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  • 『七つの大罪』鈴木央インタビュー「紙の本の匂いや重さが好き」:書店を大事にしたいと願う、熱き想い語る

    2021年05月05日
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    講談社コミックプラス
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    黙示録の四騎士 1
    著者:鈴木央
    発売日:2021年04月
    発行所:講談社
    価格:528円(税込)
    ISBNコード:9784065229828

     

    改めて「書店にぜひ足を運んで欲しい」「書店さんを大事にしたい」

    4月16日(金)に『黙示録の四騎士』(累計3700万部越え作品『七つの大罪』正統続編)の第1巻が発売された。作者である鈴木央氏は2月に『七つの大罪』24巻分無料公開という異例の施策を行った。それは、コロナ禍の中で1人でも多くの方の心の支えになるための大きな決断であった。だが、無料公開期間を経た今、改めて「書店にぜひ足を運んで欲しい」「書店さんを大事にしたい」という。その裏には、これまでの制作を支えた熱い思いがあった。

    4月16日に発売される『黙示録の四騎士』第1巻

     

    紙を手でめくるときの匂いや重さが好き

    ──央先生は、パソコンもほとんど使わず電子書籍もほとんど読まれないとのことですが、それはどうしてなのでしょうか?

    ちょっぴり天邪鬼だからですかね(笑)。みんながインターネットをやっていたり電子書籍を読んでいても、「自分は別にいいや」と思ってるんで。それ以外のものの方が楽しいと思う性格なので。「パソコンや電子書籍に絶対触れない!」と決めているわけではなく、あくまでも自分がより楽しいと思うのは何だろうといろんなものを選択した結果が今のスタイルになっているだけかもしれません。
    あとは、例えばご飯や映画などでも自分が「いいな!」と思うものが流行りとは程遠いことが多いですね。元来、そういう流行っているものとは少し遠いものを選びがちというのも大きいかもです (笑)。

    ──ご自身が読まれる書籍も紙のものが多いのでしょうか?

    個人的には紙の本しか読まないです。やはり、紙を手でめくるときの匂いや重さが好きで、そこは外せないですね。それに、これは本を創る側になってみて初めて気づいたのですが、どういう装丁にしようかとか、どういうデザインにしようかという工夫って本の数だけあるじゃないですか。そういうこだわりをなるべく自分の肌や目で感じたいなと思っています。

    ──書店にもよく行かれるのですか?

    原稿制作の合間によく行きます。書店に行くと、図鑑や辞書といった大きい書籍が特に欲しくなります! 資料用などに購入することが多いですが、実際に手に取り「こんな本があるんだ」と知るだけでワクワクします。小説なども、大きな棚にずらっと並んでいるタイトルは壮観ですよね。テーマパークのようで、とてもウキウキします。

     

    「楽しい!」だから、原稿制作は紙とペンのみで描く

    ──原稿の制作も紙とペンのみで制作されているとお聞きしました。

    そうですね! 紙とペンじゃないと漫画を描いている感じがしないです(笑)。デビュー当時から一貫して紙とペンなので、もう体の一部みたいなものです。
    だけど最近、悩みがあって……。これまでずっと使ってきたトーンやコピックがどんどん廃盤になっているんです! それに、普段はFAXで編集の方とやり取りしているのですが、新しいFAX機がどこにも売っていない! なので、物理的に漫画を描くことを辞めざるを得ないかも……(笑)。でも、紙とペンまではなくならないと思うので、一生描き続けると思います!

    ──たしかアシスタントさんもいらっしゃらず、お1人で原稿を制作されていますよね?

    アシスタントをお願いしていないのも、実は天邪鬼な性格がきっかけなんですよね(笑)。新人の頃の担当編集の方に「アシスタントがいないとやっていけないよ」と言われたので「アシスタントなしでもやれますよ!!」と半ばやけっぱちで始めたら、今日までそれが続いています。1人で創るとゲーム休憩を挟みながら仕事ができますし、酒も飲めるし、実はやりやすかった(笑)。

    ──アシスタントさんも入れずに、線の一本一本をペンで描く。かつ、それを週刊ペースでというのはものすごく大変だと思います。「つらい」と思ったことなどなかったのですか。

    ないですね。そもそも、子供の頃だと「漫画ばかり描いてるんじゃないよ!」って怒られたのに、今はそれを仕事にできているのってとても幸せだと思うんですよね。

    ──そのようなスタイルで制作された『黙示録の四騎士』ですが、ついに4月16日(金)に発売されます。どのようなお話なのでしょうか。

    『七つの大罪』の続編ですが、『七つの大罪』を読んでいない人も楽しめる作品になっています。主人公はパーシバルという少年。愛嬌がありとても可愛いです。『七つの大罪』の主人公であるメリオダスとは、また違った魅力がありますね。

    ──主人公のイメージが変わったことで、『七つの大罪』から制作上の意識が変わった部分などありますか?

