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  • 三浦しをん、3年ぶりの長編小説『エレジーは流れない』。温泉街を舞台にした高校生の青春を描く

    2021年04月28日
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    三浦しをんさんによる小説『エレジーは流れない』が、4月23日(金)に発売されました。

    本作は、本屋大賞ノミネート作『愛なき世界』から約3年ぶりとなる長編小説。家庭環境が複雑な男子高校生・怜(れい)と友人たちによる、“なんてことない”青春物語です。

    エレジーは流れない
    著者:三浦しをん
    発売日:2021年04月
    発行所:双葉社
    価格:1,650円(税込)
    ISBNコード:9784575243970

     

    舞台は温泉街。2人の母親に育てられた男子高校生

    舞台は、豊かな山と海に囲まれた温泉街「餅湯温泉」。“温泉街”といっても団体観光客でにぎわっていた面影はもはやなく、のどかというよりは“緩慢”と表現するのが適当なさびれた街で、主人公の怜は過ごしています。

    怜は、何かに熱中することもなく、かといってやる気がないわけでもない、ごく普通の高校生ですが、人とは少し変わった家庭環境にあります。それは、商店街でお土産物屋を営む寿絵(としえ)と、丘の上の豪邸に住む伊都子(いとこ)という2人の母親に育てられたことです。

    物心つく前から“女手ふたつ”で育てられた怜。複雑な家庭環境にある一方で、その日常は、大きな事件も起きないのんびりしたものでした。しかし、進路の選択をする段階になり「自分は何になりたいか」という問いがつきつけられ、嫌でも自分のことや将来のことを考えるようになります。

     

    やりたいことや夢って、持ってないといけないのだろうか

    何かに熱中することもなく、大きな夢も持っていない、怜のようにぼんやり過ごす日々は、その時は若い自分をモヤモヤさせますが、大人になった今思い返してみると、そんなモヤモヤごと大切な思い出だったりします。

    怜とその友人たちの“なんてことない”日常は、かつて自分たちが経験した当時のことを思い起こさせます。

    作中、怜は自分のことを見つめ直す過程で自身の家庭環境の謎にも直面しますが、それも日常を彩る一つのアクセント。リアルな息づかいとともに描かれる“なんてことない日常”に、思わずかつての自分に思いを馳せてしまう、懐かしくも愛おしい一冊です。

    三浦しをんさんのコメント

    この小説は、温泉街で暮らす高校生たちの話です。ぬるま湯に浸かっているみたいに、特に大きな事件もなく、将来への明確な夢もなく、かれらの日常はのんびりと過ぎていきます。

    私自身、高校生のころなどに「いまが一番いい時期よ」と大人からしばしば言われましたが、まったくピンと来なかったし、いま思い返しても「若い=夢や希望にあふれている=いい時期」だったとはちっとも思えません。ただ退屈で、さきが見えなくてちょっと不安で、でも友だちとおしゃべりしているのが楽しかったという感じです。事件や夢がなくても日常は営まれるよな、という思いをこめて書きました。

    そんな日常をおバカなノリで、けれど一生懸命に生きる登場人物たちを、応援していただければうれしいです。

     

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