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  • SNSで話題の【葉っぱ切り絵】!一枚の葉っぱが描く小さな優しい世界

    2021年07月31日
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    花森リド:講談社BOOK倶楽部
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    いつでも君のそばにいる 小さなちいさな優しい世界
    著者:リト@葉っぱ切り絵
    発売日:2021年05月
    発行所:講談社
    価格:1,430円(税込)
    ISBNコード:9784065233702

     

    ああ、こりゃすごい

    きっと誰が見ても「ああ、すごい」と思うはず。

    手のひらよりも小さな葉っぱに施された切り絵が表すのは、生き物たちのかわいい物語。葉っぱの上に草が生えてますね、細かい! 豚の尻尾もくるんとかわいい。そして切り絵の向こうに綺麗な空が透けて見えるのも美しい。バクの白いお腹が白い雲と重なっているのもいいな。

    『葉っぱ切り絵コレクション いつでも君のそばにいる 小さなちいさな優しい世界』は、葉っぱ切り絵アーティストのリトさんの初の作品集です。リトさんは2020年から独学で葉っぱ切り絵の制作を始め、その作品をSNS上で発表してきました。

    カニのユーモラスな動き、ほんと好きだなあ。くりかえしになるが、背景の青空と木々もいい。

    SNSのいいところは自分の発信が世界中に見てもらえること。リトさんの作品は国や言葉を飛び越え多くの人に愛されています。で、この愛され方にとても納得がいくんです。みんなが「いいね」と感じてシェアするだろうなと思う。切り絵の繊細さと美しさに加えて、作品に添えられたタイトルとお話がかわいい。世界のすみずみまで丁寧に作り込まれています。

    たとえばこれなんて最高じゃない?

    赤く色づいたもみじの葉っぱに描かれた秋のお話。もみじの一部がリスのしっぽになっているのもかわいい。

    そして、「紙の作品集」っていいなあと改めて実感しました。まず本のサイズ感がいいんですよ。葉っぱをつかむ指のサイズを見るに、おそらくこの作品集に収められた葉っぱ切り絵たちは原寸サイズくらいで印刷されているはず。切り絵の繊細さと葉っぱのかわいらしさが伝わってくる。葉っぱのサイズ感をじっくり味わいながらページをめくると幸せな気持ちになります。

    作品のテーマに合わせて8つのチャプターで構成されているところも楽しい。リトさんの世界観をより丁寧に味わうことができる。あと、ページ番号が葉っぱ模様なのもキュート!

    ということで、隅から隅まで丁寧に作り込まれた作品集だ。

     

    どうせなら自分の得意なことを仕事にしたい

    この作品集は、作品そのものに加え、リトさん自身のこと、そして制作の裏側についても教えてくれる。Q&Aもとても楽しい。

    そうそう、葉っぱのことも知りたかったんですよ。

    リトさんは2020年から葉っぱ切り絵を作り始め、作品数はすでに300点以上。ものすごいペースで制作している。本書で紹介されている制作工程によると、繊細な切り絵を作るためには、葉っぱ1枚を仕上げるまでに刃を2~3回取り替えるらしい。もうめちゃくちゃ気が遠くなる。絶対読んでほしい。

    美しい葉っぱを探し、気の遠くなるような手間をかけて、毎週何枚も作品を生み出す……凄まじい。どうなってるんだ。アーティストってアスリートみたい。このリトさんの凄みについて、リトさん自身はこう語る。

    小さい頃から、集中力「だけは」人一倍強かったぼく。
    特に細かい作業に集中しはじめると、周りの声も聞こえなくなるくらい何時間も没頭し続けられるんです。
    この過剰な集中力は「過集中」と言って、ADHDの人の特徴としてよく見られるものなんだとか。

    「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」を持つ人にとって、社会生活を送る上で難しいことはたくさんあります。リトさんも仕事で苦しい思いを何度も経験し、大人になってから病院で診断を受け、人生を見つめ直しました。

    普通の人の「フリ」をして働くか。
    それとも障害者として配慮を受けながら働くのか。
    …ぼくは正直どっちも嫌だった。
    どうせなら自分の得意なことを仕事にしたい。
    ぼくにしかできないことで周りから必要とされたい。

    このリトさん自身の物語を知った上で作品を改めて眺めると胸がじーんとするんですよ。

    ひまわりのシュッと背が高い感じ、ほんと綺麗だな……。ハムスターはひまわりの種が好きですもんね、みんなで力をあわせたら取れるかも。やさしいやさしいメッセージが詰まっています。

    ただただ「美しいな」と圧倒されるもよし、作品にこめられたメッセージを読んでふわっとやさしい気持ちになるもよし。かわいらしさと精緻さ、そしてリトさんの優しさが同居する作品集です。

    (レビュアー:花森リド)


    ※本記事は、講談社BOOK倶楽部に2021年6月27日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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