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  • 「くまのがっこう」のあいはらひろゆきさんがひとり出版社を立ち上げ!新しい本や本づくりを提案するサニーサイドブックス

    2021年04月27日
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    日販 ほんのひきだし編集部 諸山
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    累計発行部数200万部を超える絵本シリーズ「くまのがっこう」(ブロンズ新社)などで著名な絵本作家・あいはらひろゆきさんが2020年6月、ひとり出版社を始めました。

    自身の版権管理会社「サニーサイド」を事業母体とし、出版レーベル「サニーサイドブックス」を設立。昨年話題となった4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』の絵本版『100にちごにしぬワニ 1にちめから30にちめまでの13にちかん』第1巻(全3巻)を皮切りに5作品を刊行しています。

    今回、出版事業に乗り出した理由や出版社で実現したいことなどを、あいはらさんに伺いました。

    【プロフィール】
    あいはらひろゆき(相原博之)
    さん
    1961年仙台市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。広告代理店でキリンビール、JTなどの広告開発を担当後、バンダイに。バンダイキャラクター研究所所長として絵本発のキャラクタービジネスを展開。絵本「くまのがっこう」シリーズ(ブロンズ新社)は累計発行部数200万部、2019年度商品ビジネス約50億円(累計売上約700億円)に成長。そのほか100作近い著作を刊行。バンダイ子会社「キャラ研」代表取締役を2015年まで務め、その後はビジネスアドバイザーに就任。メディア出演、講演会も多数手がける。

    ▲出版社として第1弾に刊行した『100にちごにしぬワニ』第1巻

     

    「お客さんの手に届くところまで関わりたい」

    ――自ら出版社を立ち上げるに至った経緯を教えてください。

    作家として20年、さまざまな出版社さんから絵本を出させていただきました。しかし、作家は出版社と作品を仕上げておしまい。お客さんの手元に届くまでの出版流通についてはノータッチです。多くの作品を手がけていく中で、そこまで関わりたいという思いが徐々に強まっていったのです。

    ――そう思われたのはなぜですか。

    作家は、作品を書けば読者は読んでくれると勘違いしがちです。実際には出版社の営業、取次会社、書店が苦労されて、お客さんに一冊一冊、本を届けてくれています。頭では分かってはいるのですが、本に関わる者としてそこまでを肌で感じるべきという思いが、ここ2、3年の間に強くなっていきました。

    ――具体的に動き出したのはいつからですか。

    昨年からです。出版社の友人・知人に相談しながら、準備していきました。出版社の方からは、「作家が思うほど、出版事業は簡単な話ではない」などの助言もたくさんいただき、心が折れたことも(笑)。

    しかし、年に100点、200点を出版するという事業を始めるのではありません。年間10点を目安に1点ずつ丁寧に作っていくのであれば可能ではないかと考え、思い切ってはじめてみました。地雷を踏んだかもしれませんけどね(笑)。

    ――昨年6月から出版社として絵本の刊行をスタートされました。

    『100日後に死ぬワニ』の絵本版に続いて、昨年10月に『てあらいまんとうがいひめ』(たあ先生=あいはらひろゆき、ちゅうがんじたかむ)と『ルルロロのてあらいだいすき!』(あいはらひろゆき)、今年1月には『あっぷっぷのぷ~』(あいはらひろゆき、すずきまみ)を刊行しました。いずれも絵本で、『あっぷっぷのぷ~』は重版もかかっています。

    絵本版100にちごにしぬワニ 1にちめから30にちめまでの13にちかん
    著者:きくちゆうき 相原博之
    発売日:2020年06月
    発行所:サニーサイドブックス
    価格:1,320円(税込)
    ISBNコード:9784910188003

    てあらいまんとうがいひめ
    著者:たあ先生
    発売日:2020年10月
    発行所:サニーサイドブックス
    価格:1,078円(税込)
    ISBNコード:9784910188027

    ルルロロのてあらいだいすき!
    著者:相原博之 まついくみ あだちなみ
    発売日:2020年10月
    発行所:サニーサイドブックス
    価格:968円(税込)
    ISBNコード:9784910188041

    あっぷっぷのぷ~
    著者:相原博之 すずきまみ
    発売日:2021年01月
    発行所:サニーサイドブックス
    価格:968円(税込)
    ISBNコード:9784910188065

     

    新しい才能を世に送り出す機会を提供

    ――あいはらさんの作家活動と、サニーサイドブックスの出版活動は、どのような役割分担、または線引きをされているのでしょうか?

