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  • “怖いけど、安心して眠れる”おばけ話絵本シリーズ最新作『ばけねこ』発売インタビュー

    2021年07月09日
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    ほんのひきだし編集部 木村
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    「ミルキー杉山のあなたも名探偵」シリーズ(偕成社)などで知られる杉山亮さん。現在は児童書作家と並行して、ストーリーテリングの面白さを広げる活動をされています。

    今回は、杉山さんが手掛ける「おばけ話絵本」シリーズ(ポプラ社)の5作目『ばけねこ』の発売にあたり、シリーズに込められた思いをうかがうとともに、これまでの活動についてもお話ししていただきました。

    杉山亮(すぎやま・あきら)
    1954年、東京生まれ。1976年より保父として、伊豆諸島各地の保育園などに勤務ののち、おもちゃ作家、児童書作家としての活動を開始。手づくりおもちゃ屋(なぞなぞ工房)を主宰。著書に『たからものくらべ』『子どものことを子どもにきく』『朝の連続小説――毎日5分の読みがたり』『のどかで懐かしい〈少年倶楽部〉の笑い話』『青空晴之助』『空をとんだポチ』『トレジャーハンター山串団五郎』『もしかしたら名探偵』ほか。

    ばけねこ
    著者:杉山亮 アンマサコ
    発売日:2021年07月
    発行所:ポプラ社
    価格:1,540円(税込)
    ISBNコード:9784591170519

     

    「正しく怖がる」ということを伝えたい

    ――「おばけ話絵本」シリーズは、“怖いけれども、読んだあとに安心して眠れる”作品といわれますが、そういう作品をつくるきっかけはありましたか。

    小さいころに、「マタンゴ」という映画を見たんですよ。島に漂流してきた人たちが、食べ物がなくてキノコを食べるとキノコ人間になってしまうというストーリーで、それが本当に恐ろしくて。それからキノコを食べられなくなるぐらいのトラウマになってしまって(笑)。

    そういう体験があるからこそ、最後にはちゃんと退治したり、逃げ切れたりと、後味が悪くならないストーリーにしたいと思うようになりました。

    ――その一方で、おばけ自体はしっかりと“怖いもの”として描かれています。

    最近は、おばけのことを可愛く描いている作品も多くなっています。ただ、本来おばけというのは「正しく怖がらないといけないもの」だと思っています。“闇を恐れる”というのは人間の本能なので、それをどう乗り越えていくか、というところを見せたいと思っています。

    ――最新作である、『ばけねこ』の見どころをお聞かせください。

    山場までじわじわ、ゆっくりとストーリーが進んでいくところですね。いまの子どもたちは、すぐクライマックスを欲しがるのですが、物語の醍醐味は、「何かおかしいぞ」「何かくるぞ」「何か起こるぞ」ということがじわじわと積み重なって、最後にバーン!とクライマックスを迎えるものだと考えています。

    あとは、アンマサコさんの絵が素晴らしい! 誰もが描けないような絵で、子どもたちをねじ伏せにかかってきます。あの絵は他の人には描けませんね。そんな力強さも見どころです。

    ――シリーズではこれまで、『のっぺらぼう』『うみぼうず』『かっぱ』『てんぐ』、そして今回の『ばけねこ』と、一般的なおばけが杉山さんのオリジナルストーリーで描かれています。創作するときのこだわりはありましたか?

    日本のおばけって、とてもおどろおどろしいんですよ。水っぽいというか、ジトジトしているというか、怨念だったり、恨みだったりを抱えていて。それを踏まえながらも、どれだけスマートに描けるかということは考えました。

    『うみぼうず』で、北斗七星のことを「ひしゃく型の星が空に浮かんでいました」なんて表現したところは、我ながらうまく描けたなと(笑)。

    ――確かに、シリーズを通して、怖さだけではなく、そういったスマートさも感じられました。子どもたちに「怖い話」を届けることについての思いはありますか。

    子どもたちが、いまも昔も「怖い話」が好きなのは、“心がうごくもの”を面白いと思うからだと考えています。例えば喜怒哀楽の中でも、「悲しい」に当たる「悲劇」を面白いと思うのが人間です。不思議なものですよね。

    なので、「正しく怖がること」を伝えながらも、子どもにとって一番“心がうごくもの”=“面白いもの”は「怖い話」だと思うので、そういう意味でも怖い話を伝えていきたいですね。

     

    子どもの頃の夢は「旅行家」?

