• fluct

  • 主役の逝去、長い撮影中断を経てついに公開へ……「キネマの神様」山田洋次監督・菅田将暉らキャストが思いを語る

    2021年03月30日
    楽しむ
    ほんのひきだし編集部
    Pocket

    志村けんさんが亡くなってから1年。3月29日(月)、映画「キネマの神様」の完成報告会見が都内で行なわれました。

    同作は、松竹映画100周年を記念し制作された作品。当初は志村さんと菅田将暉さんのダブル主演で映画化予定でしたが、撮影を進めていたなか、志村さんの死去、緊急事態宣言発令により撮影が長期中断。その後、志村さんの遺志を継ぎ、かつての盟友である沢田研二さんが主人公・ゴウを演じることが決まり、公開日も8月6日(金)に決定しました。

    会見には、沢田研二さんとダブル主演をつとめた菅田将暉さんをはじめ、永野芽郁さん、野田洋次郎さん、寺島しのぶさん、小林稔侍さん、宮本信子さん、そして山田洋次監督が登壇。撮影現場のエピソードや、本作への思いが語られました。

    冒頭、山田洋次監督はあらためてこれまでの道のりを振り返り、「準備を含めて2年以上。ようやくこの日が来ましたが、それでも封切りはまだ先です。こんなに長い期間待つことになったのは、僕の長い映画人生でも初めて。早く観ていただきたいです」と語りました。志村けんさんが演じる予定だった主人公・ゴウは、無類のギャンブル好きで、妻・淑子(宮本信子)や娘の歩(寺島しのぶ)にも見放されたダメ親父。「本読みまでした後に主役がお亡くなりになってしまうという、この出来事も初めての経験でした。その時のことは今でも思い出します。混乱し、どうすればいいか不安にもなってしまいましたが、いろいろな考え方をして、沢田研二さんがやってくれることになりました。志村さんで考えていたのとはまったく違う、別な、新たな魅力のあるゴウを演じてくださいました」。

    “稀代のコメディアン・志村けん”と、“天下の二枚目・沢田研二”。沢田さんが演じたゴウについて、その若き日を演じた菅田さんは「(すでに若き日のゴウのパートは撮影が終わっていたので)撮影を見学させていただいたんですが、ものすごくパワフルで、僕よりも動き回っていて、すごくチャーミングで、ダメ親父なんだけど色気があって。人が自然と周りに集まってくるような魅力的なゴウでした」とコメント。

    山田監督も「彼も、ずいぶん悩んだと思います。なんてったって、志村さんとは正反対の二枚目ですから。でも実は2人は仲がよくて、ばかばかしいナンセンスギャグを一緒になって楽しそうにやっているのを僕は何度も見てきた。だから、沢田研二さんがまた違った角度でゴウを演じることは可能じゃないだろうかと思ったんです。それを沢田さんは引き受けてくれて、現場では長いセリフもスラスラと発し、ダメな男・ゴウを鮮やかに演じてくれました。表には出さないけれども、きっと何度も何度も稽古をしてくれたんだろうと思います。菅田さんも二枚目なので共通点があってよかったと思います」と絶賛していました。

    撮影所近くの食堂・ふな喜の看板娘で、のちにゴウの妻となる淑子は、若き日を永野芽郁さん、現代の淑子を宮本信子さんが演じています。

    「毎日緊張と勉強の連続でした」と語る永野さんに対して、宮本信子さんはなんと本作が50年ぶりの山田組。「50年は長いですよね。『男はつらいよ 純情編』で最初にお会いした当時はすごく怖くて、近寄るなんてとても……という雰囲気だったのですが、本作で久しぶりにお会いして、思わず駆け寄ってしまいました」「(最初の撮影で)セットに入って雪を見た時『ああ、“映画”ってこれだわ! 本当に映画っていいな』と感動したのを覚えています。キャスティングしてくださってありがとうございました」とうれしさいっぱいにコメントし、山田監督も「あの時はかわいいお嬢さんでしたね」と懐かしそうな表情を浮かべていました。

    一方の寺島しのぶさんは、山田組への参加は今作が初めて。「何が何でも出たいとマネージャーさんに伝えていた」とかねてより熱望していたことを明かし、「“映画を撮っている”ということの実感がもう違っていて、この空気を吸えてるだけで幸せだと感じながら毎日過ごしていました。(ある日の撮影で)時間も迫っているからと撮影したシーンがあって、撮った後に(そのシーンで狙っていたような)きれいな夕日が出てきたんですが、監督が『もうちょっと若かったら、俺は5時間でも6時間でも待てたんだ!』と子どものように悔しがっていらっしゃったんです。その姿に泣きそうになりました。心が洗われる思いでした」と実際の撮影現場を振り返りました。

