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時代小説の中でも近年注目を集めている文庫書き下ろしから、特にいま読んでおきたい作家8人のシリーズを担当編集者が紹介する「時代小説文庫、いま読むならこの作家!」。今回ご紹介するのは金子成人さんの「付添い屋・六平太」シリーズです。
「鬼平犯科帳」「剣客商売」「水戸黄門」「御家人斬九郎」など、ドラマ時代劇の金字塔というべき作品群の脚本を手がけた金子成人氏初の小説が「付添い屋・六平太」シリーズです。2冊同時刊行されたデビュー作は、発売3日で10万部を突破するベストセラーとなりました。著者と初めてお会いしたのは、2009年だったと記憶しています。そこから4年半ほどの歳月をかけて、小説家デビューしていただきましたが、さすがドラマ作りのプロ、当初からプロットの深み、ストーリー展開、キャラクター造形どれをとっても並の新人とはまったく違う次元の出来映えでした。
時は江戸・文政年間。秋月六平太は信州十河藩の供番(駕籠を守るボディガード)を務めていたが、10年前、藩の権力抗争に巻き込まれ、お役御免となり、浪人となった。いまは裕福な商家の子女の芝居見物や行楽の付添いをして糊口をしのぐ日々だ――。
本シリーズのオビには、これまで金子氏とドラマでご一緒された北大路欣也、高橋英樹、里見浩太朗、松平健、村上弘明、中村梅雀、西郷輝彦の各氏(登場順)からいただいた激賞のコメントを、お写真とともに掲載していますので書店店頭でもインパクトがあったのではないかと思います。さらにカバーイラストは『六三四の剣』『JIN-仁-』の村上もとか氏による描き下ろしです。当時の想定より女性読者が多いのは、カバーイラストも一因のようです。
4か月に1回のペースで刊行される本シリーズは、最新刊の第7弾が発売されたばかりです。書き下ろし時代小説界最後にして最強の新人による日本一の王道時代劇を、ぜひ手に取っていただければ幸いです。
(小学館 出版局文芸 幾野克哉)
※付添い屋とは… 裕福な商家の子女が花見や芝居見物に出かける際、案内と警護を担う侍のこと。
金子成人(かねこ・なりと)
1949年長崎県生まれ。1972年「おはよう」で脚本家デビュー。1997年、第16回向田邦子賞を受賞。主な脚本作品に「鬼平犯科帳」「剣客商売」「御家人斬九郎」「水戸黄門」など多数。『付添い屋・六平太』で小説デビュー。
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(「新刊展望」2016年4月号より転載)