    となると、次はどんなお酒が出てくるのだろうと期待していると、爺ちゃんの大事なお酒が保存されている蔵から飛び出してきたのは……、「屋守(おくのかみ)」は、蔵の地下150mから汲み上げた水を使用する東京・東村山の地酒。

    「篠峯(しのみね)」は、同じ銘柄でも様々な酒米(さかまい)の特徴を生かして作られる奈良の地酒。
    「村祐(むらゆう)」は、新潟の酒=淡麗辛口を覆した代表格のお酒。
    どれもが専門店でしかお目にかかれない人気のお酒なので、全部並べて飲み比べたい!!と誰もが思うことでしょう。

    そして思わずニヤけてしまったのが、2人目のお客さんである女性社長の白滝如水(しらたきじょすい)という名前。これは、白瀧酒造の看板商品「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」というお酒から名前を頂戴したに違いない!と、酒好きであれば気づく、こんな仕掛けも楽しい。

    結局、お客さんと日本酒である彼らのお陰で、爺ちゃんの店を継ぐことになった吟。そんな彼らの合言葉は……、店の掃除など、面倒なことになると人間の姿から酒瓶に戻ってしまう “ちゃっかり”した彼らですが、吟の力が増せば、ほかの日本酒も人間の姿になれるのです。
    次は一体、どんなお酒が飛び出してくるのか、楽しみにしたいです。

    (レビュアー:黒田順子)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2021年9月6日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




    タグ
    Pocket

  • GoogleAd:SP記事下

  • GoogleAd:007

  • ページの先頭に戻る