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  • 「め組の大吾」20年ぶりの続編!エリート中のエリートによる、命がけの救助の現実

    2021年06月06日
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    黒田順子:講談社コミックプラス
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    め組の大吾 救国のオレンジ 01
    著者:曽田正人
    発売日:2021年04月
    発行所:講談社
    価格:737円(税込)
    ISBNコード:9784065218310

    1998年の第2回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した『め組の大吾』。連載終了から20年以上の月日を経て、『め組の大吾 救国のオレンジ』として蘇りました。

    今回の主人公は、斧田(おのだ)駿、中村雪、十朱(とあけ)大吾の3人の消防士。
    高卒で倍率20倍の消防官試験に受かるだけでも凄いのですが、「救助(レスキュー)選抜試験」を受けるには、ポンプ隊などで1年勤務し、所属の署長の推薦がなければ受験資格すら貰えません。
    しかも、年に1度のこの試験に合格できるのは、わずか50名。競争率約9倍の難関なのです。

    この「救助選抜試験」を見事突破した3人は、東京消防庁の消防学校で4日間の座学と21日間の実科の「特別救助技術研修」を受けます。

    一番優秀な十朱大吾をライバル視する斧田駿は、大吾が助教授(担当教官)に頭を下げているところを偶然盗み見て、弱みを探ろうとします。

    「仲間だろ」と言う駿に対し大吾は、「仲間じゃない」と言って立ち去ります。

    その様子を見ていた中村雪は……、

    初め、女性の消防士さん!? と思ってしまいました。
    しかし、まだ3パーセント弱ですが、実際にも女性の消防士さんが活躍していることを知り、思わず雪を応援したくなりました。
    ちなみに駿は、高校時代から雪のことが好きで、消防士を目指したのも雪の影響があったからなのです。

    そんな3人は、研修のクライマックスである、実際に燃える屋内で人命を救出する「耐火建物対応訓練」に臨みます。
    雪が先頭に立ち「ホース線」を、駿と大吾はバディを組み「人命検索・救助」を担当。この訓練を通して、互いに命を預けることができる相手だと気付くのです。

    こうして全過程を終了した3人は、ホースと犬のマークに「TOKYO RESCUE」と書かれたワッペンを受け取ります。

    しかし、研修を終えたからといって、すぐに救助隊へ配属されるとは限りません。
    研修終了と同時に「特別救助隊」に入れたのは大吾だけ。駿は半年後、そして雪は通常の勤務をしながら、欠員が出るまで待機なのです。

    駿が大吾と同じ「不破消防署特別救助隊」に加わった初日、いきなり「出場」がかかります。
    現場では、建物倒壊により50代男性の要救助者が動けずにいました。

    いつ崩れるかわからない建物の中で、こんな救助活動が行われていることを今回初めて知りました。

    実は近所に消防署があり、「消防救助機動部隊」という“いかつい”看板にピンと来ていなかったのですが、ホースと犬のマークに「TOKYO RESCUE」の文字を見つけ、都内に数カ所しかないハイパーレスキューの拠点だったことがわかりました。
    どおりで、通勤時のスーツ姿でも凛々しいはずです。彼らは選び抜かれたプロ中のプロであり、命がけの仕事をしているのですから。

    この漫画を読んで初めて以下のことを知りました。
    要救助者のことを252(ニーゴーニ)と呼ぶ。
    252発見の合図はロープを2回引く。
    救助工作車に搭載される資器材の種類は200以上、主な資器材の点検だけでも1時間以上かかる。
    返事は「はい」ではなく「ヨシ」と言うだけでなく、実際の現場ではどんな活動が行われているのか。

    タイトルにある「救国」という言葉に今後、駿、大吾、雪の3人が大災害から人々を救うことになるだろうと予測します。
    前シリーズの登場人物である甘粕士郎(あまかすしろう)も、今後どう関わっていくのか楽しみです。

    今まで消防署の敷地にある瓦礫の山で、どんな訓練が行われているのか想像すらできず、レスキュー隊はニュースの中の人々という印象でしたが、『め組の大吾 救国のオレンジ』を読んだことで、グッと身近に感じました。

    地震が多い日本という国に暮らしている以上、私たちは災害と隣り合わせの生活です。だからこそ今、読むべき作品であると思いました。

    試し読みはこちら

    (レビュアー:黒田順子)

     

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    ※本記事は、講談社コミックプラスに2021年5月16日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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