    パーシバルをどれだけ可愛く描くかに拘(こだわ)りました。例えば、褒められた後に照れたり、普段から兜もマントもぶかぶかのような、ちょっと抜けてる描写を描く機会が増えましたね。それはメリオダスを描くときにはあまりなかった部分です。やはり、メリオダスは強くカッコイイキャラクターだったので。もちろん、パーシバルもこれから徐々にカッコよく、たくましくなってくれると思いますが(笑)。1巻ではパーシバルの可愛さを楽しんでほしいですね。

    『黙示録の四騎士』本編より、照れるパーシバル

    ──『黙示録の四騎士』は迫力ある見開きの画も見どころの一つかなと思います。

    やはり1話目、旅立ちのパーシバルの見開きは感情込めましたね! あと、バトルシーンでの見開きはまだないんですが、『七つの大罪』では意外と少なかった見開きの風景描写を楽しんで欲しいと思います。『七つの大罪』では村や街に移動することはあっても、その道中は平原だったり、ホークママで一気に移動しちゃったりで、風景描写が実は少ないんですよね。『黙示録の四騎士』ではキャラクターは徒歩で移動するので、これまでにはなかったような風景画を体感してほしいです。

    『黙示録の四騎士』1巻に収録されている、圧巻の風景画

    ──『黙示録の四騎士』でもオマケページがあるのでしょうか。

    余白ページのある限りは、じゃんじゃんと描き足していますよ! やっぱり、雑誌を読んで応援してくれている方にまだ読んだことのないページを提供したいですね。子供の頃に好きだった漫画にオマケページがあると本当に嬉しかったので。その内容が物語本編とは関係のない作者さん自身のエッセイ漫画でも楽しかったですもん(笑)。あ! 『黙示録の四騎士』のオマケページでは、ちゃんとパーシバルが出ますよ! それに、『黙示録の四騎士』でも『七つの大罪』から続いてイラスト募集企画も行うのですが、読者さんとのコミュニケーションも楽しみたいなと思っています。他にも「こんな企画をやってほしい」というお声を頂けば、ぜひそれをやりたいなと思っているので、教えてくださいね!

     

    紙の書籍の文化をより一層盛り上げたい!

    ──コロナ禍の中ではじまった新連載(2020年1月発売の『週刊少年マガジン』から開始)でしたが、このような時勢だからこそ大変だったことなどありますか?

    一番の大きな変化は、打ち合わせ後の毎週の飲み会がなくなったことですね。連載がはじまってから、まだ1回も飲みにいけてないんです……。『七つの大罪』連載時は、打ち合わせが終わったあとに毎週のように飲んでいました。意外とお酒の席からいいアイデアが生まれることもあったりで本当に楽しいんですよね。なので、この状況が一刻も早く落ち着いて欲しいです。

    ──電子版の『七つの大罪』24巻分も無料にするなど、央先生の作品の届け方にも変化がありました。

    書店に行きたくても行けない、また書籍を買いたくても買えない方がたくさんいらっしゃると考え、そのような決断に至りました。様々な方が大変な思いをされている中で、少しでも作品が心の拠り所になれたのなら光栄です。無料公開期間では、これまで作品を読んだことがなかった方の声も聞くことができたのも嬉しかったです。
    ただ、無料公開期間を経て、電子版で作品を知っていただいた方に「書店に足を運んでもらいたい」、「書店さんを大事にしたい」という思いが一層強くなりました。

    ──「書店さんを大事にしたい」という思われる大きな理由は何なのでしょうか?

    やはり、自分自身が紙の書籍が好きなこと、その素晴らしさが1人でも多くの方に届いて欲しいと思うからです。また、これまでサイン会などでお邪魔した書店さんからの応援への感謝の念も大きいです。サイン色紙を飾ってくださったり、棚を大きく展開してくださったり、「こんなに応援していただけるんだ」という印象が強く自分の中に残っています。いくつかの書店さんとはサイン会終わりにお酒の席もご一緒させていただいたのですが、本の話で盛り上がってとても楽しかったですね(笑)。

    ──なるほど。最後に、全国の書店さんに向けてメッセージがあればお願いします。

    いつもお世話になっています! 最近は作品が電子書籍で読まれる機会が多くなってきていますが、これからも紙の書籍の文化は続くものですし、一層盛り上げたいと考えています! 引き続き、皆さんに応援していただける作品を創れるよう精進いたします。よろしくお願いします!


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2021年4月16日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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