    ――現在、児童書作家と並行して活動されいる、ストーリーテリングについてもお聞かせください。

    やっていることは、いわゆる「おはなし会」で、ぼくは「ものがたりライブ」と呼んでいます。典型的なところでいうと、小学校の45分の授業時間の中で、古典と新作の2話分のお話をします。

    この活動で一番大切にしているのは、「物語を聞くのは楽しい」ということを子どもたちにわかってもらうということです。

    例えば、物語を面白いと思っていない子に「本を読みなさい」と本を読ませようとしても、それは物語に入ることなく字を読むだけのものになってしまいます。でも物語の面白さをわかっている子は、字を読めばその物語の世界にいけるとわかっているので、自然と本を読む子になりますよね。

    ――なるほど。ただ「本を読みなさい!」というより、何倍も説得力がありますね。「ものがたりライブ」は、山梨県の小淵沢のご自宅でも開催されているとうかがいました。

    昨年は新型コロナウイルスの影響で開催できませんでしたが、毎年、夏の期間だけで50回ぐらい開催しています。地元の人たちよりも、東京や大阪など、いろいろなところから車で来てくださる方が多いですね。

    ――杉山さんの過去の経歴を見ると、保育士(当時は保父)、おもちゃ作家と、一貫して「子どもに関わる仕事」に携わっています。やはり子どもと関わりたい、という気持ちがあったのでしょうか?

    実は、子どもと関わる仕事ばかりしているのは、たまたまなんですよ。いろいろなことをさせていただいていますが、それは別の仕事というよりも、すべて地続きになっているんですよね。お話にした方が面白そうであれば本にしたり、形にした方が面白そうであればおもちゃにしたりと、表現手段を変えているだけなんですよね。

    ――確かに、職業という観点ではいろいろされているように見えますが、杉山さんの活動はすべてが「ひとつの仕事」にも思えます。

    日本ではどうしても、ひとつの職業をずっと続けることが評価されてしまいます。でもぼくは子どものころから、いろいろな職業につきたいなと思っていました。「将来の夢は?」と聞かれて、ひとつしかいえないのはもったいないなって。

    ――ちなみに、将来の夢はなんと答えられていましたか?

    小学校6年生の時のアルバムには、「旅行家」って書いていましたね。これまで、離島や秩父、いまでは自然豊かな山梨と、いろんな場所でいろんな仕事をして、さながら旅をするような人生なので、あながち外れてはいないですね(笑)。

     

    商品情報

    ばけねこ
    著者:杉山亮 アンマサコ
    発売日:2021年07月
    発行所:ポプラ社
    価格:1,540円(税込)
    ISBNコード:9784591170519

    あらすじ
    昔々のお話です。ある女の子が可愛がっていた猫のタマがいなくなりました。父親によると、年をとった猫はみな、「ねこみみやま」に行って、最期の時をむかえるとのこと。ですが、ねこみみやまに行った者はだれも帰ってきません。だから行ってはならない、と言われた女の子ですが、どうしてもタマに会いたいと山へと向かいます。ですが、途中で霧がわいてきて、道に迷ってしまいました。こまっていると、一軒の家の灯りが見えました。助けを求めたそのお屋敷は……。

    ポプラ社公式サイトより

     

    関連作品

    のっぺらぼう
    著者:杉山亮 軽部武宏
    発売日:2010年07月
    発行所:ポプラ社
    価格:1,320円(税込)
    ISBNコード:9784591119426
    うみぼうず
    著者:杉山亮 軽部武宏
    発売日:2011年02月
    発行所:ポプラ社
    価格:1,320円(税込)
    ISBNコード:9784591122532
    かっぱ
    著者:杉山亮 軽部武宏
    発売日:2011年10月
    発行所:ポプラ社
    価格:1,320円(税込)
    ISBNコード:9784591125939
    てんぐ
    著者:杉山亮 加藤休ミ
    発売日:2018年09月
    発行所:ポプラ社
    価格:1,320円(税込)
    ISBNコード:9784591159736

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