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  • 「taknal」開発者インタビュー:人とのすれ違いがまだ見ぬ本との出会いになる

    2021年03月29日
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    日販 首都圏支社 木村
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    現在、読書好きから大きな注目を集めているスマートフォンアプリ「taknal(タクナル)」。ユーザー同士がすれ違うことにより、お互いのおすすめ本を紹介し合えるという、今までにない「本との出会い」を提供して話題となっています。

    “人とのすれ違い”を“本との出会い”に変える、ということをコンセプトに開発されたこのアプリ、発案者は出版業界とは全く異なる分野で働く会社員の男性です。開発の経緯や今後の展望について、taknal編集部の富田さん、青木さんにお話を伺いました。

    (写真左から)
    青木拓也
    taknalの開発責任者。大阪ガスマーケティング 商品技術開発部に所属。普段の業務では、IoT技術を活用したガス機器・電力関連の新サービス開発に従事。好きな本のジャンルは推理小説。

    富田翔
    taknalの事業責任者。大阪ガス イノベーション推進部に所属。全社の新規事業創造プログラムを運営しながら、複数事業の開発に従事。好きな本のジャンルはビジネス書。

    「taknal」サービス概要
    位置情報を利用した、ユーザ同士のすれ違いによって、お互いがアプリに登録している本の情報を交換するサービス。ユーザ同士が直接交流することなく、街を歩いているときや通勤の移動中などに、偶発的に“本との出会い”が発生するのが特徴。
    出会った本のうち「読みたい」と思ったものを選択することで、アプリ内に本の情報が保存されていき、後日その本を振り返ることで“次の一冊”を見つけることができる。おすすめ本を登録する際には、100文字以内での感想の入力が必須となっており、すれ違ったユーザにとってはその感想がレコメンドの役割を果たす。

    ―― お二人はガス会社に勤務されていますが、なぜ自社とは全く関係のない「読書」という分野での事業を立ち上げられたのでしょうか。

    富田: 当社には新規事業創造プログラム「TORCH(トーチ)」という、新規事業を公募するコンテストがあり、私は運営事務局の立場にあります。このコンテストでは、プロジェクトが会社の本業に関わるかどうかはあまり重視されません。その事業が単体で成り立つものでしたら、会社としてバックアップするという考え方です。「taknal」は青木を中心とした5名のメンバーが発案し、コンテストで優勝を勝ち取った企画です。その後も、各々が自分の仕事をこなしながら、合間をぬって、アプリの開発、リリースと進めていきました。

    青木: 私自身は、給湯器やコンロを開発する部署で働いており、職場に閉じこもりになることも多く、ふと「人と触れ合いたい」と思うことがありました。そこでまず考えたのが、近隣のオフィスで働く知らない人とランチできる仕組みを提供するアプリでした。しかし冷静に考えると「いや、別に自分は知らない人と食事に行きたいわけではないよな」と。自分が欲しいサービスは、新しい世界との偶然の出会いと、それによって幅広い知見を得ることだと思い至り、そこでキーになるアイテムとして「本」というものを据えた時に、ストンと腑に落ちました。

    富田: 青木と私は同期入社ということもあり、普段から仕事以外のコミュニケーションもよく取っていました。その他の開発メンバーも皆同世代で、考え方や方針にも共感できる部分が多く、後から私もチームに入ることになりました。現在は「taknal」を推進する立場として関わっております。

    青木: 大切にしたのは、「自分たちが」欲しいサービスを追い求めることです。既存のSNSやAIを否定するつもりは全くないのですが、双方向での繋がりではなく、なおかつ自分から探しに行くのでもなく、偶然新しいものに出会う体験(セレンディピティ)を目指しました。

    ―― アプリが正式リリースされたのは2020年末ですが、コンテストで優勝してから、どのようなスケジュール感で開発が進められたのでしょうか。

    青木: 応募時の「taknal」は簡単な画面イメージだけのものだったので、2018年にコンテストで優勝したあと、実際に詳細な画面デザインやプログラムの開発を進めて、2019年度前半からユーザーテストを繰り返しました。同時進行でアプリを開発するパートナー企業を探しつつ、2020年度にはアプリが完成。10月にまずは社内でリリースを行って最後の微調整をしたうえで、12月に正式リリースとなりました。

    ―― アプリのリリース後、社内やユーザーの反応はどうでしたか?