    もちろん、作家としては他の出版社さんともこれまで通り、お仕事させていただきたいと考えています。一方で、サニーサイドブックスは、新しい才能を世に出していく役割を担いたい。

    昨今、新人作家にとって出版のチャンスは少なくなりました。特にここ数年はその印象が強まっています。才能あふれる人であっても、デビューするまでは誰もが新人です。出版社として新しい才能を世に送り出す機会を提供することが、先輩作家としての役割でもあると感じています。

    ――絵本など子ども向けのジャンルを出版していくのでしょうか。

    私は長く絵本を手がけてきましたので、子ども向けの本が中心となります。いい企画があれば絵本に関わらずどんどんトライしたい。5月には『100日後に死ぬワニ』絵本版の第2巻と第3巻を同時刊行する予定ですが、この作品は大人のファンが多い。こうした大人向けの作品も手がけていきたいと考えています。

    ▲5月には『100にちごにしぬワニ』の第2巻(写真上)、第3巻を同時刊行

    ――『100日後に死ぬワニ』を原作にしたアニメ映画「100日間生きたワニ」が5月28日に公開されますね。

    東宝系で全国公開となります。監督は「カメラを止めるな!」の上田慎一郎さん、声優は神木隆之介さんや中村倫也さんら豪華俳優陣が務めます。テレビCMのほか、コンビニエンスストアなど各企業とのタイアップも決定していますので、再び「100ワニ」ブームが起きる可能性があります。これに合わせて絵本版も盛り上げていきたいです。

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    大手出版社が挑戦しない企画にトライ


    ――3月に発売されテレビ番組でも取り上げられた、東日本大震災をテーマにした絵本『笑顔が守った命~津波から150人の子どもを救った保育士たちの実話』も、大人向け作品といえますね。

    子どもたちにも読んでもらいたいですが、お父さんやお母さん、さらには保育士など、大人と子どもが一緒に読んでほしい作品です。東日本大震災当日に大津波に襲われた仙台市中野栄あしぐろ保育所で、150人の子どもたち全員を必死で守り抜いた保育士たちの実話を絵本にしました。

    こうしたドキュメンタリーをベースにした絵本がサニーサイドの顔になっていくと面白いですね。もちろん、第2弾、第3弾も考えています。

    笑顔が守った命
    著者:相原博之 ちゅうがんじたかむ
    発売日:2021年03月
    発行所:サニーサイドブックス
    価格:1,650円(税込)
    ISBNコード:9784910188089

    ――新しいジャンルや他社がチャレンジしていない企画を出版していくのも役割の一つでしょうか。

    私は以前、広告会社に勤務していましたので、普通の出版社は思いつかない“変な企画”をたくさん考えています(笑)。

    東日本大震災の本は、私が仙台出身ということもあって、ある出版社に企画を持ち込みました。ただ、残念なことに、「こういう絵本は売れません」と断られてしまいました。しかし、売れる、売れないが、すべての価値ではありません。サニーサイドブックスの使命は、こうした大手出版社が出版しない、挑戦しない企画にトライしていくことです。

     

    絵本ナビと読者参加型の絵本プロジェクトをスタート

    ――絵本のポータルサイト「絵本ナビ」と読者参加型の絵本づくりをスタートさせるなど面白い企画にも取り組んでいますね。

    「みんなでつくる!森のえほんプロジェクト」のことですね。子どもたちや親御さんから今回制作する絵本のテーマ「木を植える」に登場する「不思議な実がなる木」のアイデアを募集し、選ばれたアイデアが絵本に登場するという “読者参加型の絵本プロジェクト”です。アイデアの応募者は全員、絵本の中に氏名を掲載する予定です。

    すでに募集は終了し、これから私と絵本ナビの審査、一般アンケートを経て最終案を決定します。最終案のゲラを今度は絵本ナビ会員に試読してもらい、フィードバックされた意見を絵本に反映。今年9月にサニーサイドブックスより刊行する予定です。

    ――絵本ナビと読者参加型の絵本づくりを始めた理由を教えてください。

    2020年に刊行した『はっはっはくしょーん』は、幼稚園・保育園の約30園に絵本のゲラを送って、読み聞かせをしてもらい、その意見を取り入れて完成させた絵本です。次はお父さんやお母さん、その子どもたちとダイレクトに本づくりができないかと考えました。

    そこで、お父さん、お母さんとのパイプが太い「絵本ナビ」に声をかけました。「絵本ナビ」も主体となって絵本をつくるのは初めてでしたが、「ぜひ」にと二つ返事でした。これを成功させて、第2、第3の新しい本のつくり方にチャレンジしていきたいです。

    はっはっはくしょーん
    著者:たあ先生 相原博之 ちゅうがんじたかむ
    発売日:2020年01月
    発行所:KADOKAWA
    価格:1,078円(税込)
    ISBNコード:9784041084595

     

    「出版界に旋風を巻き起こしたい」

    ――最後に、今年で絵本作家デビュー20年の節目を振り返っていただくとともに、読者に向けてメッセージをお願いします。

    『くまのがっこう』は本から映画、イベント、ミュージカルと広がっていきました。本はさまざまなメディアのコンテンツの核となっていますので、その根本を担うことへのやりがいを強く感じています。ゼロから生み出したキャラクターが、誰もが知っているものに育つのです。これほど夢があり、ものづくりの面白さを体感できる仕事はありません。

    出版には作家として20年携わってきましたが、これからは出版社として、これまでにないジャンルの本を出して出版界に旋風を巻き起こしていきたいと思います。

    そして読者の皆さん。「こんな絵本がほしかった」「こういう絵本や児童書があるんだ」と、今までなかった新しい作品をどんどん出版していきます。一緒に児童書、絵本の世界を盛り上げていきましょう。




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