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――改めて『せーんべせんべ 五戸のおんこちゃん』の内容についてお伺いしたいと思います。主人公のあおいは、どうしてもお祭りの「たいこたたき」がやりたい男の子。そんな思いをお地蔵さんにお願いしたところ、隠れていたおんこちゃんが「さまざまなあじっこのせんべが食べたい」と求めます。あおいは、お地蔵さんのリクエストに応えながら「たいこたたき」ができるのか……?といった物語です。
五戸町の人に愛される絵本、ということもありお話には町に関係するイベントや食べ物が多く登場しますね。あおいが「たいこたたき」をやりたいという、このお祭りは秋に行なわれる町一番の大イベント「五戸まつり」がモデルなんですよね。
ワカバ:そうですね。この「五戸まつり」は本当にすごい規模です。普段はとても静かで小さな町なのに、「こんなに人が来るのか!」と驚くほどの人がやってきます。お祭の日に合わせて帰省する人や、町外から来るお祭り好きな人もいるんですよ。お囃子や派手な山車が出て、みんなが大騒ぎします。
――同じ青森県の「ねぶた祭り」のようですね。
ワカバ:五戸まつりはそこまで規模は大きくないですが、町民が一致団結する熱いお祭りですね。
トモコ:心がこもった手づくりのお祭りで、町内の人が仕事の合間に山車を作っていたりします。町外の人でも気軽に足を運べると思います。最近は、参加している人の衣装や髪形もみんなカッコよくてすごいです。
ワカバ:その年の五戸まつりが終わった次の日から翌年の五戸まつりの準備を始めるとか。本当にその日のためにみんな真剣です!
――あおいがお地蔵さんに願う「たいこたたき」というのはどういったものなのでしょうか。
トモコ:五戸まつりの太鼓叩きになったら、それだけでステータスですね! 実際には、小太鼓と大太鼓、笛と役割があって、私は笛がやりたかったんです。大太鼓は大人がやるんですけど、女性がやっても本当にカッコイイです。半身を出して、さらしを巻いて……。
――それはおんこちゃんの力を借りてでもやりたくなりますね(笑)。東京ハイジのお二人も「たいこたたき」に挑戦したのでしょうか。
ワカバ:やりたかったですが、親がやらせてくれなかったですね。練習がどうしても夜になってしまうので……。でも、自分の子どもが「やりたい!」と言ったら、ぜひやらせたいですね。
――「五戸まつり」と並んでキーアイテムとなるのは、「南部せんべい」です。動画でも「せーんべ、せんべ」とおんこちゃんが歌っていますね。
トモコ:祭囃子の「よーっせ、よいさ」をベースにして、「せーんべ、せんべ」と語呂をあわせて作りました。
――作中では、南部せんべいとさまざまな食べ物を組み合わせている場面がありますが、どれも大変美味しそうですね。
ワカバ:全部食べました! そしてここに載っているものは全部美味しいです!
――そうなんですね! 特にどれがおすすめですか……?
ワカバ:チョコバナナは美味しいですね。しょっぱすぎず、かといって甘すぎずで。「まちがいない!」味です。あとは、「こびりっこ」ですね。
――「こびりっこ」?
ワカバ:五戸町のお赤飯って甘いんですよ。それを南部せんべいではさんで、ラップで巻いたりして少しおきます。そうすると、お赤飯の湿気をせんべいが吸って馴染んでくるんですね。それが美味しい。ちょっと小腹がすいた時におすすめです。
――五戸町では、南部せんべい以外にもおすすめの食べ物があるとか。
トモコ:長芋や馬肉汁が知られていますね。今回の絵本でも、五戸町の食べ物をいろいろ出すようにしました。子どもって食べ物にはとても関心がありますよね。この絵本は役場を通して五戸町の子どもたちにも配られたのですが、自分たちのふるさとの食べ物にも興味を持って欲しい、食べて欲しい、という思いがありました。
――最後に、この絵本を手に取った子どもたちに向けてメッセージをお願いします。
トモコ:小さい頃に食べた郷土の食べ物って誰にでも1つや2つあると思います。そこに思い出がくっつくと、故郷を離れたときにすごく特別な物になるんですよ。私たち東京ハイジもちょっと辛いときに、五戸町の物を食べると気持ちがシャキッとするというか。
なので、この本を読んでいる子どもたちにも、自分の身の周りにある故郷の食べ物をいっぱい食べて、思い出もたくさん作って欲しいなって思います。
あとは、言い伝えみたいなお話が好きなので、おんこちゃんも実際にいるかもしれない……といった都市伝説のようになって欲しいです(笑)。
ワカバ:姉と同じ思いもあるのですが、大きくなっても「おんこちゃん」のニコニコ顔が浮かぶように描きました。また、「たいこたたき」になりたい主人公・あおい君の成長物語としても、楽しんで読んでもらえたらと思います。
――本日はありがとうございました!