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  • 高校生“詐欺師”たちが狙うは1兆円!『Q.E.D』の加藤元浩が描くクライムサスペンス

    2021年08月28日
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    黒田順子:講談社BOOK倶楽部
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    空のグリフターズ 1
    著者:加藤元浩
    発売日:2021年06月
    発行所:講談社
    価格:528円(税込)
    ISBNコード:9784065231111

    悪い奴らの金を奪い取り、世の中や人々のために使う。しかも、普通の高校生だった子が世界を股にかけ、大人たちを騙しまくるなんて、なんだかスカッとします。
    被害総額1兆円という前代未聞の詐欺事件を起こした詐欺師(グリフターズ)のワールドワイドなひと夏は、スリリングで謎に満ちています。

    神入空(かみいれそら)は、50戸ほどが暮らす神入島で、先祖代々続く旅館のお嬢様でした。
    ところが父親が亡くなり、100億円の借金があることが発覚します。父親は先物取引に失敗し、そのカタとして島が差し押さえられてしまったのです。

    幼なじみの蒼海路(あおいかいろ)に頼み、立入禁止となった神入島を慈しむように眺める空。

    1ヵ月以内に100億円を用意しなければ、島は競売(けいばい)にかけられ、自然豊かなこの島は産業廃棄物処理場と化してしまいます。

    この話の中に出てくる、日本はマンションが老朽化して建て替えラッシュが来るということや、許可取りが難しい産業廃棄物処理場の仲介料で儲けた二世議員など、現実にありそうな話が所々出てくるところも、この作品の面白さです。

    ある日、「100億欲しい」とつぶやく謎の少年・秋山風月と出会った空は、金の強奪作戦を風月から聞かされます。
    もともとその金は、相続税を脱税するために学校法人に寄付された金だというのですが……、

    3人の連携プレーで、現金900万円の強奪は見事に成功します。しかも相手は、盗まれた事に気づかないという頭脳的な戦術。

    言ったろ…僕を信じろ。神に祈るより利率がいいぞ

    こんなセリフを吐く風月は、一体何者? と思ってしまいますが、もっと凄いことを言い出します。

    900万円を元手にシンガポールへ飛んだ3人。
    個人資産500億円以上の超大富豪、アルマ・マリア・ゾンデスと知り合いになって、莫大なお金が集まる「宝島」に招待してもらうのが目的でした。
    ところがアルマは命を狙われているため、ガードも堅いのです。

    セレブになりすまし、アルマと友達になった空と海路は、アルマの誕生パーティに招待されます。
    しかし、そんな簡単にことが運ぶはずもなく、空に命の危険が迫ります!!
    そこへ行くよう指示したのは風月だったのですが……。

    風月は、12時間で8兆円もの大金が消えかけた事件に関わっていたらしく、陰で「世界を滅ぼしかけた悪魔」と呼ばれています。
    大富豪のアルマの前にも顔を出すことができず、かなり怪しい!!
    所々、単独行動をする風月のカットが入るのですが、一体何を企んでいるのか全く想像がつきません。

    そして、風月がよく口にする「この奈落に祝福を」という言葉も気になります。
    そもそもこれは、ミルトンの『失楽園』に出てくる悪魔の王のセリフだというのですが……、


    「少なくとも……信用しすぎない方がいいかもな」という海路のセリフも、なんだか気になります。

    そしてもう1つ気になるのが、空の父親が死んだ時、鍵がかかっているはずの病院の裏口が開いていたこと。このエピソードが、今後どう関わってくるのか、やはり謎です。

    サブタイトルにもあるように、彼らが盗み出すお金は1兆円!! このお金の出所はどこなのか、どんな手口を使って手に入れるのか、まだまだ謎は続きそうです。

    (レビュアー:黒田順子)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2021年7月23日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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