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「おばあちゃんの知恵美容」という特集で、日本古来の美容法を特集したことがある。日本の女性は美意識が高いので、いろいろな手法が連綿と語り継がれてきたのでは、と期待したのだが、結果は少し意外なものだった。
文献などからその方法がわかるのは、ほぼ平安時代と江戸時代のみ。
日本女性の歴史にくわしいエッセイストの大塚ひかり氏に伺ったところ、平安時代は「天皇家に娘を嫁がせ、皇子を生ませるのが最大の出世の道だった。そのため、貴族の間で美容法が発達した」。
そして「江戸時代は平和だったから、庶民にまで美容法が広がった」ということ。
戦で領土を取りあったり、外圧に必死な対応をしているとき、女性の美容法をうんぬんする余裕はなかったということだろう。
ちなみに江戸時代には美容本のベストセラーが生まれ、「熱い湯で顔を洗えば、顔に早くシワができる」といった、現代の美容記事に出てくるテクもたくさんある。
時は流れ、平成の世の中で、女性の美容法はまさに百花繚乱。私たちは、主にアラフォー女性向けに「加齢に負けない体づくり」の記事をお届けしているので、若さを保つ美容法は、ほぼ毎号特集している。
これは日本の歴史からみると、いまの時代がとても平和である、ということなのだと思う。
先日「からだにいいこと」をより多くの人に知ってもらうため、記事を紹介してくれるブロガーさんたちに集まってもらい、総決起集会を開いた。
いずれも小誌読者の中心である30~40代の女性、21名。そのほとんどが、子どものいるお母さんで、主婦である。
みんな「若い」そして「美しい」!
私が子どもの頃、昭和40年代のお母さんといえば、くるくるパーマをかけ、肉のたっぷりついたお腹を恥ずかしげもなく風呂上りに家族にさらす、典型的な「おばちゃん」であった。
それからわずか40年で、日本の女性はめざましい進化(?)をとげたといっていいと思う。
今回、集まってくれたブロガーさんは、中でも何か発信したいという意識の高い女性だから、平均値よりブラッシュアップされていることはわかる。
そこを差し引いても「よく保っているなあ……」と思わざるをえない。
お肌のたるみ防止にマッサージを欠かさず、黒い日傘で美白をキープし、体をサビさせない抗酸化物質を摂り、成長ホルモンを出すためのちょいキツめな運動をして―。
本当に現代のアラフォーは勉強熱心で、自分磨きに熱心だ。そして、世の中から「おばちゃん」がどんどん駆逐されている。
いまの日本は、未曾有のシルバー社会を迎えると共に、かつてない「女性がいつまでも若さと美しさを表現する時代」に突入している。
それは私たちが「いつまでもきれいな女性でいましょう!」というメッセージを伝え続けた結果でもある。
「だが、しかし……」と、私は時に思う。結婚し子どもを産み育てたら、あとは「美」の競争から降りて、気楽にのんびりやっていく。そのほうが、人としてはストレスなく生きられるのではないだろうか、と。
いつまでも美しくあれ!自分の人生を果てなく輝かせろ!というのは、なかなかシンドイのではないか、と。
とはいえ、そんな美の競争が行われているのは、なんといっても日本が平和な証拠。
近頃は世の中がきなくさくなっているけれど、女性が美容に目を輝かせている時代が続くほうがいいのだろうと思いながら、シミ・シワを解消する記事を作り続けている。
祥伝社「からだにいいこと」編集長
安田美奈子―YASUDA Minako
1966年北海道生まれ。週刊誌の編集等を経て、2007年より「からだにいいこと」に携わる。2015年より現職。
「からだにいいこと」
「一生きれい、一生元気を応援するマガジン」として、健康・美容・ダイエットほか“女性の困った”を解決する多様な記事を掲載。4月16日発売の「からだにいいこと」6月号では、アラフォーの「皮下脂肪」解消法や、薬を飲まずに不調を治す方法などを紹介している。
(「日販通信」2016年5月号「編集長雑記」より転載)