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  • 少年忍者×文豪の名作を、異色の切り口で展開したプロデューサーの狙い 「WOWOWオリジナルドラマ 文豪少年!~ジャニーズJr.で名作を読み解いた~」

    2021年03月21日
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    日販 ほんのひきだし編集部 浅野
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    太宰治の「走れメロス」、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」、森鷗外の「高瀬舟」、小泉八雲の「雪女」、江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」……。書かれた時代も味わいもさまざまな文豪たちの傑作を、現代の視点から描いたり、異色の角度で捉えたりすることで、新たな物語として展開する「WOWOWオリジナルドラマ 文豪少年!~ジャニーズJr.で名作を読み解いた~」。演じるのは、全員が2000年代生まれという若き才能が集まった「少年忍者」のメンバーです。

    出演する全員が連続ドラマ初主演、なかには初出演のメンバーもいるなか、ドラマはいよいよ3月21日(日)よりWOWOWにて放送・配信開始。今回は井上衛プロデューサー(WOWOW)に、「文豪少年!」を企画した経緯やドラマの見どころ、撮影の裏話などを伺いました。

    作品概要
    お釈迦様の気まぐれで地獄に垂らされた“蜘蛛の糸”が、もし現代の世界にも現れたとしたら? メロスを待つセリヌンティウスの心境は?――少年たちがとあるブックカフェを訪れたことから始まる、知っているようでやはり違う、いまだからこそ紡がれた新しい“名作”の姿。
    そのブックカフェは、棚に本が一冊も置かれていない。なぜなら訪れたときから、その人が読むべき本は決まっているから。マスターが差し出した本をめくると、楽しさ、豊かさ、怖さ、悲しさ、温かさ、……彼らの人生を少し変えるかもしれない物語の世界が広がっていく。

    第一話「クモの糸」(主演:黒田光輝)
    第二話「メロスを待つ男」(主演:ヴァサイェガ渉)
    第三話「注文が多い店には気をつけろ」(主演:小田将聖、田村海琉)
    第四話「罪と罰の散歩者」(主演:川﨑皇輝)
    第五話「二百十日の二百十段」(主演:安嶋秀生、檜山光成)
    第六話「稲荷坂の秘密」(主演:深田竜生)
    第七話「外科室のある洋館」(主演:織山尚大)
    第八話「少年と舟」(主演:北川拓実)
    第九話「雪おんなの風」(主演:元木湧)
    第十話「冬の青い日傘」(主演:内村颯太)

     

    どんな名作も解釈は一つじゃない 「少年忍者」にあてがきされた新しいドラマ

    ―― まずは、「文学」という題材に注目した背景と、そこから「文豪少年!」という企画が生まれた経緯をお聞かせください。

    ジャニーズJr.の皆さんとは、HiHi Jetsの髙橋優斗さんだったり(2019年「連続ドラマW ポイズンドーター・ホーリーマザー」)、美 少年の那須雄登さんだったりと(2020年「連続ドラマW パレートの誤算~ケースワーカー殺人事件」)、過去にも現代作家さんの作品で一緒にお仕事をさせていただいてきました。そのなかで「ジャニーズJr.のメンバーを主役にしたシリーズものが作れたら」というお話しになって。ある日ふと、自宅の本棚を眺めていたときに「文豪作品はどうだろう?」と思いついたんです。パブリックドメインとなった作品なら、選択肢や創造の幅がたくさんあるなと。

    でも文豪作品というと、「教科書でしか読んだことがない」とか「堅苦しい」とか、とっつきにくいイメージを持っている方が少なくありません。僕自身も、本を読むのは好きでしたが、読むのはレイ・ブラッドベリやアンソニー・バージェスなどの海外SFが中心で、日本の文豪の作品を子どもの頃に面白いと思ったことはありませんでした。でも数十年ぶりにあらためて読んだら、すごく面白かったし、こんなに奥深いものだったんだと新鮮な気持ちになったんですよね。

    なぜ昔は面白くなかったのか考えてみると、それはやっぱり“読まされていた”からだと思います。能動的な読書じゃないし、学習の一環なので、どう読み解くのが正解かもあらかじめ決められている。でも本当は文学に決まった楽しみ方はないし、「勉強」から離れて読んでみると、視点がガラッと変わったり、イマジネーションが広がったりして本当に面白いんです。そのことをジャニーズJr.の皆さんが同世代の若い人々に伝えて、文豪たちの傑作を未来へ繋いでいくというのは、おおげさなようですが、日本のエンターテインメントにとってもすごく意義のあることじゃないだろうかと思いました。

    原作小説を選んで、10話分のプロットを持ってジャニーズ事務所さんに伺ったところ、「10年後、20年後に日本のエンタメ界を背負っていく方々に、100年前の文豪の作品を未来へ繋いでいただく」というコンセプトに、ジャニーズ事務所さんも「いいですね、やりましょう」とすぐに乗ってくださいました。

    ――「少年忍者」の皆さんが主演をつとめることは、その時点から決まっていたのですか?