    青木: 開発前の段階ではまだ、社内から「面白そうではあるが、なぜ本なのか」という意見がありました。そこは私の本へのこだわりが強かったので(笑)、押し切った形です。リリース後は「思ってた以上にいいね!」と言ってくれる社員もいて、かなりのヘビーユーザーとなって貴重な意見を出してくれる人もいます。

    富田: リリースして間もないですが、ありがたいことにたくさんのユーザー様に使っていただき、アプリランキングでも、最高でApp Store(iOS)ブック部門第1位、Google Play(Android)書籍&参考書部門では第2位になることができました。ユーザー様は、すれ違いを利用した紹介機能自体を面白がってくださっているのはもちろん、おすすめされた本を実際に買って読んでみて感動したという声もありますし、著者の方が、自著が紹介されているのを見つけて喜んでくださったりもしていて、さまざまな声を寄せていただいています。また、ラジオなどのメディア出演や、Clubhouseでの対談のほか、書店様がおすすめ本の紹介に使ってくださるなど、私たちが想定していた以上の反響をいただき、大変嬉しく思っています。

    【ライツ社】偶然の出会いが楽しい!すれ違いで「推し本」を交換できるアプリ「taknal(タクナル)」を使ってみた(note)

    ―― 紹介文の字数制限(100文字)や、すれ違った本が最大10冊までしか表示されず、ログにも残らない(「読みたい」に登録すれば後でも見られる)という機能には、何か意図があるのでしょうか。

    青木: 実際に自分が使ってみた時、紹介文を100文字以上書くことはできるのですが、逆に、紹介された本の文章が100文字以上あると、長すぎてまるで目に入ってこなかったんです。我々が求めているものは、ユーザー様からいただいたお言葉を借りれば、「風のように流れる」サービスです。10冊までしか表示されないのも、際限なく蓄積された場合、ユーザー様が追いかけることに疲れてしまうのではないかという点を配慮したのが理由です。

    富田: 実際にユーザー様から「100文字以上の感想にしてほしい」「すれ違った本を10冊以上表示してほしい」という声もいただいています。今後サービスをよりよくしていくうえで、ユーザー様によって機能を選べるようにする、というのはひとつの案として考えられますね。ただ、「双方向のコミュニケーション」という側面が強くなりすぎないようにしたい、さりげない偶然性を大切にしたい、という理念はぶらさないようにしたいと思っています。

    ―― 最後に、「taknal」の今後の展開をお聞かせください。

    青木: まずユーザー様の個人レベルとして、本とすれ違う体験が日常化・習慣化して、新しい本と出会えることが楽しく、クセになると感じていただけるよう、サービスを良くしていきたいと思っています。その上で、本の価値や可能性を高めることに繋がっていくような仕組みに発展させていきたいです。

    富田: 「taknal」を使っていただきつつ、「taknal」自体のサービス向上にもつながるよう、パートナー様との連携を進めていきたいとも思っています。書店様や図書館様など、リアルな本を扱っていらっしゃる方々や、読書イベントの開催など、「taknal」からさまざまな繋がりを作れるようにしていきたいですね。

     

    「taknal」を実際に使ってみた

    実際にアプリを入れて起動し、位置情報をオンにすると、すぐに10冊以上とすれ違っていました!

    インタビューにもあったように、この時表示された本は、別の人とすれ違って新たなおすすめ本が表示された時点で消えてしまいます。ちょっとでも気になったら「♥読みたい本」として保存しておくことをおすすめします。

    個人的には、最初のすれ違いで表示された伊坂幸太郎さんの『バイバイ、ブラックバード』の紹介文が「ほぼマツコ。」という、短いながらもかなりインパクトのあるもので、すぐに購入して読み始めてしまいました。

    バイバイ、ブラックバード 新装版
    著者:伊坂幸太郎
    発売日:2021年02月
    発行所:双葉社
    価格:748円(税込)
    ISBNコード:9784575524482

    おそるべし、「taknal」……!


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