    そんな山田監督の“映画への執念”をひときわ感じていたのが、主演の菅田さん。「そもそも撮影のシステムが執念の塊のようで、ほかの映画の現場とは段取りも、時間の使い方もまるで違いました。監督が考えごとをして、1~2時間立っていることもありました。粘って粘って撮ったシーンが、次の日現場へ行くとリテイクになっていたこともありました。一見難しい現場だと思われるかもしれませんが、俳優としては、そこまで求めてもらえることってなかなかないので幸せだなと思っています。山田監督がかける魔法みたいなものがあって、すごい空気感でした」

    そして、試写を観た関係者の間で話題になっているのが、野田洋次郎さんが演じた“若き日のテラシン”と、小林稔侍さん演じる“現代のテラシン”がそっくりだということ。

    野田さんは「(ちょうど先日完成した映画を観て)僕が演じたテラシンの未来を小林稔侍さんに演じてもらったことに感動しています。観ている時は、撮影中のことも思い出しました。山田監督はアイデアが豊富で、右往左往している自分がスクリーンに映っているように感じました」とコメント。小林さんは登場時の挨拶で「“使用後”のテラシンです」とおどけていましたが、「山田監督が開いてくださった食事会で、初めて野田さんにお会いしたんです。お互いに自己紹介をしただけで時間が過ぎてしまいましたが、その時の以心伝心もあったのか、野田さんが演じたテラシンの姿に『気持ちは僕と一緒だ』と感じました。嬉しいです」と、少し顔をほころばせていました。

    会見の最後には、山田監督と菅田さんから、映画の公開を楽しみに待つ私たちにメッセージが贈られました。

    「映画人にとって、一番大きな課題は『このコロナの時代を通り過ぎてしまうと、映画を配信で見る習慣がついてしまうのではないか』ということです。ですが、そんなことはない、映画は消えないと思っています。この映画でもたっぷり語られていることだけれども、映画は、映画館の中で、見知らぬ人たちがいっしょに観て、時に語り合い、拍手を送ったりして、楽しく見るもの。そうであり続けたいと思っています」(山田監督)

    「まさか山田洋次監督作品の真ん中に立たせていただけるとは思ってもいませんでしたし、本来であれば……という出来事もたくさんありました。そんななかで『今、完成しました』と言えることが一番の喜びです。本当に思いの詰まった作品になりました。たくさんのメッセージが込められている映画になっていますので、どうぞよろしくお願いいたします」(菅田さん)

    いつもはラジオやバラエティ番組で軽妙なトークを繰り広げている菅田さんが、最後のメッセージを贈る際、「思いがたくさんあって言葉にするのが難しい」と漏らしていたのも印象的でした。

    映画「キネマの神様」は、8月6日(金)より公開。公開までに、“キネマの神様”の存在を信じたキャスト・スタッフ陣の思いが伝わってくる「特別映像~完成までの物語~」もぜひご覧ください。

    映画「キネマの神様」

    【STORY】
    無類のギャンブル好きなゴウ(沢田研二)は、妻の淑子(宮本信子)と娘の歩(寺島しのぶ)にも見放されたダメ親父。 そんな彼にも、たった一つだけ愛してやまないものがあった。それは「映画」――。
    行きつけの名画座の館主・テラシン(小林稔侍)とゴウは、かつて映画の撮影所で働く仲間だった。若き日のゴウ(菅田将暉)は助監督として、映写技師のテラシン(野田洋次郎)をはじめ、時代を代表する名監督やスター女優の園子(北川景子)、また撮影所近くの食堂の看板娘・淑子(永野芽郁)に囲まれながら夢を追い求め、青春を駆け抜けていた。そして、ゴウとテラシンは淑子にそれぞれ想いを寄せていた。しかしゴウは初監督作品の撮影初日に転落事故で大怪我をし、その作品は幻となってしまう。ゴウは撮影所を辞めて田舎に帰り、淑子は周囲の反対を押し切ってゴウを追いかけて行った……。
    あれから約50年。ゴウの孫・勇太(前田旺志郎)が、古びた映画の脚本を手に取る。その作品のタイトルは、『キネマの神様』。それはゴウが初監督の時、撮影を放棄した作品だった。勇太はその脚本の面白さに感動し、現代版に書き直して脚本賞に応募しようとゴウに提案する。最初は半信半疑で始めたゴウであったが、再び自身の作品に向き合う中で、忘れかけていた夢や青春を取り戻してゆく――。
    これは、“映画の神様”を信じ続けた男の人生とともに紡がれる愛と友情、そして家族の物語。

    監督:山田洋次
    脚本:山田洋次 朝原雄三
    原作:原田マハ『キネマの神様』(文春文庫刊)
    出演:沢田研二 菅田将暉 永野芽郁 野田洋次郎 / 北川景子 寺島しのぶ 小林稔侍 宮本信子
    配給:松竹

    8月6日(金)公開

    https://movies.shochiku.co.jp/kinema-kamisama

    ©2021「キネマの神様」製作委員会




    タグ
    Pocket

  • GoogleAd:SP記事下

  • GoogleAd:007

  • ページの先頭に戻る