    いえ、当初は漠然と、もう少し上の世代のジャニーズJr.の方々を想定していました。お話を重ねていくなかで「少年忍者のメンバーではどうだろうか」というアイデアが生まれてきたのですが、ちょっとためらいもありましたね。なにせその時点の構成案には、文豪の作品には頻繁に出てくる、お酒を飲んだりタバコを吸ったりするシーンもありましたから。

    でも「文豪作品が題材のドラマを、そんなに若いキャストでやれるのか?」と悩むと同時に、「少年忍者の皆さんに登場人物たちの年齢を合わせて作り変えたほうが、チャレンジングなドラマになるかもしれない」とも思ったんです。そこから、皆さんのレッスンを見学させていただいたり、YouTubeの番組をくまなくチェックしたりして、そこから見えてきた一人ひとりの個性にあわせてどのストーリーに出演いただくかを決め、脚本も“あてがき”するような形で変えていきました。

    ―― あてがきだったんですね! ストーリー展開や映像においては、どんなことがポイントになりましたか。

    企画コンセプトの時点から核にしていたことですが、「原作を解説したり、要約したりするドラマには絶対にしない」「その小説からイマジネーションをふくらませて、登場人物それぞれが“自分の物語”を作り上げるドラマにしよう」と決めていました。

    最初にお話ししたことと重なりますが、解説や要約をなぞって“読んだふり”をするんじゃなく、自由に感じて楽しめばいいんです。きっと物語を書いた人たちだって、それを望んでいるはずです。

    連続ドラマの統一感はありつつも、10話それぞれまったく異なる展開を見せるので、バラエティに富んだシリーズになるよう、作風や世代も含め、監督はさまざまな方にお願いしました。中尾浩之さん(第3話・第5話)は、ちょっと変わった視点で、ドキュメンタリータッチに題材を撮る方です。前々からご一緒したいなと思っていて、今回お願いしました。松井夢壮さん(第6話・第10話)は、普段はビジュアルアーティストとして活躍していらっしゃいます。谷崎潤一郎や夢野久作のような、とりわけビジュアルによって独特の世界観を表現したい回をお願いしました。保母海里風さん(第4話・第8話)は、テレビ番組制作をやっていらっしゃる方。鯨岡弘識さん(第1話・第7話)は、自主製作映画で海外の賞を多数受賞していらっしゃる、まだ20代の若い監督です。ベテランの本多繁勝さん(第2話・第9話)には、総監督的な立場で全体を引っ張っていただきました。各話で皆さんそれぞれのカラーを出してくださっています。

     

    ドラマ初主演にまっすぐに臨んだ次世代スターたち

    ―― それでは続いて、撮影について伺います。演技自体が初めてのメンバーも多いなか、「少年忍者」の皆さんはどんなふうにドラマ撮影に臨んでいましたか。

    まずは会議室での台本読みから始まったんですが、やっぱり演技が初めての方も多いですから、正直なところ「大丈夫かな?」と思うところもありました。セリフに読めない漢字があるのに、調べないままその場に来ちゃったりとか(笑)。

    でも皆さん、現場で撮影を重ねていくうちにどんどん“役者の顔”になっていくんですよ。3~4日間という短期間ながら、最初は右も左もわからない“男の子”という雰囲気だったのが、共演者の皆さんや周囲のスタッフからも刺激を受けて、日に日に顔つきが変わっていきました。

    ―― 顔合わせ前と撮影が進んだ今とでは、印象もかなり変わりましたか。

    お会いする前は、なんとなくのイメージで「若くてかっこいい男の子たちが、わちゃわちゃしているにぎやかなグループ」という印象を持っていたんですが、皆さんといろいろお話ししていくなかで、一人ひとりがものすごく「自分の個性を磨く努力」をされていることに気付かされました。

    22人グループという人数の多さもあると思います。たとえばYouTubeの番組1回分を収録したとして、5人グループなら自分をアピールする番が自然と回ってくるんですよね。でも22人となると、番組がたっぷり30分あったとしてもそのなかで自分のキャラクターを立たせるのはすごく難しい。かといって、自分一人だけ目立つわけにもいかないですし。

    年齢も個性もバラバラな22人がただ集まっているだけじゃなくて、歌やダンスやトーク、「自分はこれだ」と思うものをそれぞれが磨くことで、一人ひとりの個性も際立つし、その真剣さがグループとしての一体感につながっている。それを実感しました。

    あとジャニーズ事務所の方は、所属アーティストもマネージャーさんも皆さんそうなんですが、お仕事をご一緒すると決まってからの作品への向き合い方、真剣さがとにかくすごいです。少年忍者の皆さんも、寒い冬場の撮影で過酷な環境のなか、文句ひとつ言わず、本当に前向きに「文豪少年!」に臨んでくださいました。礼儀正しくて、スタッフへの気遣いもすばらしい。それから、先ほど台本読みのときのエピソードをお話ししましたが、ジャニーズの伝統のひとつに「段取りのときに台本は持たない。上手い下手じゃなく、セリフはきちんと入れて臨むものだ」というのがあるようで、少年忍者の皆さんも、最初の段取りから誰も台本を持たずに臨んでいらっしゃいました。その意識の高さには驚かされましたね。

