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神慮めでたく。
2021年のいまなぜ、2015年に発行された作品を紹介するのかというと、(個人的に)いま古代ギリシャが熱いからで、そのキッカケとなったのが本書『古代ギリシャのリアル』です。
著者は、古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家であり、2020年3月にギリシャで行われた東京オリンピック採火式の同時通訳も担当した、藤村シシンさん。古代ギリシャに興味を持ったきっかけが「聖闘士星矢」だったという点でも親近感が持てます。
おカタい本かと思われてしまいますが、肩の力を抜いて大丈夫です。予想以上にラフな言葉遣いでわかりやすく書かれています。
みなさま、パルテノン神殿を思い浮かべてください。純白で美しい、大理石で造られた神殿が浮かんできませんか。
しかしこのパルテノン神殿、じつは元々、“極彩色に彩られた神殿”であったという衝撃の事実。
のちに博物館職員が「古代ギリシャといえば白! その方がウケる!」という命令のもと色を削り落としてしまったらしい、とのこと。これは知りたくなかった事実です。
ギリシャ神話の“神々の履歴書”も容赦ありません。以下、衝撃の内容をどうぞ。
・“美男”と称えられる輝けるアポロン神が実は“疫病の神”。
・可愛らしい星座の代表格でもあるふたご座が、規律厳しい“スパルタの筋肉ムキムキな軍神”だった。
・軍神アレスは戦の神なのに敗北続きで、13か月も甕の中に閉じ込めらていた。
容赦ありません。
ちなみに、2021年に入ってからも重版され、現在は第9刷とのことです。
記事タイトルにもある「この場にいる者は誰か!」 「善良なる市民!」という掛け合いは、古代ギリシャで最も一般的な祭儀の様式美で、著者の藤村シシンさんが主宰する「古代ギリシャナイト」で恒例の合いの手となっています。
そして、古代ギリシャにハマったら、冒頭の「神慮めでたく」の意味もわかるはずです。
自分も古代ギリシャの正装である花冠を購入し、それを頭に乗せてこの本を読みました。これらのリアルな古代ギリシャの内情を知ると、もっと当時のことを知りたくなってしまうのです。この沼はかなり深そうだ……。
(文・月小路ひかる)
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