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  • ビール売り子のギャルと“住人”たちが繰り広げる球場コメディ『ボールパークでつかまえて!』

    2021年03月16日
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    黒田順子:講談社コミックプラス
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    ボールパークでつかまえて! 1
    著者:須賀達郎
    発売日:2021年01月
    発行所:講談社
    価格:715円(税込)
    ISBNコード:9784065219171

    プロ野球に全く興味がなく、球場へは仕事でしか行ったことがない私が、こんな売り子さんがいるならビールを飲むために球場に通ってもいい!!と思いました。
    それぐらい主人公が魅力的で、愛すべき人々がたくさんいる温かい場所なのです、“ボールパーク”というところは。

    千葉モーターサンズ・スタジアムで、ビールの売り子をしているルリコ(20)。
    早速ターゲットとなったのは、気が弱くて「申し訳ありません」が口癖の“社畜”村田でした。
    村田は仕事から逃げ込むようにやってくるのが球場で、空いている自由席で800円のメガ盛りウルトラ弁当を食べ、まったりと1人で野球を見るのが息抜きというアラサーのサラリーマン。
    ところがルリコのお陰で、調子が狂い始めます。

    こんな強気な売り子さん、見たことがありません!!(笑)。

    しかも、「休憩」と言って村田の隣に座り、聞かれてもいないことを色々と喋り始めます。

    ルリコの過剰なサービス!?のせいで、球場に来る度、ルリコのことが気になる村田。
    しかしルリコがいないので、他の売り子さんからビールを買おうか迷っていると……。

    こんなふうに来られたら女の私でも、もう他の売り子さんからは絶対にビールを買いません!!と宣言してしまいそうです。

    かなり小悪魔的なルリコですが、実は売り子になってまだ1週間しか経っていないド新人。だから小慣れたふうを装ってはいますが、本心は意外と純情、そのギャップが、たまらなく可愛い!!のです。

    気が弱い村田と強気なルリコの組み合わせが、私は一番のお気に入りですが、他にもベテラン選手・コジロー(35)の妻の滝野ユキ(39)も面白いです。

    ユキが地方局の元女子アナで年上というだけでクスッとしてしまったのですが、打率2割で人気がない夫をもつ妻の気持ちってこんなかもしれない、と笑いながらもホロッとしました。
    『ボールパークでつかまえて』は、このホロッがあるからいいのです!

    本当はビールの売り子をやりたいのに、真面目に働いているがゆえにバイト先で欠かせない人間になっている、お弁当屋の山田夏乃(20)も笑えます。
    夏になるとスポーツニュースで取り上げられる人気NO.1の売り子さんを見て、可愛い!!と私も思っていたので、ビールの売り子さんに憧れる夏乃の気持ち、わかるなぁと思いました。
    でも売り子の実態は……。

    約20キロのビール樽を背負って、階段を昇り降りするって、とんでもない重労働です。
    こういう裏側を知る事ができるのも、楽しさの1つです。

    他にも、「日本はジメジメするし、ピザは小さいし、野球を精神論で語るヤツが多くてついていけない」とメジャー復帰を狙う、シカゴ出身の助っ人外国人選手デニス・ヤング(27)。球場警備員歴30年の五十嵐龍一(65)、迷子の女の子、マスコットのサン四郎、すぐに「喝! 喝!」と言いたがるオッサンなどが出てきて、ルリコとの関わりの中で様々な人間ドラマが見られます。
    そして、その話の1つ1つが笑えるのに温かくて、じんわりと沁みてくるのです。
    そんな“ボールパーク”の住人たちをオフシーズンだからこそ、直接球場に足を運べない今だからこそ、楽しんでほしいと思いました。

    試し読みはこちら

    (レビュアー:黒田順子)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2021年2月23日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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