    ―― 普段の活動とは趣の異なる、「文学」という題材に挑戦したことも刺激のひとつだったかもしれないですね。

    そうですね。実はジャニーズ事務所の方にも最初、「ジャニーズJr.で文豪ですか!」と驚かれたんですよ(笑)。やっぱり普段は、ドラマといっても学園ものやラブコメの企画を提案されることが多いようです。

    そこで文学ドラマという新しい切り口を提案できたのは、少しお金をかけてでもよい映像作品を観たいというお客様が集まっている「WOWOW」ならではかなと思います。コマーシャルがないので、そういう面での制限も比較的少ないですしね。

    ―― 学園ドラマやラブコメは、友達視点というか、親しい人にしか見せないようなナチュラルな表情が見られるのが醍醐味の一つですよね。それに対して今作は、素顔といっても、それぞれが内面に持っているシリアスな部分がにじみ出てくるような作品なのではないかなと思っています。マスター役のイッセー尾形さんの存在感が、それを引き締めて格調高いものにしていますね。

    「文豪少年!」にイッセーさんは絶対に必要だと思っていたので、叶ってよかったです。知的な方ですし、一人芝居をずっとやってこられているように、言葉を大切にする、一つひとつの言葉にこだわるという点においては、ほかの役者さんにはないものを持っていらっしゃる。同じ言葉でも、イッセーさんが言うと重みが違うんですよ。10代の少年たちに“言葉の魂”を伝えるマスターの役に、これほどふさわしい方はいらっしゃらないです。イッセーさんも「自分が若い人たちと共演する意味は、こういうところにある」「意味とやりがいのある、本当にいい企画だ」とオファーを喜んでくださいました。

    ▼一人芝居で、文豪の名作を独自にカバーする「イッセー尾形の妄ソー劇場・文豪シリーズ」も展開しているイッセー尾形さん。ドラマ「文豪少年!」で演じるブックカフェのマスターは、シリーズ通して登場する“物語の世界への案内人”というぴったりの役どころ。

    現場でもイッセーさんは、少年忍者の皆さん一人ひとりに違う言葉をかけてくださっていました。カメラが回っているときも、最後のほうは、脚本どおりにセリフをしゃべっていても、マスターというよりほぼご本人そのものでしたからね。ドラマをご覧になる方にも、イッセーさんの言葉が心に少しでも響いていたらいいなと思います。

    ―― ここまでお話を伺って思ったのですが、想定よりキャストの年齢層が下がったことで、かえって、文豪作品を解釈する余白はすごく広がったのではないでしょうか。

    おっしゃるとおりだと思います。きっと想定通りの世代のキャストで話が進んでいたら、「文豪作品に新しい解釈を与える」としつつも、もっと原作に近い作品になっていたでしょうね。少年忍者の皆さんに決まったことで、作り手の僕たちも「こうしてみたら面白いんじゃないか」とイマジネーションをふくらませることができました。

    ドラマをご覧になる皆さんは、原作を知らなくても各話面白いドラマに仕上がっていますので、YouTubeでも地上波でも見られない彼らの姿を楽しみに、ぜひ気楽に自由に観ていただけたらと思います。

     

    作品情報

    「WOWOWオリジナルドラマ 文豪少年!~ジャニーズJr.で名作を読み解いた~」
    3月21日放送スタート![第1話無料放送]

    毎週日曜日よる11時 WOWOWプライム、WOWOW 4Kにて放送(全10話)
    WOWOWオンデマンド(※)で配信

    ※2021年1月13日(水)にWOWOW オンデマンドがスタート。BS視聴環境が整っていなくても、WOWOWに加入することができるようになる。これにより、放送と配信の垣根が消え、TVでもスマホでもWOWOWのサービスが気軽に利用できる。合わせて、放送同時配信、ライブ配信、アーカイブ配信、オンデマンド限定配信コンテンツなど多様な配信サービスを利用できる。

    脚本:小松屋たから
    監督:本多繁勝(OP・ED・2話・9話)、中尾浩之(3話・5話)、松井夢壮(6話・10話)、保母海里風(4話・8話)、鯨岡弘識(1話・7話)
    音楽:窪田ミナ 加藤みちあき
    出演:ヴァサイェガ渉 川﨑皇輝 北川拓実 織山尚大 黒田光輝 元木湧 安嶋秀生 内村颯太 深田竜生 檜山光成 小田将聖 田村海琉 / イッセー尾形
    プロデューサー:井上衛、渡邉浩仁、柳内久仁子
    制作協力:AX-ON
    製作著作:WOWOW

    https://www.wowow.co.jp/drama/original/bungoshonen/




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